化学変化の雑炊授業「化合と分解」
独自に考えた部分がほとんどなく、平林さん、牧さん、それから科教協の複数の方(最初の考案者を調べていません)の教材継ぎ合せですから、このような題名にしました。 平林さんの「燃焼」を全部やる時間があればそれで良いと思いますが、実験を指導要領・教科書に似せないと、受験にそなえて後でまた同種の実験をする必要が出てくるというので、時間節約のため実験を指導要領・教科書にかなり似せた雑炊のような授業書を別に作ったのです。 時間短縮のため、あまり討論させず、またお話に近い部分の割合が多く一気呵成に進むようにできています。完成度B 容易さもB。
仮説実験授業に慣れていない中学生では例の数がもう少しあったほうが良いと思いますが、時間の関係で難しい。 原子分子の区別はあいまいで良いが粒子概念はあるとします。 ですから授業書「三態変化」を既習としなければなりません。
実験観察 スチールウールがあります。 この通り磁石につくから鉄です。 普通の鉄は燃えませんが、鉄を細い針金にすると燃えます。 では先生が燃やしてみせます。
新しいものでないと表面酸化が進行していて燃えにくい。 真っ赤になったらフウフウと吹いて酸素を送り燃やす。
ではグループ毎にもやしてみましょう。
問題 2つのスチールウールの塊を天秤に乗せると同じ重さになっています。
では片方を燃やした後、てんびんで測ると
ア 重くなる イ 軽くなる ウ 変わらない
どうしてそう思いますか。
仮説実験授業に慣れている生徒ならこれで良いが、慣れていなくて仮説が出ない場合は「(火花)が出て空気中に何かが逃げたように見えたから軽くなる、空気中の何かがくっついたとすれば重くなる」などと教師が仮説を確認する。 前のクラス、前年のクラスではそういう意見が出た事にすれば良い。 似た実験が他にあれば、繰り返すうちに仮説が出るから問題ないが、唯一の実験だから仮説がでないと実験の意味がわからないからまともな授業にならない。
仮説実験授業で仮説が出ない場合に行うこの種の助け舟の是非について研究会内で意見がいろいろあるが、助け舟が必要か無用か一律の判断は誤りであろう。
形式的には現象予測の選択肢がある授業でも大多数の生徒が仮説を持って視点を決めた上で実験をしなければ仮説実験授業でなく、ただのクイズつき授業にすぎない。 助け舟は、同種の問題・実験が1つでしかも仮説実験授業がはじめてとか授業書を少数しかやっていない生徒の場合に必要であり、あとは同種の問題の数と生徒が仮説実験授業(または玉田・中原・松井・江川各氏ら教協有力会員の授業のように仮説検証になっている授業)に慣れている度合いにより、グレイゾーンがあるとすべきであろう。 無論仮説検証式授業に慣れていれば助け舟の必要な場合が少なく、助け舟が有害となる(つまらない授業になる)場合が多くなる。 グレイゾーンの場合はどちらでも結果に大差ないと考えられるので、上記の程度に気楽に考え、カンで判定する程度で良いと思われる。
質問 空気は何と何からできていますか?
問題 スチールウールを入れた試験管に酸素ボンベから酸素を入れ、ふたのかわにり酸素を入れて膨らませたに風船をつけます。 つまり試験管の中も風船の中もほとんど酸素になるようにします。 そうして試験管の外から熱するとスチールウールは燃えます。そのとき、酸素という気体を熱するのではじめは酸素がふくれて風船はふくらみます・・・・そのうちに温度があがってスタールウールに火がつきますが、そのとき風船は
ア もっとふくれる イ ふくらんだまま ウ 最初の時くらいまでしぼむ
エ ひどくしぼんでしまう
なぜそう思いますか。
スチールウールはごく新しいものでないと錆びのため実験がうまくゆかない。 またいい加減にやると筆者のように不器用な人間の場合酸素が十分入らない失敗もあり得る。予備実験を。 実験すると風船は反転して試験管内にはいってしまう。
酸素がくっついて重くなる事がわかりました。 スチールウールの燃えカスはそれ以上燃えませんから、鉄とは違うものですがそれは鉄と酸素のくっついたものだという事になります。
観察 赤い銅の粉と黄色い硫黄の粉です。 それを混ぜるとどんな色になりましたか?
観察 その混ぜたものを試験管に耳掻き1-2杯位入れて熱します。 どんな色になりましたか?
黒くなりましたから、これは銅とも硫黄とも違う物質です。
問題 硫黄の粉を新しい(紙やすりで磨いた)赤桃色の銅板の上にのせ、指でこすり合わせて硫黄の原子と銅の原子をこすり合わせる事にします。
ア やはり黒い物質が少しはできる イ 黒い物質はできない
よく見えるように生徒実験。
硫黄の原子と銅の原子がぶつかると、くっついて黒い物質ができる。 この物質を硫化銅リュウカドウといいます。 硫黄原子と銅原子がくっつき黒い物質に化けたのです。 化けるってわかりますね。 孫悟空は仙人に化けたり門に化けたりしますが…別のものに変化する事です。 硫化銅の硫の一字は硫黄の事です。硫化銅とは硫黄原子と銅原子がくっついて化けたものです。
固体では粒の位置が大体きまっていてブルブル震えているだけですから硫黄を銅板にのせただけでは硫黄の粒(原子)と銅の粒(原子)がなかなかぶつからない。 こすって硫黄原子と銅原子がぶつかるようにすれば、ぶつかった分だけ硫化銅ができます。 熱して硫黄を液体にすれば、液体(硫黄)の粒は自分で勝手に動き回りますから、すぐ銅の粒とぶつかり、くっついてしまいます。
原子がぶつかる絵は絵が特別拙い筆者より皆様のほうが上手なはずです。 硫黄が分子を作っている事を無視した絵とします。 そのような学習段階、近似的理解の段階を設定するのです。 題材として硫黄と鉄とか硫黄と銅の反応を扱う以上しかたありません。 また硫化銅は生徒の理解として、原子が1個づつついた分子という事になりますが、それも近似的理解とするしかないです。実は硫化銅がアヴォガドロ式の分子CuSではなく巨大分子Cu∞S∞です。
観察 グループ毎に実験して下さい。試験管にスチールウールと硫黄の粉を入れて熱します。 変化が見えたらすぐバーナーの火を止めて試験管をカンの中に置いて下さい。
実験グループ代表者に教師実験をみせておく。そうでないと変化が見えたらすぐバーナーの火をとめ、カンに入れるという事に生徒の視点が集中していない以上、注意違反が出る可能性がある。
質問 この黒い物質は何という名だと思いますか?
硫黄と鉄だから硫化鉄ですね。
質問 スチールウールの燃えカスは何という名だと思いますか?
スチールウールの燃えカスは酸化鉄です。 酸素原子と鉄の原子のくっついたものです。
観察 グループ毎の実験です。 小さい炭をバーナーで熱すると火がつきました。 でも燃えカスはほとんど残らず、燃えるとどんどん軽くなる事は確かです。
質問 炭は炭素の原子からできています。 それが酸素と結びつくと酸化炭素になりそうです。酸化炭素という名に似た名の気体を知りませんか?
お話 酸化炭素には二種類あり、区別するため、一酸化炭素、二酸化炭素という名がついています。
一酸化炭素とは1つの酸素が炭素原子にくっついたものであり、二酸化炭素とは2つの酸素が炭素にくっついたものです。 今炭素原子を○、酸素原子をすれば
○◎ ◎○◎
一酸化炭素の分子 二酸化炭素の分子
になります。 普通は炭が燃えると二酸化炭素になりますが、空中の酸素が少ないと酸素原子が1つしかくっつかない一酸化炭素ができます。 二酸化炭素はよほど濃くなければ安全ですが、一酸化炭素は猛毒です。
では実験で二酸化炭素ができる事を確かめましょう。三角フラスコの中に燃えている炭をピンセットを使っていれ、しばらくしたら出してすばやくガラスのフタをします。 ここに石灰水を入れたらどうなるかわかりますね。
教師が実験をみせてから生徒実験もやる。 いきなり生徒実験とすると、ふたをするタイミングが悪くて実験失敗という生徒グループが出るおそれがある。 この実験では二酸化炭素が空中に逃げるというところに視点を集中していないから、この種の間違い実験は模範実験を見せなければ防止困難である。
時間がなければ教師実験だけ。また仮説実験授業に慣れていれば教師だけで良い。 指導要領準拠授業に慣れた生徒は実験が大好きだが、仮説実験授業に慣れた生徒は「結論のわかっている実験はパスしても良い」と考えるからだ。
最初のスチールウールの実験で多数の人が間違えた理由がわかりましたね。
炭のときは、酸素がくっついたものが気体の二酸化炭素だから逃げていってしまい軽くなるのです。 紙とか木にも炭素が多く含まれていて、燃やすと二酸化炭素になって逃げてしまい軽くなる。 鉄のときは酸素のくっついた酸化鉄が固体ですから、くっついた酸素の分だけ重くなったのです。
紙や木に炭素がある事を証明しましょう。熱するとこの通り炭ができます。そして紙を集気ビンの中で燃やしても、この通り石灰水がにごる。
補助的実験だから指導要領準拠授業に慣れた生徒でも教師実験だけで十分。
分子と原子
二酸化炭素の粒は酸素と炭素とからできていますが、酸素と炭素にわけるともうそれは二酸化炭素ではなくなってしまいます。 このように原子がくっついてきまった性質をもつ粒になったものを分子といいます。 二酸化炭素、一酸化炭素も分子です。
ここでは言葉を導入するだけで、言葉の意味の十分な理解は問題としない。 分子の実体観念は「水と油」で。
質問 鉄は燃えるとき、つまり酸素と結びつくとき、熱を出して赤く光ります。 鉄はさびるときも、ゆっくり酸素と結びつき酸化鉄になります。 ではさびる時は熱がでると思いますか?
観察 では携帯カイロを持ってきて磁石につくかどうか調べます。つきますか?
携帯カイロは鉄の粉がさびる時にでる熱を利用したものです。鉄は塩水があると速くさびますから、使うときは塩水を鉄の粉にふりかけるようになっています。
一度使えば鉄は酸化鉄になってしまいますから、1回しか使えません。
観察 マグネシウムという金属でリボンのような形にしてあります。すぐさびてしまうので、灰色に見えますが紙やすりでこすれば、本当の色が見られます。 グループ毎の実験で見ると、本当の色は「 」色です。
観察 では先生の手本を見てから、グループでマグネシウムを燃やしてみて下さい。ビーカーに少し水を入れるのを忘れないようにして下さい。燃えカスを見てから入れる。
質問 その白い灰は何という名だと思いますか?
酸化マグネシウムです。 マグネシウムはこのようにまぶしいような強い光を出し、激しく燃えますが、マグネシウム原子が酸素原子と大変仲良しだからです。
すぐさびてしまうのも大変仲良しだからです。さびも酸化マグネシウムです。
化合
2つの物質がくっついて1つの物質になる事を化合カゴウといいます。 炭やマグネシウムが燃えるのは炭やマグネシウムが酸素と化合したのです。鉄やマグネシウムがさびるのも酸素と化合したのです。
硫黄と鉄を化合させると硫化鉄になり、硫黄と銅を化合させると硫化銅になります。 化合してできた物質を化合物カゴウブツといいます。 硫化銅や二酸化炭素は化合物です。
問題 二酸化炭素は炭素と酸素が化合した化合物です。 分子でもある。
ではマグネシウムは二酸化炭素の中で燃えるでしょうか。 集気ビンに少しの水とボンベから二酸化炭素を入れます。 この通り火のついたろうそくを入れるとすぐ消える。 火をつけたマグネシウムを入れたら
ア マグネシウムは燃える イ マグネシウムは燃えない
分子と化合物の違いはここではわからなくても良い。 。「水と油」をやると自然にわか.る程度でよかろう。
質問されたら「、酸素分子や水素分子は単体で化合物とはしない。 化合物の中にはきまった数の原子で出来た分子を作らず、プラスマイナスの引力で全体がくっついている食塩のようなものがある、という程度に答えておく。
激しく燃えました。 マグネシウム原子は酸素原子と大変仲良しなので二酸化炭素分子の中の酸素原子と化合した…つまり燃えたのです。 よく入れ物を見てください。フラスコに黒いものがついています。
質問 この黒いものは何だと思いますか?
炭素も酸素と仲良しですが、マグネシウムはもっと仲良しですから、酸素を奪い取ってしまい、炭素は追い出されました。 二酸化炭素は気体ですから、その中の炭素が固体になってもほんの少しです。 固体や液体が気体になるとき、何百倍にも膨らむことは覚えていますね。 気体から固体を作ると、体積は何百分の1かになります。
観察 水も化合物で水素と酸素から出来ています。 水素が大変良く燃える事は知っていますね。 つまり水素は酸素と大変仲良しです。
水分子は酸素原子1個に2個の小さい水素原子がくっついています。
○○○
ではマグネシウムと水素の酸素に対する仲良し比べをしましょう。
グループ毎に水を入れた試験管の中にさびを取ったマグネシウムを入れます。
マグネシウムが水分子の中の酸素を取ってしまい、水素が追っ払われるという事があるでしょうか。 よく丁寧に観察して下さい。
泡がゆるやかに出るだけですから教師実験では生徒にわからない。、生徒実験。
泡が見えませんか?
マグネシウムも水素も酸素と大の仲良しですが、少しだけマグネシウムが上です。鉄や銅では泡がでますか? 実験してみて下さい。
でない。 鉄や銅は水素を追い出すほど酸素と仲良しではないようです。燃えるときも鉄や銅より水素のほうが良く燃える。
質問があれば、酸化鉄や酸化銅を熱して水素ガスを通じれば鉄や銅(と水)ができるけれど、水素が漏れて爆発する危険があるのでここでは実験しないと答えて下さい。
ここでは理論的な誤魔化しがあり、酸化しやすさと、イオン化傾向がごっちゃになっていますが、イオンの概念なしのレベルでは差し支えないと考えました。 両者は大体並行するので高校レベルまではそれで困らないです。
観察 マグネシウムよりもっと酸素と仲良しで1秒か2秒でさびてしまうという金属ナトリウムを持ってきました。 今先生がピンセットにはさんだナトリウムをナイフで切りますからグループ毎に見にきて下さい。 ナトリウムは大変危険な物質なので、50センチ離れて下さい。ナイフで切ると切ったときだけ銀色で銀やアルミニウムのようですが、1秒か2秒でさびてしまいます。
ナトリウムは大変やわらかいから、不良になったメスで簡単に切れる。 0.3-0.5ミリ位の厚さに切る。乾いたシャーレの上で切る。
質問 ではこの位酸素と大の仲良しであるナトリウムを水の中に入れたら、どうなると思いますか?
この実験は大変危険だから、自信がなければやらなくても良いと思います。 その場合はお話にする。
この実験は2回やりますから、最初は男子(女子)全員が前に集まって見てください。 2回目が女子(男子)です。 たまにですが爆発する事があり、大変危険なので、1.5メートル以上はなれて下さい。また前列の人は目の前に手を出しながら見て、爆発した時飛んできたものが目に入らないようにしてください。 何か飛んできて手についたら、ここに用意した洗面器の中に手をつけて下さい。
寒いときでなければ明礬水を用意すれば良い。 ごく薄い酢酸水溶液と炭酸水素ナトリウム液を用意する方法もある。酢酸で洗ってから、炭酸水素ナトリウム液で洗う。 皮膚でなく服についた場合も同様。
ではナトリウムを水に入れます。物凄い泡です。水素ですからろうそくで火をつけてみます。
季節にもよるが1ミリ角以下だと大抵爆発しない。1ミリ角以上だと自然発火する事が多く生徒が驚くが、時に爆発して白い物質が飛び散る。1.5メートルで大体安全。教師はサングラスで武装。ひたいや手のヒフについたのは払い落としてから明礬水で中和します。 飛んでくるのは水酸化ナトリウムですから、眼に入ると危険だが皮膚についたのはすぐ中和すれば問題ありません。
ナトリウムやマグネシウムのように大変酸素と仲良しの金属もありますが、同じ金属でも酸素と仲が悪いものがあります。 金や銀、水銀です。 酸素と仲が悪くて化合しないから酸素があっても錆びない。
質問 銀は酸素と大変仲が悪い。ですから銀を熱しても燃えません。 では反対にむりやり化合させて作った酸化銀…酸素と銀の化合物を熱したらどうなると思いますか?
実験は難しくないし危険もありませんから本当なら生徒のみなさんの実験にしたいが銀のオネダンが高いので先生一人がやります。
試験管に酸化銀を入れ、熱してできる気体を水上置換で集めます。
質問 この出てきた気体の中に、マッチの燃えさしを入れるとどうなりますか?。
残った粉は銀の粉です。 酸化銀を熱したら気体の酸素と銀の粉になりました。
分解
1種類の物質が2つかそれ以上の物質に分かれる事を分解という。 酸化銀は熱すると銀と酸素に分解される。
熱すると酸素と化合するどころか、酸素との化合物が分解して酸素がおっぱらわれます。 もっと値段の高い金や危険な水銀でも同じです。 さびにくいわけですね。
できた銀は硝酸に溶かし、過剰の炭酸ナトリウムで中和して(泡がでなくなるから中和点がわかる)沈殿したものを乾燥させればまた実験に使えます。ネダンが凄いですから回収。
銀は酸素と仲が悪いので、酸素のせいでさびる事はありません。しかし硫黄とは仲良しなので硫黄があると錆びます。 家庭でもタマゴ、ダイコン、ワサビ、ニンニク、ネギ、タマネギ、ニラなどの調理のとき匂いの物質にわずかのイオウが含まれているので、銀は大変ゆっくりだか錆びて硫化銀ができる。 ラップを掛けて硫黄の気体の分子が銀にぶつかりにくくすれば銀は長もちします。
金は硫黄とも仲が悪いので、全然さびない。1000何百年か前の倭王(ワオウ)の指輪を九州の宗像(ムナカタ)神社で見る事ができますが今でも金色に光っています。
質問 炭(炭素からできている)と銅ではどちらが酸素とより仲良しですか?
質問 では酸化銅と炭を混ぜて熱したらどうなると思いますか?
そこで教科書の実験をする。還元のところも教科書を読む。
たいていの金属は酸化物つまり酸素と化合したものを、炭と一緒に熱すれば取り出す事ができます。 ただしナトリウム、マグネシウム、アルミニウムのように炭素よりもっと酸素と仲良しだとその方法では金属を取り出す事ができません。
アルミニウムは電気花火の中に入っていて、さびていない粉はマグネシウムのように明るい光を出し激しく燃えます。 普通は表面がさびているので、あまり燃えやすくないし、そのさび・つまり酸化アルミニウムが表面をおおってしまい、ある程度以上さびない。 でも、もともとは酸素と大の仲良しです。
教科書にもとづいて炭酸水素ナトリウムの分解。 そのあとカルメ焼きのお遊び。
これで雑炊授業は終わり。 化学方程式は教科書。 ただし化学方程式はできるだけあとからやる。 構造式をやって分子の実体概念がかなりできてからが良い。分子原子の絵を書いてやる。 教科書のように操作的な数合わせだけをすると大半の生徒が落ちこぼれ。もちろん硫化銅や硫化鉄にはアヴォガドロ分子があり、硫黄は分子を作らない、炭の炭素は2次元巨大分子ではないとして、やってしまう。 これらの誤魔化しもこのレベルの理解段階として許容されるべきであろう。
化学では一般的にいって物理より多数の法則が現象に関係する一方、その理屈を全部一気呵成に詰め込まれたのでは生徒が苦しいから、一部の理屈だけを近似的な理屈として教え、他の理屈は後回しにするしかない。
すると一部の理屈だけで澄むような化学反応だけを先に扱うことになりますが、そういう例は一般的に言って少ない。 ですから誤魔化しをしないように化学教材を作る」というだけで大変難しく、扱う化学物質を厳選する必要があります。 指導要領・教科書に妥協してそれらに出てくる物質を扱えば誤魔化しを少なくする事が不可能です。 近似的理解、近似的理論のグレイゾーンというものを許容しなければならないが、その近似をどのレベルにするかが、化学授業では常に問題になる。 指導要領のようにごく一部の現象だけ正確に説明しようとすると、原子のあとから「粒」が出てくるような馬鹿げた事になりやすい。 指導要領作成者は教材全体の正確な理解をしているかどうか疑われます。
巨大分子は構造式の授業書「水と油」で多少触れてある。 また「内蔵の話」で有機巨大分子の澱粉やたんぱく質が登場する。 3次元無機巨大分子である事がダイヤモンド、水晶、サファイアなどの硬さの原因、融点の高い原因(1つの結晶の原子全部が結合していて、その結合はなかなか切れない)だという話は中学生徒にもわかり良い。
イオンの授業書で無機巨大分子をイオンの性質と関係させて教えると良いのですが、イオンの授業書はまだ発展途上そのもの。 「典型元素の金属は高校教科書にあるような希ガス型陽イオンをつくりやすい。 希ガス型イオンはイオン化合物を作りやすく分子や巨大分子をつくりにくいが、陽イオンのつくる電場が強いと陰イオンを強く引き付けて電子が共有になってしまい酸化アルミニウムのような巨大分子や塩化アルミニウムのような分子を作る事がある。 遷移元素は希ガス型でない陽イオンを作りやすく、そのようなイオンは配位結合をしやすく巨大分子を作りやすい」・・・・というレベルまで扱うと時間がかかりすぎる。 そのため中学に都高校入試に理科が入ってからは以上の事を扱った事がない。高校では扱ってみたい。この規則がわかっていないと無機化学反応の多くが退屈な暗記になるからです。