第2節 地動説による天体のみかけの動き

1年、1月、1日、1週間 (プロジェクターと大型地球儀、大型ボール用意)
 地動説とは地球が動くという考え、つまり地球が太陽のまわりをまわるという考えです。
 今先生の机の上にあるボールを太陽、地球儀は地球だとします。
 地球は2つのまわり方をします。 ゴロンゴロンとコマのようにまわるのを「自転、公転」といいます。 自分の中心をまわるからです。 太陽のまわりをまわるのを「自転、公転」といいます。 ゴロンゴロンと1回まわると「1年、1月、1日、1週間」たった事になります。


 今度はプロジェクターを太陽にします。 ボールでは光がでない。
 今プロジェクターの光があたっている所は「昼、夜」です。
 今プロジェクターの光があたっていない所は「昼、夜」です。
 ゴロンゴロンと1回まわると、昼と夜が1回交代しますから、確かに「1年、1月、1日、1週間」です。

質問 太陽のまわりを1回まわるのは「1年、1月、1日、1週間」のどれですか?
 太陽のまわりをまわる間に、ゴロンゴロンと365回自転します。
質問 1月とは何の時間ですか?
 これは地球でなく、月が1まわりする時間です。 月が地球をまわっている。

質問 1週間は何の時間か知っている人がいますか?
 1週間は地球とも太陽とも月とも関係がありません。 キリスト教の神様の話に関係がある。 昔神様が世界をおつくりになった時、6日間かかった。7日目に神様が疲れてお休みになった。 神様がお休みになったのだから、人間も休まなければいけないというので日曜日ができました。
 もともとはユダヤ教からですが、1年生徒はユダヤ教を全く知らないからキリスト教という事にしました。1年の幼稚坊主共「あーあ神様が2日休めば良かったのに…」・・・土曜が休みでなかった頃のお話。

季節と日当たり

質問 この地球儀はかたむいています。 傾いていない地球儀を見た事がありますか?
 地球は傾いたまま回っているから、地球儀も傾いているように作ってあるのです。










質問 図のように地球が一周するとして、夏はどちらですか? 日本は南極より北極に近いので、北極の夏が日本の夏です。 北極の夏イコール日本の夏は右のB図ですか? 左のD図ですか? ヒント---夏と冬はどちらの日当たりが良いか考える。
 
















問題  北極の夏は太陽が1日に何時間出るのでしょう? ただし天気は晴れと考えます。
ア 24時間
イ 18時間位だろう
ウ 12時間
 実験は太陽のかわりがプロジェクターで地球のかわりが地球儀です。 



 このとおり、地球がゴロンゴロンとまわ
っても日当たりのままです。 ですから24時間が正しい。
 社会の時間に白夜というのを習いましたね。 スウェーデン、ノルウェー、フィンランドなど北の国やカナダ、ロシアの北部では、北極と同じ事になり、1日中明るいことになります。

 
 白夜は日本で太陽が沈んでも夕方しばらく明るいのと同じく、太陽が沈んでも大気に日光があたるために生じます。しかしこのような細かい事を聞く生徒は珍しいので、 このようなあいまいな表現のままにしています。質問があった時だけ答えている。





問題 北極の冬は何時間太陽が出るのでしょう?
ア 24時間
イ 0時間             
ウ その他
 北極の冬は1日中真っ暗です。 スウェーデン、ノルウェー、フィンランドなど北の国やカナダ、ロシアの北部では、北極に近いので1日中暗いか、昼頃明るくなるだけで1日のほとんどが真っ暗です。









問題 南極の夏は太陽が何時間でるのでしょうか。
ア 24時間
イ 0時間
 さっき「北極の夏」と書いてあったのを覚えていますか?  北極が夏のとき南極は夏でないから、そう書いたのです。 日当たりが良い季節を夏という事に決めてある。 ですから南極の夏は24時間で、その時北極は冬なのです。
 南極と北極は夏と冬が反対ですから、北極に近い国々と南極のほうに近い国々でも反対です。では次の表を完成させましょう。春夏秋冬のどれかを入れて下さい。

 --------------------  3月4月5月 6月7月8月  9月10月11月  12月1月2月 
 日本、中国、アメリカ        
 オーストラリア、ニュージーランド        

では解答を配ります。 みんなできましたか?  できなかった人はまわりの人
に「どうしてこうなるのか」聞いて下さい。 その間できた人は休憩にします。

 --------------------  3月4月5月 6月7月8月  9月10月11月  12月1月2月 
 日本、中国、アメリカ    春   夏     秋   冬 
 オーストラリア、ニュージーランド    秋    冬     春    夏 

 スキーの好きな人は冬休みに日本でスキーをして、夏休みにはニュージーランドに行けばそこでスキーができます。 お金がかかりますが…・。  ヨーロッパやアメリカの人はクリスマスが冬の寒い季節ですが、オーストラリアやニュージーランドの人が夏の暑い季節にクリスマスがある。

 作業 上と下
  北極に立っている人にとって上とはどっちの方向ですか?
  矢印を書きましょう。

 日本にいる人から見た上はどちらの方向か矢印を書きましょう。

 オーストラリアにいる人かに見た上は?

 要するに「下」とはモノが落ちる方向で、地球の中心の方向が下です。
 「上」とは、下の反対の方向です。






問題 北極では春分、秋分の日太陽が何時間出るでしょうか。 日本では12時間ですが…・。 図をよく見て考えてください。
ア 12時間
イ 24時間                           
ウ その他

 春分、秋分では図のように地平線、水平線から太陽の光が入っている。 つまり地平線、水平線に半分の太陽が見えるのです。 そして地球がゴロンゴロンとまわっても、光は相変わらず地平線、水平線からです。
 日の出の太陽のような、半分の太陽が24時間出ているのです。

















太陽の見かけの運行
 北極では夏太陽が24時間出ていますが、もし北極に行ったとすれば、太陽はどう動いて見えるのでしょうか。 どうせ東から出て西に入るのさ、という人はアワテモノです。 北極に立ったら、東や西はありません。 どちらに行ってもみな南です。   



 










地球儀で確かめましょう。
 図をみて下さい。 北極の真上と太陽からの光との角度は地球がまわっても変わりません。
 水平線、地平線と太陽光との角度も変わりません。
 つまり太陽は同じ高さ(真上からどれだけ離れているか、地平線・水平線からどれだけ離れているか)をまわる、つまり水平にまわるのです。
 北極の1年を考えると次のようになります。
 春分の日には半分の太陽が地平線水平線をまわります。それから1日1日と太陽は水平にまわりながら高くなり、夏至の日(日本では一番昼の長い日)に一番高くなる。
 夏至がすぎると太陽は水平に回りながらだんだん低くなり秋分の日はまた地平線・水平線をまわる。 そのあとは春分の日まで真っ暗となります。 北極は半年昼が続き、半年夜が続くのです。
 
 では赤道では太陽がどう回って見えるのでしょうか。 
 
 左は春分の日の太陽が昼12時どこに見えるかという図です。 真上ですね。

 
 この図は不正確です。しかし少し下から見ればそのようになるから、結論はかわりません。忠実な図では難しすぎる。質問がでたら、これでも
良いのだと答えて下さい。







では夕方どこに沈むのでしょう。 右の図で見ると真西から太陽の光がきているから真西に太陽が見える。 朝はこの図の裏返しですから、朝は真東から太陽が出る。




  








 では日本の沖縄県石垣島の夏至の場合どうなるか考えましょう。 東京や大阪など本土では真上の太陽が見られませんが、石垣島では夏至の日に太陽がほとんど真上にきます。 

質問 石垣島の夏至の日は太陽が昼12時に真上にきます。 夕方「真西、南西、北西」のどこに沈むと思いますか?
 図で確かめてみましょう。 左の図のとおり、夏至の昼12時に太陽は真上です。 夕方は右の図です。 影と日当たり、つまり夜と昼のさかいが夕方です。

 北は北極のほう、南は南極のほうです。
 
地球儀が丸いのを平らな紙に印刷するのでまっすぐになっていません。
 すると太陽の光は北と西の間、北西から入ってきます。 つまり太陽の光が北
西に見える、太陽は北西に沈むのです。 朝は裏返しの図ですから、北東から太
陽が出る事がわかります。 右の図のように太陽が回るように見えるのです。

では石垣島の春分秋分を考えてみましょう。

  
 左の図だと昼12時の光は真上より南から入っています。 つまり太陽が南の空に見える。 また真ん中の図で夕方だと、太陽
の光は真西からです。 ですから右のように、太陽は真東から出て、南の空にのぼり、真西に沈む  
のです。
 
質問 では冬至の日、太陽がどこから出てどこに沈むか想像ができますか? 出るのは「真東、北東、南東」のどこからだと思いますか ??
  下の左の図を先に与える

  右の図は後から与える

 図を書くと、昼の太陽はやはり真上より南ですが、真上とずいぶん角度がある、つまり南の空低く太陽が見える。 夕方は、光が南と西の間から入るから、太陽は南西に見えるのです。     ですから夏至、春分秋分、冬至と並べると次のようになります。












質問 ではオーストラリアやニュージーランドでは太陽はどう回って見えるのでしょうか。 南極ではどう回って見えるのでしょうか。 図に書き入れてみて下さい。 北極、石垣島、赤道の図を並べてよくにらめば、わかります。









 


 





答えは






 





ですから、オーストラリアやニュージーランドでは、昼太陽が北の空に出るのです。

質問 これがわかると東京や大阪、北海道から九州までの日本でどうなるか大体わかりますね。 どことどこの間ですか? そうだとすれば 北海道から九州までの日本では
夏至の日は太陽が「北東、東、南東」から出て、「北西、西、南西」に沈む。
春分の日は太陽が「北東、東、南東」から出て、「北西、西、南西」に沈む。
冬至の日は太陽が「北東、東、南東」から出て、「北西、西、南西」に沈む。
 
時差
 電車や自動車に乗って前に進むと、家や畑などの景色が後ろに進みます
質問 私たちが立って右のほうに回ると、まわりの友達や教室はどちらに回ってみえますか?
質問 太陽は東から西にまわって見える。 地球の自転方向が「西から東にまわる、東から西にまわる」のどちらですか?
 地球は西から東に回っています。 そうすると朝の日当たりの時間は国や地方によって違う事になります。 日本が日当たりになってからしばらくして中国が日当たりになりますから、地球儀とプロジェクターで実験してみましょう。
 中国で夜が終わり朝日が出るとき、もう日本は日当たりになっていますから明るい。 つまり東の日本のほうに太陽が見えるのです。

 そこで「日本」という名ができました。日がのぼる本モトのほうにある国、太陽ののぼる方向にある国という意味です。 図14-2
 日本は昔の日本列島に住む人々が自分でつけた名です。それまで中国では日本を「倭ワ」と言っていました。
 普通ワと読むのだが、国学者がそう読んだ根拠は、日本が悠久の神代から天皇の国であり、倭が和にちがいないからというものだ。本当は委と同じく、ヰ(wiウィ)と読むのであろう。

 英語のJAPANも日本が変化してできた言葉です。日にはジツという読み方があり、中国ではそう読んでいたので、中国に旅行したマルコポーロはそれを聞いてジパングと書きました。 それが変化してジャパンになったのです。








質問 経度というのを社会で習っていますか? 兵庫県の明石市が東経135度とはどういう意味ですか?
 地球を赤道にそって1回りすると360度ですが、イギリスのロンドンをもとにするのでロンドンとその南、北のところは0度、そこから東に測ったのが東経何度という数字です。 つまり明石市はロンドン市より135度東にあるというのです。
質問 地球は1日1回つまり360度まわります。すると1時間では何度まわりますか?
質問 (春分秋分の日)明石はロンドンより何時間早く朝になるのでしょうか。
 明石が朝の9時のとき、ロンドンは何時でしょうか。

星のみかけの動き
質問 星の回り方は簡単にわかる。 太陽と大体同じです。 なぜですか?
   ヒント…太陽はどうして動いて見えるのか考えるとわかります。
ですから北極では、図のようになります。











質問 北極星のまわりの星は1時間で何度まわって見えますか? 
 星の回り方で面倒なのは、公転を考えないといけない場合です。 地球は1年
365日で公転、つまり太陽のまわりを360度まわっていますから、1日では
360/365度まわる。 約1度です。
 北海道から九州までの星の回り方は、北海道から九州までの太陽の回り方と同
じです。 ただし北極星は北に見えてほとんど動かないし、北極星のまわりの星
は北極星をまわるから、そこだけ違います。











 自転の分は1日360度ですから、ほんとうは1日に360度と約1度まわる。 ですから星座は1月たつと同じ時刻で約30度まわったところに見える。1月を30日とすれば、1月たつと星空は30回(自転)と30度(公転)まわるからです。

 ここで、ややこしいテストの練習をします。
練習問題 今日8時に見えた星は9時に何度回って見えますか?
 15度ですね。
練習問題 今日8時に見えた星は10時に何度回って見えますか?
 30度。
練習問題 今日8時に見えた星は明日8時に何度回って見えますか?
 1回りと1度ですから、答は1度とする。
練習問題 今日8時に見えた星は明日9時に何度回って見えますか?
 1回りと1度に15度を足すから。答は16度。  
練習問題 今日8時に見えた星は40日あとの9時に何度回って見えますか?
 40回回ってプラス40度と、15度を足すので、55度です。 でもこんなに回ったら地平線の下で見えない事が多いです。

高度
 高度とは、その星の方向と、その星の方角にひいた線との角です。 図では南に高度30度です。








練習問題
 この星の方角は「東 西 南 北」で、高度は「   」度。








南中
 星の回り方の図でBCDの回り方をする星は真南に来たとき、一番高度が大きくなる、つまり一番高くなります。
この時を南中といいます。
 太陽は昼南中します。 日本では明石市で12時に南中します。 東日本では早く太陽が出ますが、南中も12時以前になります。 沖縄や九州では南中が午後になり、夕方も遅くなります。 なぜかは、日本が朝で中国がまだ暗いという絵を見れば大体わかります。

問題 北極で北極星の高度は何度ですか。

厄介な練習
 日本など北半球での冬至の日、地球から見て太陽の反対側に、ふたご座があります。 なになに座というのは星の集まりの事です。 太陽の後ろにはいて座があります・・・つまりいて座は見えない。 
 北半球の春分の日には、太陽と反対側におとめ座があり、太陽の後ろに魚座ウオザがあります。 つまり魚座は見えない。
 冬至の日、夜中12時に南中する星は何座の星ですか。
 
 北半球の春分の日、夜中12時に南中する星座は?
 北半球の春分の日、夕方南中する星座は?
 北半球の春分の日、明け方南中する星座は?









地球の仲間
太陽のまわりを回る地球の仲間を惑星といいます。
内側から順に、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星です。 ただしギリシャ時代には天王星と海王星がまだ発見されていませんでした。
 同じように太陽のまわりを回る星は多数あるのですが、大多数は星というより岩に近く、小さいというので地球の仲間に数えません。 最近まで冥王星が地球の仲間と考えられていましたが惑星から外されました。、大きさが正確にわかったので、冥王星は小さくて他にもその位のものがあるという理由です。
 図は教科書のもので。

金星が夜中に見えない理由
  
 金星は明けの明星ミョウジョウとか宵ヨイの明星とかいわれ、宵の明星のときは一番星です。 地球に近く、大変明るい。

 でもたまには夜中に見えるでしょうか。
 この図では地球の夜中になっているところが、右の真ん中です。
 これでは、地球が邪魔で見えない。
 よくわからない人はまわりの人に説明してもらって下さい。

 では昼間はなぜ見えないのでしょうか。 実は見えるのです。でも
太陽の光が強いので目立たない。 見える場所が天文年鑑とか天文雑誌に書いてあれば、その方向を見ると天気が良くて、しかも金星と太陽が離れている日なら見えます。

 またこのように考える事もできます。 図でいうと金星はいつでも太陽と同じ側にあり、反対のほうに行かない。 ですから金星はいつでも太陽の側の方向、つまり太陽の近くに見えるのです。 ですから太陽が沈んだすぐ後とか、太陽が昇るすぐ前に見える事になります。

 水星は金星より太陽に近いところを回っているので、夕方太陽が沈んだばかりのとき極く低いところにちょっと見えるとか、明け方日の出の前に低いところにちょっと出るという事になります。 太陽が沈んだすぐ後とか太陽が昇る直前しか見えないし、極く低いところに見えるから空気が澄んでいないと見えない事になる。 ですから、東京や大阪、横浜、名古屋などの大都市にいたのでは水星を見ることが難しい。

逆行 

 惑星は太陽のまわりを回っていますから、星座の星の間を少しづつ動いてゆきます。
 例えば、1972年に射手座(南斗六星がある)のあたりに木星が見えたとき、木星は図のように動いて見えました。
 金星のように地球の内側をまわるなら、右に動いたり左に動いて当たり前ですが、火星や木星のように地球の外側を回るものは、どうして右に動いたり左に動いたりして見えるのでしょうか。



  快速電車・急行電車に乗って、各駅停車の電車を追い越すとき、各駅停車の電車が反対に動くように見えませんか?  はじめ各駅停車の電車はゆっくり前のほうに走っていますが、追い越すときは後ろに下がるように見えます。そして追い越すともまたゆっくり前のほうに動くように見える。

 電車やタクシーに乗ってバスを追い越すときも同じようにバスが後ろに下がるように見えます。 またバスに乗って自転車を追い越すときも同じように自転車が後ずさりするように見えます。 つまり速い乗り物に乗って遅い乗り物を追い越すとき、そう見えるのです。 見た事がない人は、これから速い乗り物に乗ったとき、注意して景色をみて下さい。

 
 その理由を図に書くとこうなります。 追い越すとき、見る方向が急に後ろのほうに変化し、追い越してしまえば、また前のほうに変化します。