気象の話
犬塚さんにのせて頂いた仮説理論集にあるものよりかなり良くなっていると思いますが、僕の現役引退で改良が困難になるので、みなさんにまともな授業書にしていただければと思います。 いまのままでは完成度C、授業のしやすさC。
気象で良い授業をするのが困難な理由は、1つの現象を説明するのに複数、時に多数の理論が必要な事です。 仮説実験授業の授業書の大多数は、1つの理論を教えるのに多数の実験や多数の観察を使っている。 だから1つ1つの理論が納得しやすいだけでなく、条件反射化して理論が「体得」され、次に進むことができます。
気象のようなマクロな科学では、ふつうの授業書のような構造にすると多数の理論を扱うため長大になる一方焦点がはっきりしなくなる。 実験観察を少数とし、一部を押し付ける他はなく、少しでも納得しやすいように、お話を多くする必要があり(マクロな科学の面白さの半分はそのお話の面白さですから)そのお話の工夫が要ると考えられます。
また関係ある理論の多くに付き合っているため、理屈が複雑になり授業がわかりにくくなっているので、理論を一部けずるか、理論の説明になる別授業書がほしいという感じです。 実際の授業では、以下のように「これから説明するところはわからなくて良い・・・テストは暗記だけで出来るように作る」という宣言が何箇所かあります。 現在の授業書の主要な問題はその宣言が書かれている部分です。
気象の話
東京や大阪の気温
1日の気温はたいてい昼すぎが高く、明け方が低い。 そこで気温の平均を示すことにします。 ですから平均気温25度といえば、昼の最高温度は30度以上になる事が多く、平均気温3度といえば明け方はマイナスなのが普通だと思って下さい。
質問 東京で一番平均気温の高い月は? 1998年で
6--21.7 7---25.2 8--- 27.1 です。 9月は23.2とまた低くなります。
質問 一番昼が長く、一番高く太陽が上る日は何月ですか?
6月に夏至があり、6月全体としても一番昼が長く夜が短い月です。 しかし次に昼が長い7月のほうが暑く、もっと昼の短い8月はさらに気温が高いのです。 暑いから夏休みにしている。
なぜ8月が一番暑いのでしょうか。
問題 北海道に梅雨はありません。 その北海道の一番北の町である稚内ワッカナイでは6月の雨量66.4ミリ、7月68.7ミリ 8月 142.0ミリで8月の雨が一番多い。 つまり稚内での夏の天気は6月が良く、次は7月で8月は一番天気が悪い。
では稚内では6月、7月、8月のうち一番気温が高いのは
ア 6月 イ 7月 ウ 8月
稚内の気温は6月12.4 7月16.8 8月19.2 と、東京よりずっと低い温度ですがやはり8月が一番高い。天気が良くても悪くても8月が一番暑いのであり、8月が暑いというのは別の理由があるのです。
質問 いまバーナーで太い試験管の中の水を熱しています。 強い火で約70度にしました。 理科係の人は証人になって下さい。 正確にいうと何度ですか?
ではこれから少し弱い火にします。 こうしたら湯の温度は70度から下がると思いますか? 上がると思いますか?
少しぐらいバーナーの火力を弱くしても、空気中に逃げる熱より、火から与えられる熱のほうが大きければ、熱はたまって行き、温度が高くなります。
ここで落ちこぼれが少数でます。温度と熱量の概念が曖昧で混同する生徒がいる…以前の授業(教科書)に問題があると思われます。 温度と熱量がはっきり区別できるような授業書が必要ですが、思いつかない。ここでの実験が1例では少なすぎるようです。
東京でも稚内でも昼太陽から熱をもらい温まり、夜は宇宙に熱が逃げて温度が下がります。もらう熱が逃げる熱より大きければ、火の強さは弱くなっても湯の温度はあがります。 7月8月は太陽からもらう熱のほうが宇宙に逃げる熱より大きいので、太陽光線そのものは弱くなりますが、温度は上がるのです。
1日の気温変化
質問 晴の日は普通何時ころが一番高くなるのでしょうか。 朝6時ころ 昼12時ころ 午後2時ころ 夕方6時ころ
質問 太陽が一番高くなり、光線が一番強いのは何時ころですか。
質問 どうして2時ころのほうが、気温がたいてい高いかわかりますか。 わからなかったらまわりの人に聞いてみて下さい。
では昼は太陽から熱をもらい、夜は宇宙に熱が逃げるというのはどういう事でしょうか。
写真電球つまり小型のスポットライトを持ってきました。
理科係の人は実験台になって下さい。 横やや後ろから顔にライト。 「暖かさを感じますか? 」 紙か有色下敷きで光をさえぎり、 「暖かさを感じますか? 」
実験希望者がいたら、前に出て下さい。その人にライトをあてます。
電球も太陽も、眼に見える光のほかに、眼に見えない光…赤外線を出しています。 赤外線は見えないが、ある程度強いと皮膚が暖かさとして感じます。 光ですから紙(下敷き)があると、そこから先は伝わらない。
この説明だと可視光線は暖かさに関係ないという誤解が生ずる可能性が高いが、そのあたりをキチンと実験でやると、焦点がぼけるのでカット。またプリズムで赤のとなりに赤外線があるという証明をする実験(実際に使ったのは透明ガラス封入のゲルマニウムダイオードと高感度電流計、小型の太陽電池と普通のミリアンペア計でも良いはず)も実際の授業ではしていましたが、時間がかかるので、この案ではカット。 実験をするなら、この授業の最初・気温の話の前ににやっておきます。
最近は赤外線コタツとか赤外線ストーブがあります。 ヒーターが空気を暖めその空気で私たちが暖まるというのでなく、赤外線が足にあたるので直接暖かいというものです。 赤外線という見えない光を出すものは隣の赤い光も少しは出すのが普通ですから、赤外線コタツは暗く赤色に光って見えます。
太陽からきた光で昼地球を暖めているのは主に赤外線です。 冬日に当たっていると暖かいのは太陽からの赤外線のためです。
では地球はなぜ夜冷えるのでしょうか。
地球も赤外線を出して夜は宇宙を暖めているので、その分地球は冷えてしまうのです。
太陽や地球だけでなく、私たち人間もイヌもネコも、また石ころやかべも木もみな赤外線を出しています。 私たちは太陽や電球より温度が低いので、私たちの出す赤外線が太陽や電球や赤外線コタツ・ストーブほど強くないだけです。 ですから、赤外線に感じる特別なビデオカメラや特殊フィルムでは真っ暗でも写る事がある。
真っ暗なところに出てきた誘拐犯人を逮捕するとき、警察は赤外線スコープ(暗視スコープ)を使い、刑事には犯人の姿が見えるようにします。 ディジタルカメラのファインダーのようなもので赤外線が見えるという機械が、赤外線スコープです。 もしその機械があれば見せてもらいましょう。
修学旅行に持ってゆき、夜中暴れる人間ゴキブリ「逮捕」に使っていた。今はインターネットで容易に入手可能
夜に泥棒が入ったとき、泥棒が壁によりかかると、警察は泥棒の身長を知る事ができます。 人間は壁より暖かいので、人間のよりかかった部分はしばらくの間まわりより温度が高く強い赤外線を出しているから、赤外線の写るフィルムで写真を写すとわかる。
太陽や電球や赤外線ストーブは私たちより強い赤外線を出しているので、そういうものに当たると「もらう熱のほうが、与える熱よりずっと多い」事になり、暖かい。逆に大きな氷の前に立つと、氷の出す赤外線が私たちの出す赤外線より弱いので私たちの体から熱が出る事になり、氷に触らなくても冷たさを感じます。
昔の電気式でない冷蔵庫に使ったような大きな氷が入手できれば、生徒がこれらの理屈の正しい事を実感できますから実験したいです。氷との間に障害物をおいて人間から出る赤外線をさえぎると、ひんやりした感じがなくなるのに驚く生徒がかなりいる。
雲は白く眼に見える光をよく反射しますが、赤外線もよく反射します。ですから夜が曇っていると地面から宇宙に向けて出てゆく赤外線がもどってくるから、夜の温度があまり下がらない。
冬は昼晴れていて夜曇りだと暖かいのが普通で、昼曇りで夜晴れだとあけがたひどく寒い事になる。 昼は太陽の赤外線がよくあたり、夜は地面からの赤外線が雲のために反射して返ってくれば、暖かい。 昼の天気が悪くて太陽の赤外線があまり当たらず、夜は晴れて地面からの赤外線が宇宙に出てゆくと大変寒い事になる。 夏は夜晴れているほうが、次の朝が涼しくなるのです。
質問 1番気温の低い月は何月ですか?
1998年の東京の数字ですが、12月7.9度、1月5.2度 2月5.6度。
日本のたいていの地方で1月が最低というのが普通の年ですが、2月が一番寒いという年もあります。大体同じ位だと思って良い。
一番太陽光線の弱い12月でなく、1月か2月となります。 1月は12月より昼が長いのですが、まだ逃げる熱より太陽からもらう熱のほうが少ないので温度は下がる。 2月はかなり日光が強くなり昼も長くなるが、それで逃げる熱ともらう熱が同じ位なので、2月の気温は1月と同じ位なのです。 3月になるともらう熱が大きくなり温度が上がる。
まとめ「太陽の光が一番強いのは夏至のある6月だが、太陽の光が7月8月でもある程度強いので、太陽からもらう熱が夜宇宙に逃げる熱より大きく、7月8月と気温は上がってしまう。 同じ理由で1月2月は12月より寒い。」
まとめ板書
「太陽、電球、コタツ、ストーブだけでなく、どんなものでも赤外線を出している。 温度が高いと赤外線は強い。 夜は地面が赤外線を宇宙に向けて出すから温度は下がる。 ただし夜曇っていると赤外線を雲が反射するのであまり温度が下がらない。」
気象は生徒から見るとややこしい話が多いのでこのように復習をし、板書してノートに書かせます。
東京と銚子、伊豆大島の暑さ寒さ
東京都の隣に千葉県がありますが、千葉県には海の中に突き出した銚子チョウシという町があり、そこでは北風も南風も東の風も海から吹いてきます。
伊豆大島は東京都の島ですが、千葉県より南にあり、島ですから、北風も南風も東風も西風も海から吹いてきます。
問題 東京(気象庁のある千代田区)、銚子、伊豆大島のうち夏の気温が一番高いのはどこでしょうか。
ア 東京 イ 銚子 ウ 大島
一番高いのは東京です。
東京 銚子市 伊豆大島
7月 25.1 22.6 23.0
8月 27.1 24.9 24.5
問題 東京(気象庁のある千代田区)、銚子、大島のうち冬の気温が一番低いのはどこでしょうか。
ア 東京 イ 銚子 ウ 伊豆大島
冬一番気温が低いのは東京です。
東京 銚子市 伊豆大島
1月 5.2 5.8 6.1
2月 5.6 6.1 6.0
冬に氷が張る寒い日、海の水は0度位に下がるでしょうか。そんな事はありません。
銚子や大島はその海に温められた空気が風となってやってくるので暖かいのです。 なんだこの位の差は大した事ないと思ってはいけません。次の数字を見て下さい。
1970だと 東京 銚子市 伊豆大島
1月 3.7 5.7 6.4
2月 4.3 6.0 6.5
となっていて、銚子や大島が海のため暖かい事がよくわかる。 東京だけ温度が約30年の間に別の原因で高くなったのです。 工場や自動車、家庭から出る熱や煙のせいだといわれています。
銚子や大島の気候は海の影響が大きい。
夏のプールでは気温が35度以上になっても水の温度は30度以下が普通です。 海でもそうですから、海から吹いてくる風の気温は低く、銚子や大島は涼しいのです。1970だと
東京 銚子市 伊豆大島
7月 25.1 23.0 23.3
8月 26.4 24.7 24.7
とやはり銚子、大島のほうが涼しい。
練習 練馬区など東京23区の西北部では、海に近い千代田区にある気象庁にくらべて温度はどうでしょうか。 夏の昼はどちらが高いですか? 冬の朝はどちらが低いですか?
気象庁が練馬区石神井公園から600m位はなれたところで測定した結果では夏の最高気温は1度ほど高く、冬の最低気温は1-2度低い。 差が大きすぎるようですが、気象庁は皇居(天皇の宮殿の場所)のお堀という大きい池の前にあるのでその影響もある(夏は涼しく、冬は暖かくなる)と考えられます。 最近はインタ
ーネットで、「東京」(千代田区の皇居近く)と海から遠い練馬区や立川市などとの気温くらべができます。
問題 北海道の地図を見て下さい。 北の稚内、北東の網走、南東の釧路、中央部の旭川では、夏の気温が一番高いのは?
稚内 網走 釧路 旭川 1998
7月 16.8 17.1 15.3 20.4
8月 19.2 19.1 17.8 20.9
旭川です。
問題 冬の気温は4つの町のどこが一番低いですか?
稚内 網走 釧路 旭川 1998
1月 -5.5 -6.5 -6.1 -8.4
2月 -5.7 -7.2 -6.0 -7.7
やはり一番寒いのは旭川です。
板書のまとめ、「水は温まりにくくさめにくいので、海の近くでは夏涼しく、冬暖かくなる」
東京や大阪と熱帯の町との暑さくらべ
では東京や大阪の気温を外国の気温とくらべましょう。 大阪は7月27.0,8月28.2です。 ただしこれは大阪の測候所(ソッコウジョ 気象庁が機械を置いて測定をする)の気温が気象庁の気温より高いのであり、東京23区の大部分より大阪の区内の気温が高いのかどうかはわかりません。 夏の「東京の気温」つまり気象庁の気温は東京の大部分の場所の気温より低いのですから。
問題 東京や大阪の夏の気温は次のどれと同じ位だと思いますか? 1998年です。
ア イギリスのロンドンやフランスのパリ位、
イ イタリアのローマ位、
ウ エジプトのアレキサンドリア位
ロンドン パリ ローマ アレキサンドリア 東京 大阪
7月 16.5 18.4 23.6 26.3 25.2 27.0
8月 16.2 18.0 23.8 26.8 27.1 28.2
エジプトのアレキサンドリアと同じ位の気温です。 エジプトのほうが乾いていますから、東京や大阪のほうがはるかに暑い。 夏にネクタイをしているのはイギリスやフランスから明治時代に伝わった習慣ですが、ロンドンやパリの夏は東京・大阪の5月より気温が低いからそれで苦しくない。 東京や大阪で夏にネクタイをすれば大汗をかくのは当たり前です。
太陽の光の強さを決めている緯度、つまりこれらの町が赤道と北極の間のどのあたりにあるかをしらべましょう。 赤道は0度、北極は90度です。
問題 地図を見ないで答えて下さい。 東京や大阪の緯度はロンドン、パリ、ローマ、アレキサンドリアのうちどれと同じ位だと思いますか? つまり日本を西に動かしてヨーロッパやアフリカのあるところに持って行くとしたら、どのあたりなのでしょうか。
ア ロンドン イ パリ ウ ローマ エ アレキサンドリア
アレキサンドリアと同じ位だから、東京や大阪はエジプトと同じ位しか赤道から離れていない、日あたりはエジプト位だからエジプト位の気温で当然だという事になります。
では赤道近くの熱帯、亜熱帯では東京・大阪よりもっと暑いのでしょうか。
問題 米国ハワイのホノルル市、ベトナム南部のホーチミン市、キューバのハバナ市、インドネシアのジャカルタ市を地図で見つけて下さい。 これらの町の7月、8月の気温は、
ア 東京や大阪より高い
イ 東京や大阪と同じ位
7月 8月
米国ハワイのホノルル市 27.0 27.5
ベトナム南部のホーチミン市 27.4, 27.7
キューバのハバナ市 26.1 27.1
インドネシアのジャカルタ市 27.1 27.1
東京 25.2 27.1
大阪 27.0 28.2
東京、大阪の暑さは熱帯と変わらないという事になります。 ですから東京(や大阪、名古屋、横浜、北九州など)に住んでいる人は、熱帯にいっても困らない。 東京や大阪は7月8月と9月前半が暑い。 亜熱帯の沖縄県では5月から10月まで暑い。 熱帯では1年中暑いというだけです。
どうして東京や大阪の気温はそんなに高いのでしょうか。
赤道では1年中昼が12時間、夜12時間です。 しかし東京や大阪では夏に昼が長い。
お湯をわかす時、強い火ならすぐ湯がわく。 少し弱い火でも時間をかければやはり湯がわく。 それが東京の夏です。 北緯35度くらいまでだと、夏の場合は太陽光線が斜めになり弱くなっても太陽の照る時間が長いために、太陽から来る熱量はあまりかわらないのです。 それが東京や大阪、エジプトが夏に赤道と同じ位の気温になる理由です。
ただし水も植物のない砂漠はもっと気温が高い。イラクのバグダッドとかイランのテヘランは砂漠の中のオアシス都市ですから、気温の高い月は平均30度以上になります。 ただし砂漠は空気が乾いていますから、これらの町が東京や大阪より暑くて苦しいとはいえません。 ただしインドは特別暑く温度も湿度も東京や大阪より上の地方が多い。 その理由は後にします。
まとめ板書「東京、大阪の夏はヨーロッパよりずっと暑く、熱帯なみである」「東京や大阪はエジプト北部と同じ緯度であり、その緯度くらいまでは太陽光線が熱帯に比べてそれほど弱くないので、長い昼のあいだ暖められると同じ温度になってしまう」「東京・大阪は7月8月9月前半が暑く、亜熱帯の沖縄は5月から10月まで暑く、熱帯は1年中暑いという違いはある」
東京・大阪と外国の町との寒さ比べ
世界の平地で一番温度が低いという記録はどこの場所の記録でしょうか。南極です。マイナス81度。 0度より81度も低い!! 二酸化炭素が液体どころか固体という寒さです。
では北半球では? 北極ではない。 ロシア・シベリアのヴェルホヤンスクという町です。 マイナス71度。
北極は陸でなく海ですから、陸であるシベリアのほうが温度は低くなります。
日本では平地の最低記録が旭川のマイナス41度です。
東京や大阪の冬の気温
問題 では東京や大阪の冬の気温を外国と比べましょう。
ア ロンドンやパリ位、
イ ローマ位、
ウ アレキサンドリア位
ロンドン、 パリ ローマ アレキサンドリア 東京 大阪
1月 3.8 3.5 8.0 13.6 5.2 5.5
2月 4.0 4.2 8.8 14.2 5.6 5.8
ですから、ロンドンやパリより1-2度上ですが、ローマより3度くらい下です。
東京や大阪は夏の気温がエジプトと同じ位で、冬はイギリス、フランスとたいして変わらない低い気温なのです。 夏が熱帯と同じで、冬は南フランス位なのです。 どうしてそんなに寒さ、暑さの違いが大きいのでしょう。
緯度はエジプト位ですから日当たりはエジプト位であり、太陽は夏だけでなく冬でもエジプトと同じだけ東京や大阪を暖めているのです。 ですから空気がじっとしていれば東京や大阪はエジプト位の暖かい冬になるはずです。 つまり寒いのは冷たい空気がどこからかやってきたためです。 その冷たい空気はどこから来るのでしょうか。
冬の風はどの方角から吹きますか?
北のシベリアから冷たい空気がくる。 そのシベリアは北半球で一番寒い。その空気が動くつまりそこから吹く風(季節風という)のせいで、日本は南にあるわりに冬の気温が低いのです。
シベリアの寒い理由は陸であるほかにもうひとつあると科学者は言っています。ヒマラヤがあるとヒマラヤはインドとシベリアの間の壁になっていますから、インドの高温の空気とシベリアの低温の空気がまじらず、熱い空気はインドにたまり、冷たい空気はシベリアにたまる。 だからインドは特別暑く、シベリアは特別寒くなるというわけです。
まとめ「冬にはシベリアから冷たい空気が北風となって日本にくるため、日本は南にあるわりには大変寒い」
冬シベリアから風が吹いてくる理由
では冬にシベリアから風が吹くのはどうしてでしょうか。
バーナーでポリエチレンの袋の空気を暖めます。 手を離すとポリエチレンの袋は? ミニ熱気球です。
冬は海と陸ではどちらの温度が高いですか?
そうすると太平洋とシベリアではどちらの空気が上に昇りますか?
シベリアでは空気が落ちてきて空気が濃くなるのですが、太平洋では空気がうすくなります。 絵をかく。
質問 太平洋で空気が昇り空気が減ったら(薄くなったら)そこにいる船の人は空気が薄くなって死ぬはずですが、どうしてそうならないと思いますか?
太平洋では空気が昇り、シベリアでは空気が落ちてきますが、その空気はシベリアから太平洋のほうに動く。 その冷たい空気の移動の途中に日本があるのです。それが冬の季節風つまり北風です。 寒い寒いシベリアの冷たい空気が来るから、東京や大阪は赤道に近いわりに冬寒いのです。
シベリアがあるから、東京や大阪は温帯で亜熱帯ではない。 シベリアがなければ季節風がなくなり、東京や大阪どころか新潟でも雪がなくなり、北海道の雪も減って日本のスキー場はほとんどつぶれてしまいます。 そして雪が少ないと水不足で苦しむ事になります。積もった雪は水を山にためておく天然ダムだからです。
私たちが使う水の大部分は
1. 梅雨と秋雨の水
2. 台風の降らせる大雨
3. 雪解けの水
なのですから、季節風がなくなり雪が減ると春に雪解け水がないため川の水が減り、たんぼの水や水道の水が足りなくなって困るのです。 そして本州の大部分で沖縄と同じくハブが棲むようになった可能性が大きい。 ハブは大変気の荒い毒蛇で、世界毒蛇ワーストテンに入るだろうといわれています。 インドのコブラ、米国南部のガラガラ蛇など冬の暖かい国、地方ではたいてい猛毒の蛇がいます。
まとめ板書「冬には寒いシベリアで空気が落ち、太平洋で空気が昇るから、シベリアから海に風が吹く。 その途中に日本列島があるので、シベリアの冷たい空気が日本に来て、南にあるわりに寒い。」
山、高地の温度
質問 富士山や日本アルプスの頂上では、気温が下界より高いか低いか知っていますか? 富士山や日本アルプスに登った人はいませんか?
富士山や日本アルプスの山小屋では夏でも暖房をしています。 9月になると雪が降ることがあります。
日光は下界と山の上ではどちらが強いと思いますか?
それなのに気温が低いとはヘンですから、別の理由があるのです。
山の上では空気がうすいというのを知っていますか?
富士山の頂上では7割位の薄さになり、多数の人たちが高山病になります。吸い込む酸素が少ないため、脳の酸素(脳は20%も酸素を使う)が足りず頭が痛くなったり、気分が悪くなったりするのです。
高い山では、上に乗っている空気が少ないため、空気の1平方センチの柱を考えると重さが平地より少ない。 富士山では約7割です。
簡単な絵をかいて下さい。
上に乗っている空気が7割ですから圧力も7割で、下から空気を風船に入れて持ってくれば、風船は(中の空気は)1/0.7つまり約140%に膨らみます。
林間学園・移動教室・スキー教室のとき長野県や日光など高いところにバスが上がって 行くと、菓子などを入れたポリエチレン袋がパンパンに膨らみます。 高いところは空 気が薄い。
断熱圧縮の実験
実はこれが気温の低いことと関係があるのです。
空気を薄くすると気温が下がるという実験はやさしくないので、反対の「空気を濃くすると気温が上がる」という実験をしましょう。
自転車の空気入れで、タイヤに空気をつめこみます。 30回か50回くらい苦しいピストン押しをつづけます。 大分空気は濃くなりました。 では空気入れのもとの所に触ってみましょう。 熱い。 希望者全員に触らせる。
あらかじめスカスカのピストンカラ押し50回では摩擦熱があるはずだが、感じられるレベルの暖かさにならない事を理科係りを証人として確認。
その理由は次の通りです。 ただし理由がわからなくても成績には関係ありません。
空気の分子はいつも動きまわり、ピストンの壁にぶつかっては跳ね返っています。 ピストンを押して壁を動かすと、ラケットで球を打つのと同じことになりますから、空気の分子は速く動くようになる。 空気の分子が速いと温度が高いのです。 では手をこすりあわせて、手のひらの皮膚の分子を動かして見ましょう。 手の温度はどうなりますか?
分子が速くなると温度が高いという事になるのです。
グラインダで鉄をけずるときは鉄の原子を激しく動かすので、火花がでることさえあります。
この説明は覚えなくても良いことにする。
この実験で全員に触らせる場合は空気入れを2-3個用意して下さい。 1つだと全員が触っている間に、空気入れ全体が暖まり、手の感覚の鈍い生徒には暖かくなった事がわかりにくなる。4つあれば理想的です。自転車が2台いることとなる。
ここの分子運動の話で落ちこぼれが出ますから、生徒を安心させる但し書きがついています。
空気を押し込めると温度が上がる…・これを応用したのが、エアコン暖房です。電気の出す熱でも暖房はできますが、それでは電気代が高くつく。 エアコン暖房では気体を押して熱くしておき、それで部屋の空気を暖め、今度は外に気体を送りそこでピストンを引いて圧力を低くします。 そうするとそこ、つまり外の温度が下がり外の空気を冷やす。 エアコン暖房は外の空気を冷やし、その分部屋の空気を暖めるという原理なので、電気で直接暖める場合の数分の一しか電気を使わずに暖房ができます。
ピストンの運動を逆にすれば冷房になる。 つまり部屋の中ではピストンを引いて気体をひろげ、気体の温度を低くし部屋をひやす。 それからその気体を外に送り、外でピストンを押すと自転車での実験のように気体は熱くなり外の空気で冷やされる。 つまり暑い外の空気を暖め、涼しい室内の空気を冷やすのが冷房です。
逆にピストンを引くと、これは手を引いて球を受けるのと同じで空気の分子は跳ね返りにくくなり、速度が落ちる。 つまり温度が下がる。 これも覚えなくて良い事にする。 このあたり押し付け授業だが、その理由は次節。
山では自然の冷房になっている。 空気が山に昇ると気圧が低いためふくれて温度が下がるのです。
どの位下がるのか、日光中禅寺湖と近くの宇都宮市の気温を比べましょう。
宇都宮( 119 m) 2.0 4.1 23.7 25.0
日光・中善寺湖畔(1291m) -4.1 -2.7 17.6 18.9
1998平均気温 1月 2月 7月 8月
気温の違い 6.1 6.8 6.1 6.1
1291−119=1172 1172mで6.度ちょっとですから、1000mで5.5度位としてよさそうです。 東京都最高の雲取山2018mでは下界より11度位低く、3000mの日本アルプスでは16.5度位低いことになる。 5月には日本アルプスの山々の気温が東京や大阪の冬より低いので、理科を勉強しない人が山登りをすると雪と風のために頂上でなくお墓にいってしまう事になり、実際にそういう遭難事件もあります。 それほどでなくても、奥日光とか志賀高原、清里高原のような高地に東京や大阪での服装のまま行って、夕方や朝寒いと騒いでいる人は多数います。
富士山は3776mですから20度以上温度が下がり、7月8月でも寒い。 チョモランマ*などヒマラヤの高い山々は、富士山の2倍の7000m,8000mという山ですから、1年中気温がマイナスで1年中雪と氷で覆われた白い山になっています。
地元のチベット人がチョモランマと呼んでいた山にあとからイギリス人がエベレストという名をつけたのですから、世界的にはエベレストという名がだんだん使われなくなっています。 北アメリカの最高峰はマッキンレーでなくデナリというインディアン名に戻され、国立公園の名もデナリになりました。 オマエら人数の少ない民族のつけた名は消えてしまえ、オレたち大国の大民族が別の名をつけてやる、という民族差別主義はよくないというのです。
日本でも明治時代に北海道のアイヌ語地名をなくし、日本語地名をつけようという人々が多かったのですがアイヌ人差別に反対した松浦武四郎という文化人の努力で「アイヌ語地名を残すがそれに漢字をあてはめて日本語らしくする」という事になり、大部分のアイヌ語地名が守られました。札幌、稚内などはアイヌ語です。
松浦の学問レベルが高すぎて多くの人が読めないという馬鹿げた事が生じています。後志羊蹄山は最初の2字がシリヘであとの2字でシと読む・・・全体でシリベシ山なのですが、後志シリベシ地方にある羊蹄山ヨウテイザンと誤読され、今の地図でもそうなっています。
まとめ「空気など気体が膨れると、温度が下がる。 山の上では乗っている空気の重さが少ないので空気の圧力が低く、そこにある空気は膨れる。だから山の上は気温が低い。」
雲
机をぞうきんでふくと机は水でぬれます。 でもしばらくすると机は乾きます。机の上の水は何になったのでしょうか?
水蒸気です。 100度でなくても、水は気体になります。 蒸発という。 では沸騰と蒸発はどう違うのでしょうか。どちらも水が気体になる現象です。
水が水蒸気になるためには、分子が勢い良く空中に飛び出さなくてはなりません。 100度になると、空気の分子に対抗できる勢いがつきます。
20度や30度では空気の分子(窒素や酸素、二酸化炭素の分子)に対抗できず、空気の分子が次々にパンパンと水に当たる勢いで水分子は押し込められ、空中にでられない。 しかしそれは平均での話です。 水の分子は動いていますが、その中には遅く勢いのわるい分子も速くて勢いの良い分子もある。 その中で特別速くて勢いの良い分子は空気の分子に負けず、空中に飛び出す事ができます。
そうすると、残りの分子の速さ、勢いの平均は下がる。 つまり温度が下がる。 夏ベランダに水をまくと気温が下がりますし、アルコールを腕につけると冷たく感じます。 アルコールの中の速い分子が空中に飛び出し、残りの分子は遅いので温度が下がったのです。 しかし残りのアルコールは腕から熱をもらいまた
分子は速くなります。 そこでまた速いものが気体のアルコールになり、遅いものが残る。腕に残りが暖められ、また速いものが空中に飛び出す。これのくりかえしでアルコールは腕に暖められながら全部気体になりそのとき、腕が冷えます。
水が蒸発するときも同じで、速い分子が水蒸気になり温度が下がると机や床に暖められ、…・の繰り返しです。
氷水の入ったビーカーを机の上に置きます。 ビーカーの外側は濡れてくる。この水はどこから来たのでしょうか。
空気が冷えると中の水蒸気が水になる。逆に空気を冷やすと、空気の中にある水蒸気の分子は遅いものから水になり、空気の温度は上がる…まわりに冷やされ、また遅いものが水になり温度は上がる…・を繰り返して水に変わります。
本当はこうなのですが、話が面倒ですから、これからは簡単に「水は空気に溶ける」「その時温度が下がる」と考えることにしましょう。 空気が暖かいと水はたくさん溶けるし、冷たい空気では水があまり溶けないと考えるのです。 明礬は湯にたくさん溶けるが、つめたい水にはあまり溶けないようなものです。
この不正確ですが簡単な考えで大学1年まで困ることはありません。
洗濯物は冬かわきが遅いですが、水が冷たい空気には溶けにくいと考えればその理由がわかります。 また風があたると速く乾きますが、それは「風がないと洗濯物のまわりの空気はすぐ水蒸気(水)を溶けるだけ溶かし込んでしまうから、水はそれ以上溶けなくなる」「しかし風があれば、新しい空気が洗濯物にぶつかるので、水は空気に溶けてゆく」という事になる。
部屋の中で洗濯物をかわかす時は、除湿機があれば一番ですが、無ければ扇風機が役に立ちます。
除湿機は乾いた空気を吹き出すたら、ただの風よりよく乾く。
このあたり分子の熱運動の教え方の根本的改良が必要なようです。
もとの話にもどって「空気が暖かいと水が多く溶け、冷たいと水があまり溶けない」と考えて話をすすめます。
山の上では空気が膨れて温度が下がる。 冬に日本海を渡るとき、シベリアの空気は海から蒸発した水をたくさん溶かし込んで日本の上空にやってきます。
その湿った空気が日本アルプスや谷川岳を越えるとき、山の上は気温が低いのですから、水が溶けにくくなり、溶けなくなって出た水はみな空中の水となり、地面に落ちます。
冬ですから、落ちた水は雨でなく、雪になる。 それが新潟や富山、金沢などで雪が多い原因です。 つまりシベリアからの風と、日本海の水、高い山々と3つそろってはじめて大雪になる。 理科年表という本には世界の400箇所以上の気候が書いてあるが、平地で新潟など日本海側の地方のように雪が多く降るところは世界中ほかににないようです。
雪の降る可能性のある気温で降水量が新潟や富山、金沢など日本海側の地方以上のところはみつからない。
では教科書にある実験をしましょう。
質問 フラスコの中の空気は湿っています。 注射器を引っ張るとフラスコの中の空気は膨れるから温度が下がります。 そうすると、フラスコの空気の水蒸気はどうなりますか? 水になるかどうかわかりますか?
このあたりはたった1例か2例で理論を教えるという困難な授業だからそのまま仮説検証式にすると、生徒は自信を持って発言する事ができず、大変静かな葬式授業になってしまう。だから実質的には押し付けとしている。分子運動の実体観念が「三態変化」よりさらに進んだものになっていないと、仮説実験授業は成立しないと思われる。
実験。 水滴がフラスコにつくのでなく霧になりました。 霧は水ですが落ちないで空中に浮かんでいます。
注射器を押すと、温度が上がりますから、水は空気に溶け霧がなくなります。 では霧はなぜ落ちないのでしょうか。
霧になるのは生徒の予想外。
----空気中では小さく軽いものほどゆっくり落ちるという板倉さんの話----
飛行機に乗ったりや高い山に登って雲の中に入った人はいませんか?
雲は入ってみると霧です。 つまり霧を遠くからみたのが雲です。 ですから山に雲がかかっているとき、山にいる人は霧の中にいる事になります。
霧では孫悟空や仙人が乗ることができず、話がつまらなくなるが、科学的にはそうなのだから仕方ありません。
まとめ「水に砂糖や明礬が溶けるように、空気に水が溶けると考えてもたいていはだいじょうぶである。 温度が低いと溶けにくくなり、水が出て霧・雲となる。」 「雲・霧の水の粒は小さいので、なかなか落ちない。」
入道雲と夕立
夏の強い日光で空気が暖められ、高いところまで勢いよく昇ります。そのとき霧イコール雲ができますが、下のほうから空高いところまで大変背の高い雲になります。 その雲を何といいますか?
空気が勢い良くのぼるので、水のつぶが小さいうちは降ってこない。 粒がぶつかり大粒になってはじめて降るから、大雨になり、すぐ水は無くなって(全部落ちる)しまう。 つまり滝のような強い雨が降ってすぐ終わる。これが夕立です。 ですから夕立は夏晴れて暑い日に降る。
夏の雨が多い地方
冬にはシベリアから太平洋に北風が吹き、北風が山登りをして湿気を雪にするから新潟など日本海側が大雪となります。 夏は太平洋からシベリアのほうに南風が吹くのですから、山で湿気が(雪でなく)雨に変わり、太平洋側が大雨になるのではないでしょうか。
新潟のほうでは冬晴れる日が少なく、雪の日が多い。 では夏は太平洋側で雨の日が多いでしょうか。
どうもそんな事はないようです。
でも話がヘンですね。 理屈では山の太平洋側で雨が多いはずです。 98年の東京8月の雨量はたった31.5ミリです。 熊谷市は24.5ミリ。 しかし宇都宮市は41.5ミリ、前橋市は65ミリ。 もっと山に近い日光市では115ミリであり、理屈は間違っていない。 夏の南風は冬の北風ほど強くはなく、雨が多いのは前橋-宇都宮の線より北であり、東京や熊谷は雨の多い場所に入らないのです。 関東平野は本州の平野では抜群に広い。 平野が狭いと夏の雨が多く、和歌山県の尾鷲市は夏の雨量が多いので有名です。
本来ならばここを問題にすべきである…理科教師でも困る問題…だが、ここまでの授業で落ちこぼれが出るため、問題にするのは難しい。
屋久島と雨
練習問題 屋久島と種子島は鹿児島の南に並んでいますから、気温はほとんど同じです。 しかし雨の量が違う。片方は東京・大阪と大してかわらないが、もう片方は東京や大阪の2倍以上の雨が降ります。 それはどちらの島か日本地図を見て考えましょう。どちらですか?
「屋久島では1月ツキに35日雨が降る」といわれ、雨が大変多い。 種子島には高い山がないが、屋久島には九州で一番高い山があるから風が吹くと空気が山登りをするので、雲ができ、雨が降る。
同じ理由で日本全体も雨が多い。ハワイとかニュージーランドのように海に囲まれた島で高い山があるところは雨が多いのです。
台風
熱帯の海で太陽が照りつけると、台風が発生する事があります。 入道雲のときよりもっと、大量の空気が激しく昇ると巨大な渦巻きとなり、凄まじい風が吹きこむ。 また海の湿った空気が昇るから厚い雲ができ雨も激しく降る。 強い台風では中心の気圧が900ヘクトパスカル位になる事があり、1割も空気が薄い。 で
すからまわりから吹き込む風も物凄く、第2室戸台風のとき大阪では64m/秒を記録しました。20m/秒でも風に押されてよろけてしまい歩くのが困難ですが、その3倍の風速です。 速度が2倍で風の力は4倍、速度3倍なら力は9倍。 大阪で窓を吹き破られた家ではタンスや鏡台が空中に浮いたそうです。
また強い台風の中心では、空気の圧力が小さく、台風のまわりは圧力が大きい(ふつうの圧力)から、台風の中心では海の水が持ち上がる。1割空気がうすいと、1メートル海水が持ち上がり、風に吹き寄せられた大波と合わさるから大変危険になります。
台風が日本の4つの大きな島に来るのは6?10月ですが、沖縄では5月や11月でも台風が来ます。
ヘクトパスカルは気圧の単位。1013ヘクトパスカルが1気圧です。
高気圧
冬の大陸ではどんどん上から空気が落ちてくるので、空気が濃くなりそこから風が吹き出しています。 その空気が濃いのを高気圧という。
高気圧では空気が上から吹き降ろすのですから、空気はどんどん温度が上がることになり、雲はできない。 つまり高気圧は天気が良いのです。
高気圧には他の原因でできるものがあり、春や秋には小さい高気圧が日本にやってきて晴や快晴になります。 移動性の高気圧です。
移動性高気圧は他の季節にもないわけではない。
低気圧と前線
暖かい空気と冷たい空気がぶつかると、その境目では、暖かい空気が上に昇り、冷たい空気が下に潜り込む。これを前線という。 暖かい空気が上に昇るので、雲ができ天気が悪い。あまり勢いよく空気が昇ると渦巻きができる事があり、その渦巻きが低気圧になります。
低気圧の下の地面近くでは風が吹き込むのですが、その風は地球の自転の影響で左巻き、反時計まわりになります。
その理由は次のように考えるとわかる。今北極からロケットを日本に向かって飛ばしたとします。しかしロケットが飛んでいる間に地球が回転しますから、そのロケットは中国に着陸するでしょう。 ロケットを宇宙から見ればまっすぐ飛んで見えるで
しょうが、日本の上空から見ると「日本のほうにまっすぐ飛んでいたロケットがいつのまにか左に曲がって中国についた」となります。北から南に飛ぶものは自転のため、左に曲がるように見える。 風でもそうですから、低気圧で北から吹き込む風は西に
曲がって吹き込む。つまり風は左まわりに吹き込むのです。南から吹き込むときはその逆ですから東のほうに曲がる。
高気圧もうずですが、時計回りに風が吹き出す。 理由はおなじように考えればわかります。
天気は西から
沖縄以外の日本の上空には偏西風という西風があり、そのため高気圧も低気圧も普通は西から東に動きます。ですから大阪や名古屋の天気が1日か半日あとの東京の天気になるのが普通です。
アメリカと戦争したとき、日本は気球に爆弾をつけて飛ばしました。 気球は上空の西風のため、アメリカに飛んでゆきアメリカの山の中に落ちたそうです。
また飛行機は日本からアメリカに飛ぶ時のほうが帰りの飛行機より速い。
この事を知っていると30分あとの天気予報ができます。 西の空を見て青空なら晴だし、西に黒雲があれば今は降っていなくても傘を持って歩くべきです。
低気圧も高気圧も西から東に動きますが、低気圧が来てから次の低気圧がくるまで春や秋には3-4日かかるのが普通なので、土曜日曜が雨だと次の土日も雨になる事が多く、休みの天気がいつも悪くてがっかりさせられる年があります。
台風の位置と風の強さ
台風が東を通ると風は大したことがなく、西を通ると大変なのが普通です。大阪で64メートル/秒という大風が吹いたのは台風が西を通ったからです。
台風の進む速さは1秒で10メートル位あるのが普通です。 台風の風は左巻き、つまり反時計回りですから、台風の風がもともと30メートル/秒とすると台風の東では30+10で40、西は30-10で20の速さの風が吹く。
あとは教科書を読んで片付けます。