歴史の教科書に出てくる「ハムラビ法典」は4000年近く前にバビロニアという国(今のイラク南部)
の王様ハムラビ王(ハンムラビ王)が定めた法律です。
------「目には目」で有名な条文---
ハムラビ法典の感想はどうですか?
ア. 原始的で野蛮な法律だと思う。
イ. 合理的な法律だと思う。
ウ. その他
バビロニア、エジプト、インド、中国などの古代文明ははじめから王様や皇帝のおさめる大きな国だっ
たのではありません。 その前には「都市国家という1つの町イコール国というミニ国家」や「部族
の長がおさめる地方」が多数あるという時代がありました。
部族とは血のつながった親類、またはつながっていると信じられている人々の
集まりです。
日本でも後漢書という中国の本では、(約2000年前には)30以上の小さい国があり、それぞれ王
様がいてその王様たちは倭王に従っていると書いてあります。 そのあとの時代を書いた三国志と
いう本では、大部分の「国」の王様がいなくなり、女王が直接おさめている事になっています。
たいていの国では原始社会--都市国家や部族地域--古代国家と歴史が進みます。
1つの国にまとまるより前の大変古い時代の事を詳しく書いた本ではサガというアイスランドの本が
有名です。
文学であり全部が本当の歴史なのではないと歴史学者は考えていますが、その時代の様子はよくわ
かるので歴史の貴重な記録でもあると考えられています。
主なものは谷口一幸氏による日本語訳があります。
その中でアイスランド人の先祖の物語であるニャールのサガのあらすじは次のようです。
グンナルとニャールは友達であったが、ニャールの家で妻同士の対立がはじまった。
『ヘルギとその妻ソールハラが帰ってきた。 そこでベルグソーラ(ニャールの妻)が壁際のベンチに
行きハルゲルズ(グンナルの妻)に「この人のために席をあけて下さい」と言った。
ハルゲルズは「譲れないわ。年寄りみたいに隅の席にすわりたくありませんからね。」
「ここをとりしきっているのはわたしです。」とベルグソーラは言った。』
二人の口げんかがはじまり、侮辱合戦となり、ハルゲルズは腹を立てたまま家に帰ります。
ハルゲルズは使用人コルに頼んで、ベルグソーラの使用人スヴアルトを殺します。
グンナルとニャールは友達ですから、慰謝料として12オンスの銀をグンナルが払うことにして話
を終わりにしようとします。
ところがベルグソーラはアトリという男をやとって、犯人のコルを殺します。
今度はニャールが12オンスの銀を払いました。
ハルゲルズはプリュニョールヴという不良を雇い、アトリを殺させます。 またグンナルが慰謝料
を払うことになりました。 ベルグソーラはソールズに頼み、プリュニョールブを殺させます。
ほかの殺人事件も多く話は複雑になってゆきます。
最後には家族・親戚が殺人合戦に参加し、小型の戦争になりグンナル本人もニャール本人も殺され
ることになります。 ニャールが死ぬ場面です。
『フロシは言った。 「あなたは外に出て頂きたい。中で焼き殺されるのにふさわしくない方だから
だ」 ニャールは言った「わしは外に出たくない。 それはわしが年寄りで息子たちの仇を討つこと
ができないからだ。 生き恥をさらしたくない。」』
フロシはニャールたちを包囲している人々の隊長です。 ニャールがいままで争いの平和的解決に
努力してきたのを知っているので、ニャールさんあなただけは殺したくないというのです。
それに対してニャールは答えます。 息子たちを殺されたらこれまで平和主義だった自分も復讐を
しなければならない。 しかし自分は老人で復讐をする力がない。 あいつは復讐もせず生きている
という非難を受けたくない。だから自分も殺してくれというのです。
他のサガでも、何かやられたら仕返しをするのが当たり前になっていて、仕返しをしないのは恥だ
と考えられていた事がわかります。
今でもパキスタン北西部の寒冷な高地で農業に不適なため貧しい地域が「部族自治区域」になっています。
研究のためその地域を旅行したJ.スペインという学者の報告(「シルクロードの謎の民」)によれば、そこで
は今でも復讐が普通の事だという事です。 部族は西アジアやアフリカの貧しい地域でまだ存在しているの
です。
バビロニアでも以前はこのような状態だったと考えられています。
もう一度「目には目…」の条文を読む。
ハムラビ法典の感想はどうですか?
エ. 原始的で野蛮な法律だと思う。
オ. 合理的な法律だと思う。
カ. その他