京都の高級菓子と庭園の話
京都の菓子で誰でも知っているのは「八橋」ヤツハシと「五色豆」ゴシキマメである。 これらは値段も安く、味も普通には良いという菓子であり多数の店で売っている。ここでは、普通の店では買えない、高級品の話をしよう。
和菓子と洋菓子
日本の菓子は大きく分けて、明治時代にヨ−ロッパから入った洋菓子と昔からある和菓子がある。 ケ−キは洋菓子で、ヨウカンやセンベイは和菓子である。
和菓子の高級品はたいてい生産量が少ない
洋菓子の作り方は公開されているから、だれでも努力すれば高級品が作れる。
近くの駅まえでも風月堂、ユ−ハイム、富士屋、コージ−コ−ナ−、タカラブネ、好味屋…などの高級品を売っているし、Nさんは先生をやめて自分で菓子を作り自分の家で売っているが、作った菓子は高級品で大変おいしい。東京全体なら多数の一流店がある。
ところが和菓子の高級品は作り方が公開されていない場合が多い。 日本中でただ一人しか作り方を知らないという事も普通である。 子供が何人かいても優秀な一人にしか作り方を教えない。 優秀な子供がいなければ、優秀な若者を養子にしてその一人だけに教える。 封建時代(江戸時代)からの伝統である。
だから全国に出すだけの売りものがない。 せいぜい近くのデパ−トや駅に出す程度だ。自分の店で確実に売れる数しか作らないから午後3時ころになると売物がないとか、予約した分しか売らない(作らない)という店さえできてしまう。
京都に多い高級和菓子
そういう高級和菓子、つまり天皇、大臣とか中国、韓国の有名人に出すような高級菓子を作る店は東京にもいくつかある。 代表は本郷3丁目の「藤むら」だろう。 ようかんと黄味時雨が有名だ。 名古屋の「をちこち」「二人静」、富山の「月世界」、熊本の「素芳の梅」、高松の「木守」、足利「古印最中」、小布施「栗しぐれ」…他にも金沢や仙台、松江・・・などのように江戸時代から栄えていた町ではたいてい和菓子の高級品がある。
沖縄の菓子で有名なのは「ちんすこう」だが、大多数は普通の味である。 高級品は首里城近くの新垣菓子店「ちんすこう」であるが、主人が琉球の王様におさめる製品を作っていた専門職人の子孫だからであろう。 ただしその日か次の日くらいまでに食べないと油が変質して普及品の味になるから、東京でおいしい「ちんすこう」を買うことはできない。
京都にはそういう店が抜群に多い。
京都の駅で買える(新幹線京都の下、一階にある店)もので生徒のみなさんに対し第一に薦めたいのは次の2種類である。
阿奢利餅 アジャリモチ(満月…菓子屋の名) 高級品の多くはうす味で、慣れないと素晴らしい味である事がわかりにくいものが多い。 これは味が濃いから、誰でもおいしさがわかる。
御池煎餅 オイケセンベイ(亀屋良永) 「せんべい」と名はついているが、極めて軽く、品の良い味で、せんべいとは別の菓子とおもったほうが良い。 同じ店の「木賊煎餅」トクサセンベイも高級品である。
他に高級品を作る店に「鶴屋吉信」「川端道喜」「鍵善良房」「三条若狭屋」「虎屋黒川」「尾張屋」がある。 もし歩いていてこれらの店にぶつかったら、何か買って損ではない。 僕の知らない店はこれ以上多数あるだろう。。
京都の日本庭園
「日本庭園」は世界に誇ることのできる日本独特の芸術である。
ヨーロッパの庭園は樹木や花で直線や円の形を作ったもので、壁かけやじゅうたんの模様を大きくしたようなものだと思えば良い。 日本でも公園はたいていそのような庭園である。
しかし「日本庭園」は岩、池、樹木などを組み合わせた巨大な彫刻であり、自然の景色に似せた形の中に人間の思想や感情、表現したい雰囲気をあらわす芸術作品である。 その日本庭園の中で芸術性最高クラスの作品が抜群に多いのが京都である。
たいていの有名寺院には素晴らしい芸術品の庭がある。その中で良さがわかりやすい
のは、金閣寺、南禅寺(一番下の庭園)、西芳寺、あたりだろうか。
外国でもジャパニーズガーデンは有名で、多数の町に日本庭園が作られている。 また日本庭園が自然の景色に似るという点を発展させた、ロックガーデンという岩と高山植物を組み合わせて、高い山の景色・雰囲気を表現する庭も作られている。
鳥居本からの嵯峨野自由見学では祇王寺と常寂光寺を抜かさないように…嵯峨野の庭ではこの2つと天竜寺の庭が芸術性の特別高い庭である。
その他 1
二条城に行く人が多いが、人が多くて見学に時間がかかるから、時間がないときは西本願寺にゆくと良い。 ふすまに書かれた絵は同等であり、小さいが優れた庭もある。 もともと秀吉の聚楽第の絵を分けて移したものだから、同じ画家の作品である。 絵は長浜市の大通寺にもあり、ここが一番空いていてゆっくり一流画家の絵を見る事ができるが交通不便である。
その他 2
京都の町は東京のようにバカデカイ町ではない。 バス路線は多いが、歩いたほうが速いことも少なくないから、距離を計算しよう。
その他 3
京都の茶(宇治茶)はよく知られているが、緑茶の高級品は東京その他の町でも容易に買える。 おすすめは、ほうじ茶の高級品。 ほうじ茶そのものが安いから、高級品でも大した値段ではない。 ほうじ茶で一番値段の高いものを買えば良い。