遺伝と癌ガンの話

  容易さB-C 完成度Bというところ。

--- 教科書の蛙の受精と発生の図。

核 染色体 遺伝子
 蛙は受精卵という1個の細胞からはじまります。 人間もやはり受精卵という 1個の細胞からはじまります。 私たちは1個の細胞からはじまりできたのです が、その1個の細胞に顔の形や体格、性格などがしまいこまれているのでしょう か。
 1卵性の双子を知っていますか? 1つの受精卵は細胞分裂を繰り返して普通は 1人の赤ちゃんになりますが、2人の赤ちゃんになる時がある。    母親の卵が2個出て2人の赤ちゃんができるときは、二卵性という。  顔も体格もそっくりで、親がホクロの位置の違いで区別するという事も普通で す。
  一緒に育つと運動の記録もテストの点数も性格もほとんど同じになる。   ただし別々に育つと、運動の記録やテストの成績や性格がかなり違うこともあります。
  では顔などの性質は受精卵のどこにしまいこまれているのでしょうか。

 最近牛(や羊)の卵子を取り出して、その中の核を取り出し、別の牛(や羊)の細胞 の核と取り替えてしまう事ができるようになりました。 取り替えてからもとの 牛(や羊) のメスのおなかにもどすのです。  そうするとその卵子からできた牛や羊は生んだ牛や羊の性質に似るのですか?  核のほうの牛や羊の性質に似るのですか? 知っている人…。
 牛の体格や毛の色など牛の性質は核のほうの牛とほとんど同じになる。 クローン牛と言っています。 クローン羊もある。  ただしクローン人間は作るといろいろ問題がおきるというので、多数の国で研究が禁止になっています。   核の重要性は教科書の受精の絵をみてもわかる。 雄の精子の核だけが卵の中 に入り、雌の卵の核と合体すると、細胞の分裂がじまる。  君たちの性質はお父さんに似ているものが多いですか? お母さんに似ている性 質がおおいですか?   両方いますね。 核が遺伝の中で特別重要だから、お父さんに似ている人も多数いるのです。 精子の核しか受精卵の中に入らないのですから。

 では核の中で特別重要なのは?
 教科書の細胞分裂の部分を読み、顕微鏡観察。  細胞が分裂するときは、まったく同じもの2つになるのが普通です。つまり正確なコピーをする。
  この絵を見ると、最初にコピーが作られ2つになるのは何ですか?  染色体が2つづつでき、1セットづつわかれ、それから新しい核が2つとなり、 細胞が2つとなる。  核の染色体が最初にコピーされるのだから、染色体は何か重要な役をするのではないでしょうか。
 学者の研究では核の中の染色体が顔や体格を決めている。 染色体はアデニン、グアニン、チミン、シトシンという4種類の分子(とたんぱく質)がつながった巨大分子からできています。 この4つの種類と並び方にしたがって普通のたんぱ く質がつくられる。   
   分子の図省略。多数の本にあり。  

  一卵性の双子はこの4種類の並び方が全くおなじ染色体を持っているから、同 じ種類のたんぱく質ができる。 細胞はたんぱく質からできていますから同じ細胞ができる。 人間は細胞からできているから、顔や体格のそっくりな人間がで きてしまうことになる。  ただし 運動能力、勉強の成績、性格などは、育ち・努力でかなり変わるので細胞が同じでも、大分違う人間になる場合があります。

  大やけどをした人に自分の皮膚をおしりからとって移すことは容易な手術だと されています。 しかし他人の皮膚を移そうとすると白血球に攻撃されてしまうから、お医者さんは白血球の攻撃を妨害する薬をつかっています。 
 内臓が悪く なったのて、交通事故などで死んだ人の内臓を貰って取り替えるときも白血球の攻撃がありま す。 ところが白血球の攻撃を妨害すると、細菌やウィルス を攻撃する能力も下がりますから、手術が難しくなる。  一卵性のふたご同士なら染色体が同じ細胞から出来ていますから、皮膚や内臓 をうつしても白血球にそれらの細胞が殺される事はありません。 しかし大多数 の人は一卵性の双子ではないから、病院ではできるだけ染色体の性質の似た人の皮膚や内臓を選んで使い、白血球の攻撃を弱くするようにして薬を減らしていま す。

 受精のときは、父親細胞の染色体の半分が精子に入り、母親細胞の染色体の半 分が卵子に入ります。  正確にいうと、4種類の分子のうち、大部分は何をするかわからない部分で、たんぱく質 を決める部分はところどころにあるだけです。学者はその部分を遺伝子イデンシと言っています。  ですから遺伝子は多数ある。

突然変異と癌
 染色体のコピーはふつう正確ですが、たまには間違えることもあります。放射線、紫外線、タバコ、多数の染料や防腐剤…などは正確なコピーを妨害しますか ら、多数の間違い染色体ができ、間違い細胞ができます。  たいていの間違い細胞は白血球が見つけて殺してしまう。 しかし白血球に見 つからないで勝手に増える細胞ができ、癌細胞にまで変化する事があります。
 
   どんな間違い細胞ができるかは、サイコロやルーレットと同じで、完全なマグレアタリの世界です。  ですから、タバコを毎日1箱以上吸って90まで生きる運の良い人もいれ ば、夫のタバコの煙を横にいて吸ったため40前に癌になる運の悪い妻もいます。  平均的には1日1箱タバコを吸っている人のほうが吸わない人より5年位寿命 が短いし、本数が少ないほど癌もすくなくなり寿命は長くなる。 1本吸ってもそ の分癌になりやすいから平均的には寿命が短くなる。 しかし運が良ければ長生 きする事もあるのです。
  
  また癌ができるまで、普通は何十年もかかりますから、60すぎればタバコを吸 っても大体安全だと考えられています。 なぜだかわかりますね。 タバコをは じめると、癌になるほうが早いか寿命のくるほうが早いかという事になりますか ら、若い人ほど危ない。
  人工染料はたいていガンをつくる働きがありますから、ガンをつくる働きが特別少ない5種類の色素だけ食品に使って良い事になっています。 天然色素が全部安全という証明はありません。

  口紅には5種類以外の色素も使って良い ことになっています。 ですから若いうちは自然の美しさのままにし、年をとっ たら使うようにすれば安全です。 なぜだかわかりますね。 また防腐剤や化粧 品などもその働きのある物質を使っている場合があります。 頭髪の脱色剤・着色剤はかなり毒性が強い薬品が使われていますから何十年かあとの癌の可能性が増える。

  放射線はタバコと同じく安全量ゼロで、どんなに弱いものでもその分癌になりやすくなるという事が広島長崎原爆被害の研究でわかっています。 広島や長崎に当時いた人は運良く生き残っていても癌になりやすいという被害が今でも存在します。 ですから、最近はお医者さんがレントゲン写真を写すときは、できるだけ弱い放射線、できるだけ短い時間とし、また絶対必要な部分にだけしか放射線があたらないようにしています。

 最近問題になりはじめたのは、石綿と携帯電話です。  石綿の粉が癌のもとである事は1975年頃には学者の間で世界中常識になり、80年代 には国会で質問や取り締まり法案が出た事もありました(ただし賛成少数で法律はできず)が、普通の人はそれを知 らず石綿を使い続け、家や学校の壁や天井にも使われまし た。
  生徒の中には理科室の石綿金網を投げて遊び石綿の粉を吸ってしまった人もいたよ うです。
 石綿だけでも癌の原因ですが、タバコと一緒だと毒性が数倍増大する事がわかっているので、先生の言うことをきかず石綿金網で遊んだ元イタズラボウズは絶対にタバコを吸わないようにしましょう。

 携帯電話から出る強い電磁波が何十年かあとの癌のもとになる危険性の大きさ はどの位かという事が学者の中で議論されています。 強い電磁波も癌のもとで ある事は確かですが、実際どの位できるかはタバコや放射能ほど研究が進んでいなくて不明の部分があり、使用を厳しく取り締まる国もありますが日本のように自由な国のほうが 普通です。
 
  安全第一主義なら使わないほうがよく、もし使うなら送信の時間を一言だけ にして短くします。 受信はこちらから電磁波がでないから安全です。 テレビ・ ラジオ・親子電話・ワイヤレスマイクの電磁波などは大変弱いので安全です。 タバコや放射能と違い弱いと絶対安全と考えられています。 電子レンジやデスクトップパソコンからもかなり電磁波がでますが、正面は電磁波がほとんど出 ないから安全です。 ただしIT調理器は物凄く出る。 デスクトップパソコンの裏からはかなり出るので、銀紙を張ったついたてを置けば安全です。 ポータブルパソコンから出るのはかなり弱い。 電気カミソリもパワーの強いものだとかなり出るし、風呂のあとの頭を乾かすドライヤーからもかなり出る。 60歳になったら携帯電話も電気カミソリも安全と考えられています。

自然にできる癌と人間誕生
 では染めていない防腐剤も使わないという自然食品だけを食べ、口紅を使わず、 化粧はできるだけせず、髪の毛の脱色着色をせず、携帯電話は使わず、電気カミソリやドライヤーも使わず、夏の強い光線のときは、帽子をかぶるようにすればガンはふせげるでしょうか。 光線があまり強いと皮膚の癌ができやすくなり、西洋人のように皮膚の白い人は要用心で夏に帽子がほしい。

 学者の推定では、今の日本での癌患者は4割がタバコのせい、3割が食品添加 物ほかの人工的原因ですが、あとの3割は運が悪いだけで仕方がないそうです。  自然食品も100%安全ではなく、コピー間違いの原因となる物質(分子)を含んでいるものもあります。
  太陽光線を完全にあたらないようにすれば健康に悪いし、ま た自然の放射線は太陽以外からも出ています。 ですから、癌を完全にふせぐ事は不可能です。

  しかしこのコピー間違いは悪い事だけではありません。 間違いのために私たち人間ができたのです。精子や卵子ので きるときのコピー間違いの大部分は有害で死や奇形の原因になりますが、ごく稀 に良いほうに間違える事があります。  そして何億年もの間には良いほうの間違いが多数生じて魚から両生類になり、 は虫類になり…チンパンジーとの共通祖先の尾なしざるとなり、ついに人間にな ったのです。

  実際の授業ではウサギの耳にタールを塗り続けると、例外なく癌ができたという山極勝三郎の話・・・野口英世の研究と違い、ホンモノの一流研究であったが、本人が長生きしなかったのでノーベル賞をもらえなかったという話を入れていました。 しかし本質的でない話に時間がよけいかかるのでカット。