性教育読本試作品「性の世界」都教研集会発表 3年目の版だが序だけ若干の修正
性教育について大多数の教育委員会製作のものは直ちにゴミバコ行きであり、民間教育側の大多数のものは有害無益であるが、それらが主観的観念論に基づいている事を序文で示す。
生徒に大歓迎されると同時に、性に対する下品な感覚に対決する内容であるためには心理学の導入が必要だが、国内ではその程度のものさえ、稀である。 退廃的思想・女性蔑視思想に対決するような内容を書くためには、社会科学を導入する必要があるが、そのようなテキストは外国のものでも管見に入らないので新しく書いた…以下のように新唯物論なしで書くのは困難であろう。
現在エイズ流行の話については内容が古くなってしまったし、また 小泉「改革」と労働運動の力の低下のため、「まじめに働けばたいていはまともな暮らしができる」という前提が成立しなくなっているから内容書き換えが必要だがしていない。3年目の版(1998)にした理由はそれしか残存していないから。
表紙省略 北川民治の絵「若者たち」借用
「はじめに」
現在の「性教育」テキストの大多数は退屈な生物学的説明と説教ばかりが長く、英語からの直訳らしい悪文も少なくない。 性交については「虫眼鏡で見たら書いてあった」程度だから、生徒が大部分の性知識をエロ雑誌やエロビデオから得るという現実を変える事ができない。
「一応性教育というものをしました。 性交や性についての思想・感覚についてはアタリサワリがあるので、できるだけ書かないようにしました。当然生徒は性知識の大部分を下品で頽廃的かつ女性蔑視思想に満ちているエロ雑誌やエロビデオで得る事になるでしょうが、そんな事は当方の関知するところではありません。このテキストに下品さや女性蔑視思想がなければよいのです」という無責任な冊子であり配布当日ゴミバコ行きという税金無駄遣いである。
教研集会に出る熱心派教師が「自然科学として性を教える」と称して性交をはっきり教えているが、高学年・中学では「クスクス・ヘラヘラ」という授業になってしまう。 教師の頭の中では「自然科学として性を教えている」のであるが、生徒はエロ雑誌、エロビデオから入る下品な感覚を身に着けているから、生徒から見れば授業が「下品で恥ずかしい」授業そのものというという馬鹿馬鹿しい事になっている。
前年卒業した東京都保谷市立保谷中3年生での9月調査では、性交体位についての知識を持つ者が7割、性器接吻の知識を持つ者が6割だが、大多数の生徒は性を描く文学作品など読まないから、知識源はエロ雑誌エロビデオに間違いない。 性知識がなかった少数派生徒をエロ雑誌エロビデオに近づけるのが唯一の効用という授業であろう。
筆者の読んだスウェーデン、デンマーク、アメリカのテキスト(残念ながら英語で書かれたか、英語に訳された本しか読めない)は以上のようなテキスト、授業に比べて段違いに優れている。 フランス大革命以来の「人間の欲望は他人迷惑でない限り、自然であり正当なもの」という啓蒙思想、民主的思想をもとにし、性欲を下品・低級なものとする思想・感覚と対決しながら、性の心理を中心にして性を説明している。
しかしそれらの本は単に性欲を満足させる事が幸福だという考えで書かれ、フリーセックスにつながる内容になっている。 フリーセックス思想は一見民主的かつ合理的(教研集会助言者のM氏は肯定している!!)であり、欧米ではキリスト教式道徳が次第に押されてきている。
キリスト教式道徳だろうが、儒教式道徳や旧ソ連教育学にある道徳であろうが、楽しい生活を求める青年大多数の要求に押され次第に衰退する事は自然の傾向であり、歴史的必然といってもよかろう。大多数青年の要求を無視した方向ではまともな性教育などあり得ない。 性の「乱れ」論とか、性の「商品化」談義は無能政治家・無能評論家の趣味的議論である。
本編にあるような指導で「誰でも同じ事ができるという平等」でなく「個性を認め合って平等」という生徒集団が成立すると、非行やいじめをなくす市民運動(教師が具体的経過を知らず、結果しかわからない運動)によってそれらがなくなるだけでなく、対異性感情に関する点でも次のような傾向がはっきりしてくる。 「数学一番の男子と国語一番の女子が仲良し」とか「男子テニス部有力部員と女子テニス部有力部員が仲良し」…つまり、互いの長所がもっともよくわかり、楽しみを共有できる異性同士が特に仲良くなる例が普通なのだ。
その種の恋愛感情は単に性欲の昇華した恋愛感情より強く内容が濃いものになり得ると考えられる。 そして未来の社会では、大多数の青年が自分に自信を持ち他人にも十分評価されるだけの長所、個性を持つようになるであろう。 そのような社会では、長所・好きなことが一致するカップルが大多数になるであろう。 好きになる相手が限られてしまうから、現在の日本以上に婚外性交が増えて現在のアメリカ並みになる事はないと考えられる。
そのような内容だと性読本は生物学・医学・心理学だけでなく、教育学、社会科学に及ぶ内容となるが、そのようなテキストは世界最初であろう。
第一章 SEXと結婚
はじめに
世界の民謡の多くは若い男女の間の感情を歌ったものです。小説や 詩、和歌の多くもそうです。 文学では感情をあらわすだけでなく、有名な千一夜物語のようにSEXの場面そのものを多数書いたものも、ごく普通です。 美術でも世界中で有名な大画家の北斎をはじめ多数の一流画家(最近では北川民次)がSEXを描いていますし,外国でもピカソ、ミレーなど多数の一流画家が描いています。
芸術の世界では性、SEXは美しいもの、喜びをもたらすものとして表現されているのがふつうです。 そして私たち人間はSEXの結果生れてきたのです。
しかし喜び、幸福のもとであるはずのSEXが悲しみや不幸のもとになる事もあるのです。 将来SEXが不幸、悲しみのもとにならず、幸福、喜びのもとになるように、SEXについての学習をしましょう。
一通りの性の話
まず、どうして赤ちゃんができるか・・・私たち人間がどうして生れてきたかを一通り学習しましょう。 男子は中学になるとのどにで
っぱりができ、声が低くなります。大抵の男子は3年になればそうなりますから、のどを女子 と比べて下さい。 ーーーよく男が女に変装して逃げた話がありますが、のどを見れば変装がうまくできていても見破れるでしょう。
男性ホルモンという分子が血液中に出てくるとそうなるのです。 同じホルモンの働きで体の下のほうにもともとあったデッパリが大きくなってきます。 子供の時からだの中のイラナイものを水にとかして捨てる時のホースだったペニス(陰茎インケイ、男子のオチンチン)が血液中のホルモンのためにもう一つの役目をするように変化するのです。
A図のように男子には睾丸(コウガン)というものがあり、中学くらいになると、そこで精子(B図)という顕微鏡で見るとオタマジャクシのような形をしたものようなものが多数つくられはじめます。 精子のはいった液体を精液といいます。
ただでさえ大きくなったペニ スは、さわったりこすったりす るとますます大きくなりピンと します。
勃起ボッキ(C図)といいます。 その時男子はたいへん良い気 持がし、また興奮します。 と くに亀頭キトウといわれるペニスの先(形がカメの
頭に似ているからです)は大変敏感です。勃起 しているあいだ尿はでません。
女子は中学2,3年になると何となくふっくらしてきます。 これを脂肪がついたと自分で気にする人がいますが、女性はふっくら しているのが男性にとって魅力があるから,自然にそうなるのです。
ガイコツに皮を張ったのみたいに やせているのは美しく見えませんからダイエット商品の怪しい宣伝に注意! ふっくらするのは女性ホルモンのはたらきです。
ホルモンの働きで男子は精子を作 るのですが、女子は卵巣というところで卵子をつくるようになります(D図)。 この場合の子は小さいという意味で卵子とは小さい卵という意味です。 人間も卵から生れるのです。
ひと月に1回卵子が子宮つまりおなかの中の子供が育つ場所に出てきます。子宮の下にはヴァギナ(腟チツともいう)という場所があり、何事もなければ卵子は少量の血と一緒にそこを通り、陰門インモンという穴から出ていってしまいます。 そ
のとき多くの女子が多少気分が悪く なり,中にはひどく悪くなる人もい ます。女性の月経(生理)といいま す。
男性では出口の穴が小さいほうと 大きいほうと2つですが、(意味が わかりますか・・・トイレで・・・) 女性では3つの穴があるのです。 E図の通り小さいほうが出る穴と
陰門はくっついていて1つの穴のよ うに見えます。 男性の亀頭のように敏感なのがク リトリスで、女性はそこを摩擦する と良い気持がします。
下はカメラ毎日という雑誌にあった写真です。 男性が女性のクリトリスにキスをしています。こうされると女性は恥かしいという感じもしますが、物凄く気持が良いとい う気もします。
その女性の喜びの姿を写した芸術写真です。 「生きる喜び」という題がついています。 男性は敏感なところがペニス だけでそのうち特に敏感なのが 亀頭ですが、女性は敏感なところがクリトリス以外に乳やヴァギナ、その周辺などにわかれて
います。
男女の気持が高まると、男性のペニスは勃起して大きく硬く なりゴムの棒のようになります。
多くの女性ではヴァギナ に液体がでて中がなめらかになります。 そして挿入(F図)がお こなわれます。 正式な日 本語ではこれらの事を性交
といいますから、これから はできるだけその言葉を使 いましょう。
下の絵は性交中の男女の 姿をピカソが描いた絵です。 世界一流画家の絵ですか ら,すぐれた芸術作品で美 しい。 次絵は「晩鐘」 で有名なミレエの絵で大変ロマンチックな感じの芸術作品です。
挿入して男性と女性両方、または片方がからだを動かすとペニス,ヴァギナ、クリトリス がこすられますから男 女ともますます良い気 持になり、さらに興奮
します。そして興奮が 最高の状態になると射精シャセイがおこり、男性の精液がヴァギナの中 で発射されます。その あと、ふつうは男女と もに深い満足感に満た
されます。
精子はヴァギナから 子宮の中に入りその先 の卵管というところま で泳いで卵子と出会い、教科書に出てきたカエルの場合と同じように受精が行なわれます。 そ
の受精卵が赤ちゃんのもと で、受精卵は細胞分裂をしながら下がってきて子宮の 壁にくっつきます。 それが妊娠ニンシンのはじま りで、妊娠がはじまると卵
子が出なくなり、生理がな くなります。 時がたつと分裂した細胞 はますます増えて全体があ る程度の大きさになり、女性…というよりもうお母さんですが…のおなかがふくらみます。受精して9ケ月位で赤ちゃんは大きくなり陰門から出てきます。赤ちゃんが出るときは,穴が特別大きくなりすぐもとのように縮みます。これで赤ちゃんができる理由はわかりましたね。
SEXが楽しくない事がある
今の日本では「結婚は両性の合意でする」という事になっています。 日本でも親が結婚相手をきめた時代がありますが、今は戦後の民主主義憲法の規定通り好きな男女が自由に結婚する事ができるのです。
では好きな男子、好きな女子と結婚すれば、SEX性交を含む楽しい結婚生活ができ、幸福になれるでしょうか。
どうもそうではないようです。 結婚したのに別れてしまう夫婦があります。 離婚ですね。 現在の日本では結婚と離婚の人数が4対1位になっています。 楽しいはずの結婚生活が楽しくなく、わかれたほうがマシだからでしょう。 結婚生活が楽しくないという夫婦がどうしてこんなに多いのでしょうか。
日本での調査では離婚の理由が大部分「性格の不一致」というあいまいな理由になっています。 性格の不一致とはただキライになったというだけですから、何でキライになったのかわかりません。
旧ソ連(ここでは今のロシアと同じと考えてよい)では離婚理由が詳しく調べられています。 ロシアでは離婚の理由で特別多いのが次の2つです。 ひとつは男性が大酒飲みだというのです。 世界で酒を一番多く飲む国民はフランス人ですが、よっぱらいの多い国はロシアと日本だといわれています。 相手がよっぱらいでは性交も楽しくなく、結婚生活全体が楽しくないでしょうね。
もうひとつは男性が家事洗濯をしないというのです。 ロシアを含むヨーロッパでは男性が女性と同じく家事洗濯をするのが当たり前で、しない男性は自分勝手だとされます。 彼等に日本映画をみせると・・・男性が帰ってくると、女性のほうは玄関に出迎えてオーバーを脱がせ、家に入るとちゃんと食事の用意ができていて、あとかたづけも女性・・・・彼等は目を丸くして「日本の男はまるで王様のようだ」と感心?するそうです。
ーーー女性だけが家事洗濯をするのは発展途上国で普通です。
日本は先進国になったのが新しいのです。 メンドウな仕事を全部女性に押しつける自分勝手な男が相手では性交SEXを含む結婚生活が楽しくないというのです。
君たちが大人になった時の日本は、男性が「王様」のままでしょうか、それとも他の先進国なみ、日本国憲法にもあるように男女が平等になると思いますか?
先進国らしくなるとしたら、君たち中学生の時代から掃除を女子にやらせているような自分勝手な男子は将来がどうなるでしょう。 どうみてもマックラですネ。 女子諸君。カッコよくても掃除をサボる男子はさっさとフッてしまう事が大切である!! そんな男と結婚したら最悪で不幸、離婚・・・・。
カッコ良さだけにつられないよう,気を付けましょう。
ヨロメキドラマ
皆さんはヨロメキドラマとかヨロメキ夫人という言葉を知っていますか? ヨロメキ夫人とは、カッコいい男が現れるとすぐヨロめいてそっちのほうにフラフラッとなる奥様の事です。 そういうヨロメキ夫人の出てくる番組をヨロメキドラマといいます。
おかあさんがヨロめいて他の男の人のほうにいってしまったら、子供はどんな気持がすると思いますか?
たいていは悲しむのではないでしょうか。 子供はおとうさん、おかあさんが仲よしで二人で自分を育ててくれるのを期待しているでしょう。
「カッコよさ」であるとか、「良い人」というだけで結婚するなら、 そんな男はどこにでもいますから、そういう男がつぎつぎと現れるとそのたびにヨロめいておかしくない事になります。
子供が大人になるまで、仲よく結婚生活を送るためにはどうしたら良いでしょうか。 最初は大変楽しかった結婚生活もしばらくすると楽しい事は楽しいが昔ほどではなくなるのが普通です。 君たちの好きな遊びでも長い期間,毎日のようにやっていると,そのうちにあきて以前ほど楽しくなくなるのが普通でしょう。 楽しかった性交の回数もだんだん減ってきて、最初は毎晩とか2日に1回だったのが、1週間に1回とか2週間に1回とかになってきます。
「夫婦の性交回数」という表は2001年7月4日の朝日新聞記事です。・・・これだけ2001から増補。
1週2回以上 | 1週1回 | 1月2―3回 | 1月1回 | 年数回 | 1年なし | |
20代 | 23% | 23% | 25% | 18% | 9% | 2% |
30代 | 9% | 20% | 25% | 20% | 15% | 11% |
40代 | 6% | 18% | 22% | 18% | 16% | 20% |
50代 | 3% | 3% | 25% | 23% | 13% | 33% |
その時になっても楽しい結婚生活を送るにはどうしたら良いでしょうか。 男子同志,女子同志で仲よしの人がいますね。 どうして仲よしなのか考えた事がありますか? 同じ部活動で話が合うとか,同じく学級委員とか生徒会役員で話が合うとか,小説好きで話が合うと・・・。 そうだとすれば,男と女でもそういう話の合う,親友になれるような人と結婚すれば楽しいのではないでしょうか。
二人の仲よし生活の楽しみの一つが性交なのです。 知らない人と遊ぶより仲よしと遊ぶほうが楽しいように,「仲よし親友同志の性交は特別楽しい」はずです。そして例えば二人ともテニスとスキ−が好きだとしたら、自分たちが仲よくテニスやスキ−をするだけでなく,子どもにもそれらを教え家族全体で楽しくテニスやスキ−をする・・・・こういう楽しい家族なら,いつまでも夫婦が仲よく幸福に暮せるのではないでしょうか。
みなさんもカッコいい人や,「良い人!」にフラフラッとヨロめくのでなく,「自分勝手でなくて話の合う,一生のあいだ親友になれるような相手」と結婚して,幸福な結婚生活を送るようにしましょう。 −−−君たちの両親や親族では,そうなっていない例も多いと思われます。 君たちがそうなれば,男性の「王様」廃業と同じく,それだけ日本の社会が進歩したという事です。 つまり多数の人び
とがその点でもっと幸福に生きられるようになるのです。
第二章 性欲・出産その他
人間の性欲
普通の男性、女性には性交に関係する欲望があります。 これは反射の一種つまり無条件反射で生れ付きそう出来ているのです。 もしこの反射がなければ,性交をしようという気持にならず,子どもができないから,子孫が絶えて人間は滅びてしまう。
犬や猫,馬など他の動物でも同じような欲望を持っています。 しかし世界的に有名な「薫園クンエン」という昔のアラビアの性典(当時の性についての医学の本でもあり,文学書でもある)でお姫様が「(普通の動物は)時期が決っているのに,人間の男の方はいつでもお求めになります」と言う場面がありますが,それが人間の特色です。
人間は子どもの期間が大変長い。 多数の動物は1年で大人になってしまう。 できるだけ速く大人になるほうが安全だし,また子孫を速くふやす事ができる。
ところが人間は頭が良くてたくさんの事を覚え,複雑な仕事をしますから5年10年では子どもが親に追い付けない。 10何年−−20何年かかって,やっと大人のやる事ができるようになる。 ですから子どもの時間が長くないと困るのです。
それだけ長い間子どもを安全に育てるには,親がその間ずっと協力しなくてはならない。
何年間も夫婦が1年中仲よく一緒に暮すために,性欲が1年中あるようになったと学者はいっています。 つまり頭が特別良いから性欲が1年中あり長い夫婦生活があるのです。
マスタ−ベ−ション
自慰ジイという日本語もありますが,普通は英語が使われます。 性欲が我慢できず,男子なら自分のペニスを摩擦マサツし,女子ならクリトリスを摩擦して,欲望を処理する事です。
アメリカでの調査では男子の93%,女子の62%がマスタ−ベ−ションをしているそうですが,日本でもそれほど変らないと考えられます。 昔は有害とされていましたが,最近の医学の本の多数では無害とされています。 ただし回数が多いと有害と書いてある本もあります。
べつに無害説,過度有害説が矛盾しているわけではありません。 結婚したばかりの頃,1晩に何回も性交してその後空が黄色に見え,次の日はボンヤリして一日中眠く疲れてしまって仕事はできず,性欲もなかった・・・などという話がありますが,マスタ−ベ−ションも同じだというだけです。 食べ過ぎはおなかをこわすというのと変りません。
強姦(ゴウカン)
レイプという英語も使われます。 嫌がる女性を男性が力でおさえつけて性交をする事で殺人と同じく凶悪犯罪とされています。
女性でも力の強い人はいます。 源氏と平家が戦争をした時代,巴御前(トモエゴゼン)という美人はものすごく強くて,男の武士を一騎打でつぎつぎに討ち取りました。 現代でも柔道や水泳のオリンピック女子選手は普通の男性より遥かに力があるでしょう。
しかし平均的には男性の力が女性の5/3倍位ある。中学1年生だと体力の平均が1割程度の差ですから,弱い男子が強い女子に追いかけられヒーヒーいっている事もあります。 しかし2年生になればそのような事はほとんどない。
男子は普通2年でおかあさん,つまり大人の女子より力が強くなります。 3年になれば男子の体力は平均で1年の時の2倍になり,おとうさんの体力に接近してきます。 ピアノや大型の机などは,男子が運ぶのが当然という事になります。 また山登りなど重い荷物を持って長い時間行動する時は,男子が女子の荷物を持って当然という事になります。 家庭でも力のいる仕事はおとうさんと男の子どもがする事になる。
日本では強姦事件があっても,被害者が小学生や中学生でない限り、 強姦であるという証拠を女性側が示さないと有罪にならない事が多い。 証拠となればふつうはヒッカキ傷をつけたり,噛みついたりするしかありません。 ところがそういう事はめったにない。
なぜかというと,日本での強姦事件の大部分は「殺人強盗なみの凶悪な痴漢が女性を襲撃した」例ではない。 もちろんそういう事件もありますが、たいていの場合は被害者の女性が好きでつきあっても良い位に考えている男性にやられているのです。 キスされるのは半分うれしい感じだし,抱きしめられる位はまあいいや・・・と思っていると,突然そのまま力で押えこまれる。男性の側では好きな同志なのだからそれ位いいだろうと思う一方,性欲が我慢できず加害者になる。
そういう場合強姦であるという証明を女性側がする事は極めて困難です。恥かしさを我慢して裁判に訴えてもたいていは女性側の言い分が通らない。 他の先進国では裁判官が男性側に「強姦でなく,女性側が性交に同意したというなら,性交に同意するほど仲よしだったという証拠を出しなさい」と要求する例が多い。
ですから日本では将来の結婚が確実でないかぎり、女性は男性と1対1になるのを避けたほうが安全だという事になります。 ただしその男性がふだんから大変我慢強い人で,酒を飲んでいなければ安全ですが・・・。
酒を飲むと我慢が難しくなるのです。アメ リカでのある調査では女子大学生の2割がデ−ト中に「事故があった」となっています。 そして男性のほうでも密室での1対1(例えば、遊びにいったり来たりするとき家人不在)を避けるのがエチケットでしょ
う。 避ければ「立派で信頼できる男性だ」と女性は思う事ができる。
---絵はコリント「汚辱」
男女能力と差別の話
体力は男が女よりずっと上です。他の能力ではどうなのでしょうか。 日本ではノーベル賞をもらった世界一流科学者がみな男です。首相も全部男です。 国会議員も大多数は男です。 会社の社長や重役も大多数は男です。
芸術家はどうでしょう。古代には紫式部、清少納言のよ うに一流作家の多くが女性という時代ももありましたが、近代現代になると女性の一流作家は男性にくらべてあまりにも少ない。画家も女性で一流は少ない。
でもヘンですね。中学生の成績は男子も女子も同じ位です。それなのにどうしてこんな違いができるのでしょうか。 多くの大学の先生がこういいます。「大きな声ではいえないが,女子はあまり勉強しないでオヨメに行く事ばかり考えているのが多い。多数の女子大学生の教育は金のむだづかいだから入学試験の時,合格点に差をつけて女子合格を減らすべきだ」
東久留米市の中学の先生達が高校の先生の協力で「有名高に行くと有名大学に入りやすいという常識は正しいか」を実際に調査しました*。
* ・・難関高校は勉強家を集めているだけであり「高校はどこでも進学大学先に関係ない。「すべて本人次第」「常識は迷信」という結論。
ところが調査結果を見ると大学の先生達のいうとおりなのです。 「中学時代同じ成績の男子とくらべると女子で同じ位難しい大学をめざすのが半分しかいない。あとの半分はずっとやさしい大学か短大を受験する」という事実がはっきりしています。 オヨメに行くのに浪人は困る,勉強はほどほどで良いという女子が半分いるのです。
就職の時でも「女性の多くは努力しないし,すぐやめるから女性を採用すると会社が損をする」といって女子を採用したがらない会社が多く,男女差別が問題になっています。
でも企業で女性の多くが努力しないのは,努力しても上の地位につけないという差別があるからではないでしょうか。 またたいていの家庭では洗濯掃除育児が全部妻の仕事で夫は掃除のじゃまになるだけですから、女性は家庭でつかれて仕事がつらくなるのではないでしょうか。女子大学生の多くが勉強しないのは,勉強しても就職差別があって勉強しても役に立たないからではないでしょうか。女子高校生の半分が勉強しなくなるのも,やはり同じ差別のせいではないでしょうか。
実は女子が努力しなくなる現象が中学からあるのです。数学が抜群に出来て中学のうちに高校レベルを抜いてしまったり,英語が抜群にできて英語の小説を多数読んでしまう特別優秀な生徒はほとんど男子です。
現代の科学では「中学の時,勉強得意−−苦手の割合が男子と女子で同じ位なのだから,特別優秀な生徒も男女同じ数だけいるはずだ」という事が証明できます。
しかし実際にはそういう努力をする女子が極めて少ない。 生徒会長や委員長に立候補するのはたいてい男子です。女子はいくら能力が高くても副会長や副委員長で満足する事が多い。ときに女生徒が会長や委員長に立候補しても女子のかなりの部分が男子の候補に投票する・・「男子のほうが頼りになりソウ」・・。 班長立候補でも男子のほうが多いのがふつうでしょう。
ピアノやヴァイオリンを習う時でも大多数の女子は現在いくらうまくても「先生に言われた練習だけまじめにやる」程度の努力しかせず自分の工夫した練習などしないから将来伸びず男子に抜かれる事が確実です。
これでは一流学者も首相や国会議員も一流芸術家もほとんど男子というのが当たり前ではありませんか。 女子は中学時代から先頭をいやがって男子の後から進みたがり,上のほうは遠慮してほどとほどのところで満足したがるのが普通なのです。 同じ理由で一流料理人も,一流技術者・職人も一流デザイナ−も・・・ほとんど男なのですし,会社の役員も組合の役員も・・・同窓会の幹事まで,何でも男性が上,先頭になる事が多いのです。
「女のくせに生徒会長になるのはおかしい。女のくせにそんなに勉強するのはおかしい。女のくせにそんなにうまくなろうなどと思うな。女はカワイイのがいいのだ。女は男より優れた人間になる必要はない。何でもほどほどにできれば良く,さっさとオヨメにいって男に可愛がられ、、男の後について行けば良い。」
といわれたらたいていの女性は頭にくるでしょう。女性差別主義者だ!
しかし実際には多数の女性が中学時代からなんでも男の下になりたがり、なんでもほどほどにできれば良い・・・カワイイ女になり将来は男に可愛がられ,男のあとをついて歩けば良い・・・そういう自分達女を差別し,自分たち女を軽べつしている女性差別主義者なのです。
現在ある差別にたいていの女子が負けて自分も差別主義者になる。 「現実に差別があるから女子が努力しなくなる」 「女子の多数が努力をやめてしまうから,差別される」
という矛盾はどうしたら解決できるのでしょうか。 差別があっても女子ががんばり,女子にも男子と同じ能力がある事を証明して,差別をする人々に差別をやめるように要求して行くしかないでしょう。 そうするとその分野での差別が減る。 また女子ががんばり,女子の能力とがんばりを別のところで認めさせる・・・日本が本当に男女平等の民主主義国になるには,まだ長い時間がかかるのです。
目立つ
春になると多くの小鳥は美しい声でさえずりますが、美しい声は雄だけだというのを知 っていますね。 目立つ声で雌を呼んでいる のです。雌が来れば夫婦になり、ひなを育て
ます。
春になると雄はホルモンという分子の働きで自然に歌うのです。 そして雄同志の争い になる事も普通です。 タナゴなど一部の魚では雄が目立つ美しい
色になり、雌に見つかるようにします。
一緒 になれば卵を産んで子孫を増やします。
トカゲもホルモンの働きで目立とうとします。
雄の猫が「ニァーアーアーアー」とヘンな声で長く鳴いて、目立とうとしているのを見た事がありますか? そのあと雄同志のかみつき合戦になる事も普通です。
人間ではどうでしょう。 小学校で も目立つ人はいます。しかし中学1年の終り頃から目立つ人が急に増える事も確かでしょう。人間も他の動物と同じく、ホルモンの働きで自然に目立ちたくなるのだと学者はいっています。人間では男女両方が目立ちたくなりますが・・・
だらしない服装をしたり、超ミニスカートをはきたくなるもホルモンの働きです。 男子は女子の前で目立ちたいし、女子は男子の前で目立ちたい。だから先生に叱られたり、トイレに呼び出されてなぐられても、やっぱり目立ちたいヨ!!
土曜午後の西武新宿線電車の中で制服のロングスカートをミニスカートにはきかえている女子高校生が多数いました。 多数の男どもが見ている前で恥かしくないのかナァ・・・。
それでも目立ちたいわョネェ?!?
人間は頭が特別良いので、そういう事では目立たないようにし別の所で目立とうと考える事もできます。 普通の動物は自動的に(オートで)いつでも目立とうとするのです。
人間はいろいろな事で目立つ
勉強が苦手だとカッコ悪く「目立つ」点でつらくなる・・・という考えは日本が途上国だった時代の古い考えです。途上国では勉強のできるできないで将来の生活がひどくちがうから、勉強ができる事が大切にされるのです。今の日本のような先進国では、成績が下でも給料が安くて生きて行くのが難しいという事はほとんどありません。
勉強ができてもダメ教授やヤブ医者のようなダメ人間は多数います。 東大の教授でも学問の進歩に遅れて学生全員に授業出席を拒否された人がいました。そのS教授は勉強ができるから教授になったのですが受験参考書で金もうけをしていて勉強の努力が足りなかったので結局学生にバカにされるダメ教授になったのです。
ヤブ医者だって合格の難しい医学部に入った秀才なのに努力が足りないからヤブになったにちがいありません。 大工にも上手と下手があり、ソバ屋にもおいしいまずいがあり、先生にも授業の上手下手があります。
どの職業でも上のほうは皆の役に立つ立派な人間であり、勉強ができてもそれぞれの職業の下のほうになれば、皆に迷惑をかける困った人間です。 つまり一番大切な事は成績でなく、好きな事自分で選んだ事に努力をする人間であるかどうかという事なのです。
誰でも努力すれば立派な人間になれる。勉強は「できたほうが良い」のです。 普通に勉強していれば、成績が下のほうでも良いではありませんか。
部活動とか委員会とか定期の手伝いに努力したり、特別キチンとしているとか・・何か価値のある事に努力する生徒は皆立派です。そういう生徒は将来それぞれの職業の上になると考えられるからです。
そして似た努力をしている女子(男子)には君の努力が「目立つ」はずです。その努力の価値は似た努力をしている人間が一番よくわかる。 だからそういう人は似た努力をしている相手、つまり職業や好きな事が共通で親友になれるような相手と結婚すれば、「SEXと結婚」にあるように楽しい一生を送る事ができると考えられます。
普通の動物は1つの事だけで目立とうとしますが、人間はいろいろな事で目立つ事ができ、またその人に似た努力をする相手にはその努力が特別目立つから、だれでも良い結婚相手には特別「目立つ」ようにでき、だれでも良い結婚相手を見つける事が可能なのです。
そういう結婚,つまり第一 章の最後にあるような楽しい 結婚は、日本では最近まで一 部の人しかできませんでした。 女性は家庭の用事をしてい
れば良いという古い考えで多 くの女性が育つと、男性は相 手に困る。かなり男女同権に なって同じ(似ている)職業 や趣味の男女がいるという先 進国になったから,そういう
結婚が多数の人に可能になっ たのです。
妊娠ニンシンと出産
1通りの性の所でもやりま したが、もう少し詳しく見ます。 性交のとき放出された精子は1〜3億ですが,卵管まで泳いでいって卵子と合体するのはたった1個の精子です。この卵子と精子の合体を受精といいます。
図のように受精した卵子は細胞分裂を行いながら子宮へ1週間かけて移動し、子宮にくっつき、育ってゆきます。 「妊娠」です。
はじめは魚のエラに似たようなものがありますが、だんだんケモノらしい姿になり、最後に人間の形になって生れてきます。人間の先祖はケモノであり、そのまた先祖が魚だった証拠の一つとされています。
子宮は胎児(タイジおなかの中の子供です)が育つにつれて大きくなるように、ゴムのように弾力のあるものからできています。
胎児はその中で「へその緒(オ」という管で子宮の中の胎盤タイバンというものとつながっています。 この「へその緒」 を通して、胎盤の中を流れる母の血から栄
養や酸素を受けとります。また、胎児の体内にできた二酸化炭素など他いらないもの は「へその緒」を通して母の体に送られま す。
卵子が受精しなければ,胎盤は必要ない のででき上がらないまま出ていってしまう のが月経(生理)です。 妊娠すれば,卵子 や胎盤をこれ以上作る必要がないので,月
経がなくなる。 40週たつと、赤ちゃんは人間らしい体 つきになり,頭を先にしてせまい産道(ヴ ァギナと同じ,2ペ−ジD図)と陰門を通 って生まれてきます。
赤ちゃんが生まれるともう胎盤は必要が ないので同じ道を通って出てきます。これ を後産といいます。
生まれて1週間ほどすると、赤ちゃんの お腹についていた「へその緒の切れはし」が自然にはずれ,はずれたあとが、おへそです。 妊娠している間、女性は自分の分と胎児の分の栄養を取る必要がありますし、労働があまりきついと流産といって胎児が途中で死んで生れる事が多いので妊娠中の女性は保護がある程度必要です。
避妊の話
明治維新の頃は日本の人口が約3000万で今は約1億2000万ですから130年で4倍になりました。
でも社会によっては人口が増えない事もあります。 今は大抵の夫婦が子どもは2人位が良いと思っています。 夫婦2人で2人の子だと人口がかわらないはずで、実際に最近の日本の人口はほとんど一定です。
江戸時代も日本の人口は一定でした。 鎖国ですから,今の日本のように外国から食料がどんどん入ってきたりしません。 その頃の技術では日本全体で3000万人分の食料しか生産できませんでした。 科学技術の発展は開国のころまでほとんどないから食料増産もほとんどない。 だから何年たっても人口は3000万です。 それ以上だと生きて行けないからです。
−−−板倉聖宜という学者の研究では末期の薩摩と長州で例外的に人口が急増しているそうですが日本全体としては,こう考えて良い。
そうはいっても,人間の性欲は戦争の時代や人口増加の時代とかわりませんから,子どもは多数生れてきます。 ではどうしたかというと,「間引き」といって子どもを殺したと考えられています。 その証拠は江戸幕府が何回も間引き禁止の「おふれ」(法律)を出しているからです。
間引きはいけないという法律があるから,子ども殺しは無い・・・と思ってはいけません。 子どもを多数実際に殺しているから,それを禁止する法律を作るのです。 泥棒がいなければ、泥棒を刑務所に入れるという法律はいらない。 今の日本では間引きがないから「間引きはいけない」という法律がないのです。
また直接証拠としては,最近まで間引きの事実を知る老人が生きていてその証言があるからです。 日本でも貧しい地方では20世紀はじめまで間引きが行なわれていたのです。
しかし明治維新のあと間引きがほとんどなくなったのは事実です。そして科学技術が大発展し人口も増えます。 その時代子どもがほしくない時は「中絶」が行なわれていました。要するに一種の手術でおなかの中の胎児を取りだして殺してしまうのです。 そうすると母親のからだを傷つける事になり,次に赤ちゃんを産む場合に困る事もありました。
現在おもてむきのところは中絶が強姦被害者のような特別な場合だけです。 ただし実際にはかなり存在します。 以下の方法での避妊の失敗や,裁判にならない大多数の強姦その他いろいろな原因がある(→強姦)。
現在では性欲だけ満足させて子どもをつくらない方法として最も良いとされているのは、コンドームというサックのようなものを使う方法です。サックをペニスにかぶせてしまい,その中に射精するようにする。
−−−ペニスが縮んだ後コンド−ムが外れる事故の対策として普通はコンド−ムに精子を殺す薬を併用し失敗を減らす。
そんなものを使わなくとも,射精の時ペニスを引き 抜けば良いような気がしますが,実際にはペニスに精 子がついていて抜いても妊娠する事がある。
また月経の中間の日が妊娠しやすく,月経近くの日 は妊娠しにくいからその時だけ性交するという方法も ありますが,あまり確実ではなく,月経最中の性交で
も絶対妊娠しないとはいえない。(→豆事典オギノ式)
最近飲み薬が許可されました。 一種の女性ホルモンで,それを飲むと卵子が出て行くのを止めてしまうから,妊娠しない。 コンド−ム使用の場合と違って射精後急いでペニスを引抜く必要もなく,ペニスとヴァギナ,クリトリスが直接接触するから気分は良い,だから使おうというのです。
ただし劇薬を年中使う事になり,使用量が少なくても危険だという学者と使用量が少なければ害は大したことないという学者があって,論争は終っていないようです。
多少害があったとしても、タバコほどの害(20才から1日1箱吸って5年位早く死ぬ)もないのだから、大人が自分の責任で使うならよいではないか、というのが飲み薬ピル賛成論です。
売春 (金を受取り性交する事)
1 近代日本の売春
古代には宗教的売春がありました。 性の喜びが神に近づく手段と考えられたのです。
しかし明治維新の後,近代の日本では次のような売春が普通でした。 「貧困家庭の娘が事実上の人身売買によって,売春宿に売り飛ばされ, 売春をさせられる。」
売春業者は親に金を渡し,その金は娘の借金となりました。「客」の払う金の大部分は宿代食事代に取られ,結局なかなか借金がなくならず毎日強姦されていたのです。
40年あまり前まで買春(金を払って性交する事)は「ロクデナシ」のやる事でなくごく普通の事であり,町の議会の会議が終ると議員たちの多くが売春宿にで
かける事も普通であり, また結婚まえの男性が 性の知識を得るために 売春宿にでかける事も ごく普通でした。強姦 されるほうの女性の人権など大切にされてい
なかったのです。
現在は日本が富める国になっていますからそういう娘はいなくなりました。 しかし女 性の人権を無視して自分の性欲を満足させたいロクデナシの男はまだ多数います。 そこで東南アジアから日本で働きたいという若い女性をだまして売春宿に連れこみ,暴力で売春婦にしてしまう事件が多くなってきました。 性に関係する商売は暴力団が関係している事が多い。 自分の国では日本の1/10以下の給料しかもらえない国も多いから日本で働きたい女性が多数いるのです。
−−−リプシッツの彫刻。
2 先進国化した日本の売春
日本人の売春では次のようなものが多くなっています。 「高校生売春など,生活に困っていない女性の売春。」 高校生や中学生の売春を中心に最新型の売春を考えてみましょう。
最近は売春の方法が多種類ありますが、代表的なのは「援助交際」です。援助交際にはテレフォンクラブ(テレクラ)など暴力団関係の男女交際団体に登録し、エロ電話(それだけでも金をくれるという)で交渉して場所待合わせで売春という方法と、新宿、渋谷、池袋などでカッコつけて待っていて、ロクデナシ男に声をかけられたら喫茶店などで交渉する方法があります。 カラオケボックスでのキスや胸に触る段階から、下半身に触ったりキスする、ホテルでの性交まで段階によって料金が大体きまっているそうです。
そういう生徒は恋愛よりも金もうけが好きなのでしょうか。それとも性交が特別好きなのでしょうか。 そうではない。 その証拠にそういう生徒も好きな男性ができると売春をやめるのが普通です。 つまり愛情のない性交は楽しくない。
ではそういう生徒は特別な感覚や考えを持った生徒でしょうか。
そういう生徒の考え方を紹介しましょう。 ・・・生徒たちは考えます。 「勉強は苦しい。そんなに勉強しなくても将来なんとか暮せそうではないか。本気の勉強なんてアホらしい。楽に生きたい。」
確かに先進国日本では勉強がそんなに出来なくてもたいていの人はまともな生活ができます。 年配の親や年配の先生の子ども時代は日本がまだ貧しい国で電話やガス,水洗トイレも珍しいかそれに近い状態でした。 まともな収入を得るためには勉強の競争でがんばるべきだ・・・というのはウソではなかったのです。
しかしその時代の人々が何十年も働いたおかげで,日本は富んだ国になりました。 ・・・生徒たちは考えます。 「勉強も苦しいが,部活動や委員会活動も面倒だ。みないい加減にやっていても何とかなるではないか。 高校だってたいていは入れるサ。」
そうなると次のような事になります。自分の趣味や関心に合う事、面白い事得意な事でも一生懸命やらない。何でもいい加減にやるから「仲間とつらい夜までの練習に本気でがんばって,苦しい決勝戦に勝った」とか,「生徒会活動がなかなかうまく行かず仲間と知恵を出し合った」とかいった経験がない事になります。親友というのはそういう苦しみを乗り越えた仲間ですから,親友がいない事になる。
友達はつきあいだけの友達で,互いにあまり信用していない。なんとなく学校生活,人生が面白くない。 一見陽気に騒いでいても,それは人生のつまらなさと未来の不安(努力していないから不安)をごまかしているだけで本当はさびしいのです。 親も先生も本人にはアホらしい「真面目に勉強しなさい」のお説教しかしない。
自分の本当の気持は親にも先生にも友達にも言えない。 あまり関係のない男のほうが後腐れがないだけかえって本当の気持が言いやすい・・・という理由で,どんな人かよくわからない男性とすぐつきあいます。 どんな女かわからないのにつきあうという男性は「ロクデナシ」である事が多い一方、本当の気持をいうからこの女はオレが好きなのだ、ヤッても問題はおこらないと考えるから強姦となりやすい。
人生のつまらなさに苦しくなってくると,苦しさをまぎらすためにタバコや酒に手が出ます。 それでもストレス発散,淋しさをごまかす事ができないと,愛のない性交となり,性の喜びで発散,ごまかしをする事になる。 強姦されていればいっそう速く性によるごまかしがはじまる。 そこまでゆけば,ロクデナシのオジサンから金が入る売春もまぢかです。 現代の売春は昔のような経済的理由の売春ではなく,ヤケ酒ヤケタバコや麻薬と同じくつまらない人生、苦しい人生のごま化しなのです。
3 問題はどこにあるか
問題はどこにあるのでしょうか。 先進国になった日本でぜいたくに育った高校生・中学生のなかには,受験勉強や委員会活動,部活動・・・などがつらいという人がいるという問題はあるでしょう。 しかし一番重要な問題はまわりの大人の考えが間違っている事ではないでしょうか。
勉強しろ! 勉強しろ! 平均点より上でなければ、「いい学校」には入れないぞ! 勉強は面白くなくて当たり前だ。 ひたすら苦しさに耐えて未来をめざせ! 「一流高校」から「一流大学」に行け!
あーあ、そんな事言ったって半分の生徒の成績は平均点以下なんだよネェ。 全員が平均以上になり、全員が東大に入れるのかネェ・・・といいたくなる。
発展途上国では「成績が良い事」が優れた人間とされます。 成績が違うと将来の暮しも大きく違うからです。ですから一部エリートをめざす生徒は苦しくてもよく勉強する。また彼等は生活の貧しさ苦しさに慣れていますから委員会活動や部活動にあたる活動も苦しくなく、真面目にやります。
先進国では成績によって将来の暮しが極端に違う事はありません。特別な専門家になる場合を別とすれば,優れた人間とは「好きな事で本気で努力する」人間です。
だってそうでしょう。 何事も中途半端にやる人間は会社(社会主義なら人民企業)で使い道がないではありませんか。
そういう人間は何でもいい加減で中途半端な努力しかしませんから医者になればヤブになり,大工になればヘタ大工になり,先生になればつまらなくてわからない授業をして生徒に嫌われ・・・。 ですから,先進国では立派な生徒の条件の第一が「心が美しい」ほかに「部活動,委員会,勉強・・・その他何か良い事の少なくとも1つに本気でキチンとがんばる」事なのです。
モノグサタロウはお話の人間で、何も面白い事がないから何もやりたくないという人間はいないはずです。 部活動、生徒会、お菓子つくり、サッカーや水泳のクラブ・・・その他なにか自分の好きな事で有用な事に努力すれば良い。
それなのに,多くの大人は昔の常識のまま勉強の事ばかりにうるさい。 勉強の邪魔だと本人の好きな事での努力、美点を伸す努力を圧殺し、「好きな事は何もない?」人間を製造しようとする事も普通です。
良いところが全くないという人間はいない。 良い所をますます良くするのは楽しい事ですが,本気でがんばっている事を先生や親が「大変立派だ」と認めれば本人はますます楽しい。 それが大切というのが多くの先進国の人々の考え方です。勉強も大切だがその次です。
そうすれば,似た努力をする仲間と親友になり,さびしくならないのです。 またそういう仲間と結婚すれば大変楽しい一生に結びつく事は「SEXと結婚」にある通りです。
結婚した女性の売春も,人生のさびしいヨロメキ夫人が行なうと考えられます。 結婚の考え方が間違っているのです。 日本では,男女平等や結婚の考え方だけでなく,勉強や部活動,委員会などの考え方も先進国式に変って行く最中です。 そのとちゅうでの混乱があるのです。
ーーー勉強に努力するなら、その勉強の面白さを知る事が一番大切です。勉強でも、美術や音楽などの芸術でも、はじめは「目茶目茶にやらされ」るほうが上ですが、しばらくすると「好きで努力」するほうが上になります。
中学で大学の理数教科書に入るような生徒はすべて勉強の好きな生徒で勉強やらされではない。 勉強そのものは嫌いなのに勉強をやらされていると、「一流高校」に入ったとたんに、まわりの者が自分と同等以上できるのを見て全くやる気がなくなり、女子だと売春になってしまう事さえあります。 それまでは「成績が良い」とほめられるから勉強したのですから、ほめられなくなったら勉強する気がしない。ですから何も努力するものがなくなり、人生がつまらなくなり、苦しくなるのです。
従軍慰安婦問題
一部の人は10年以上前から訴えていましたが,最近大きく問題になったのが,従軍慰安婦問題です。 昔の日本軍の兵隊の性欲を処理するために,多数の女性に慰安婦という名で相手をさせたという問題です。 1日に何回も強姦される日が続きましたから,被害者が日本政府に謝罪と補償を要求しているのです。
慰安婦の中にははじめから売春をしている女性もいましたが,多数は朝鮮半島や東南アジアでいきなりつかまえられてトラックにほうりこまれたり,いい仕事があるとだまされたりて集められたといいます。
ではどうして日本軍は慰安婦を集めたかといえば,兵士による強姦事件が多かったから,それよりはマシというのでそうしたのです。 軍隊というのは若い男性の集りであり,その中には性欲がなかなか我慢できないロクデナシがいます。 ですから普通の軍隊はよほど大将が優秀で上手な指導をしない限り外国で強姦事件をおこします。
軍隊は警察より強いから,警察の力では強盗殺人も強姦も止められない。 あまり新聞テレビに出ませんが,戦争中の軍隊であろうが,戦争を止めるための特殊な軍隊であろうが外国軍隊のあるところ世界中でたいてい女性被害が出ていると思って下さい。
当時の大日本帝国では「女は結婚前は父に従い,結婚したら夫に従え」といわれ、もちろん選挙権などありませんでした。 売春宿が多数あった事は前にあるとおりで女性の人権が軽視されていました。 また自分たちは優秀な国民で他の国民は劣等だという宣伝をたいていの人が信じていた(同盟国だったヒットラ−独裁のドイツ帝国と同じ)のです。
同じ日本人の女性の人権さえ軽視されていたのですから,他の「劣等国民」女性の人権など無視される事になり,日本の男(の性欲)に仕える性の奴隷で当然という事になったと考えられます。
古代日本の結婚制度
日本列島に住む人々の習慣を書いた本で一番古い本は有名な三国志です。 小説や漫画のもとになった中国歴史の本で、その中で諸葛孔明、司馬懿、曹操、孫権、劉備、関羽、張飛(ショカツコウメイ,シバイ,ソウソウ,ソンケン,リュウビ、カンウ,チョウヒ)などが活躍します。 日本列島にいた卑弥呼(ヒミコ,またはヒミカ)という絹の服を着た女王が出てくる事でも有名です。
その本では3世紀の倭国(ワコク)の結婚習慣 について「大人(オトナでなくタイジン)は皆4・ 5婦、下戸(ゲコ)も或いは2・3婦」と書
いています。 有力な男性は妻が4ー5人い るし、普通の人でも妻が2ー3人いる場合が あるというのです。 次に古い後漢書という 中国の本(5世紀)では「男より女が多い」
と書いてあります。 現在は世界中どこの国で も男の数と女の数が同じ位だから、何かの間 違いでしょうか。
日本列島で書かれた本で現在残っている本 では古事記が一番古い。その本には最初の天 皇であった神武の皇后であるイケスヨリヒメと長男であったタギシミミノミコトが結婚したと書かれています。長男が父の妻(で自分の母親でない女性)を妻にしている。 第9代の開化天皇も父の妻イカガシコメを自分の皇后にしています。
卑弥呼の時代に生きていた著者が書いた三国志と違い、何百年も前の伝説を書いてあるのですが、2つの本を比べると「父が死ぬと、長男が父の妻で自分の母でない女を妻にする」という結婚習慣があった事がわかります。そういう習慣は世界のいろいろな民族で昔あったものです。 つまり男は戦争や漁業遭難で多数が死ぬ。 あとに残った女の人が生活にも困るし、性のほうでも困るので長男が奥さんとして貰ってしまうのです。 女の数のほうが多く、1夫多妻だったのです。
世界3大宗教の1つである回教では教祖のマホメット(予言者のムハンマド)が4人の妻を認めています。 その時代のアラビアでは戦争が多く,複数の妻を認めないと困ったからだといわれています。
古代の天皇政府が沖縄・東北・北海道を除く日本全国を征服してからは、新羅(韓国・朝鮮)や唐(中国)と平和外交を行ない,戦争は東北征服戦争だけになり,主な産業も農業になったので男の数と女の数が大体同じになったと考えられます。 奈良時代には父の妻を妻にする事が「母犯セル罪」とされるようになりました。 社会が進歩したので,昔合理的だった結婚制度が不合理になったのです。
同じような事は多数あります。例えば50年ほど前まで売春宿が多 数あって,男性がそこに出入りする事は当たり前の事だったという話をしました。 今から見れば実質的には人間の売買であり、集団強姦であり、野蛮そのものですが、この習慣ももっと昔なら合理的だったのです。
江戸には武士が多数集るから、江戸は男が多く女が少ない町だったはずです。ですから男性の性欲処理のために売春宿の存在が必要で,無ければ「従軍慰安婦」にあるように治安が悪くなります。一方凶作の年には餓死がありましたから,娘を売る事にも合理性があったのです。売らなければ娘を含めて一家全員餓死する可能性が高い。
多数の人々が幸福を求めて運動する結果,どの国でもたいていはだんだん良い社会になって行きます。そしてより良い社会になると,古い遅れた社会で合理的だった制度や習慣が新しい社会では悪い制度・習慣になるのです。
---古代ペルーの土器
ーーー朝鮮半島側の一番古い歴史の本である「三国史記」では当時の倭人が新羅に海のほうから攻めてきて1000人位の農民をさらっていったという記事が多い。 昔は専門の水兵などいませんから海から攻めてくる倭の軍隊の主力は漁民であると考えられる。 また神武天皇が奈良を攻めた時に神武天皇軍が歌う歌は「鯨」をはじめ九州海辺の動物や地名ばかりが登場するので、神武天皇軍の主力も九州漁民だったと古田武彦という学者が主張しています。
神武天皇が九州の豪族出身であり、奈良を征服して最初の天皇になったという古事記の伝説は信じる学者と反対の学者がいて、反対のほうが多数です。
しかし伝説に出てくる地形は1800-1600 年前の地形であり(大阪の環状線の内側が大きな湖で大阪駅のそばの南方というところが海への出口)、伝説が1800-1600年前に作られた話である事は確かです(やはり古田武彦氏の発見)。奈良時代にはその湖がいくつかの小さい湖になり、現在はそれもほとんどなくなってしまいました。
ですから伝説は1800-1600年前の記憶にもとづくもので奈良時代にでっちあげる事は不可能です。地形からわかるように、淀川と大和川が始終氾濫をおこす事に なり,湖は土砂で埋まってどんどん小さくなり、「未来に残したい日本の自然100選」に選定された淀川ワンドはその名残りです。
ですからその奈良征服の話の直後にあるタギシミミや開化天皇の話も1800-1600年前くらいの話で卑弥呼の時代に近いと考えられます。 図は古田氏著書からの孫引き。
エイズと社会
エイズは有名な伝染病で、エイズウィルスが人体に入って普通は3ー10年たつとおこる病気です。 WHO(世界保健機構)1997年報告では届出のある患者数が米国60万、アフリカのケニア、タンザニア、ウガンダ、ジンバブウェが6-7万、フランス、スペイン、イタリアが4-5万でしたが、届出のない患者が途上国では多く、またエイズウィルスの保有者(エイズウィルスが体内に侵入しているがまだ発病していない人---治療しなければ発病まで3-10年)が患者の何倍もいるので、世界でエイズウィルスをもつ人は3000万人位としていました。
2001年のWHO報告ではエイズウィルスを持つ人は推定で4000万となり、もっとも流行の激しいボツワナでは人口の4割になったため、国民の平均寿命が65才から35才になったと推定されています。
予防注射を作る事は原理的に困難な上、確実になおすという薬がないので大変おそれられています。
エイズウィルスが体の中でふえるのを妨害して発病を防ぎ命をのばす薬はできていますが、エイズウィルスを皆殺しにはできない。 また高価なので先進国の人しか使えない事が問題になっています。
インフルエンザの予防注射が効かない理由は、インフルエンザのウィルスが毎年変化するためですが、エイズウィルスはもっと変化が速いので今までの方法ではワクチンを作っても効かない。
ただし伝染力が弱く、患者・エイズウィルス所有者とふつうにつきあったり、蚊にさされた位ではうつらない。麻薬注射でうつるし、母から子にうつる事もありますが、主に性交でうつる。
性交が夫婦の間だけなら、他人にうつらないから流行しない。
ですからエイズが大流行する国とは、次のような国です。 「 多数の人と性交を行ないエイズウィルスをまきちらす人間がごく普通という位に多数いる!!」
最近まで2大流行地はアフリカ南部と米国でしたが、アフリカ南部では流行がいっそう激しくなり、南部アフリカ諸国だけで合計2800万と推定されています。 タイやインド、カンボジア、ミャンマーなど東南アジアのエイズウィルス所有者も急増して600万となり、米国以上の人口比率になったと考えられています。
これらの国や地域ではどうして大流行するのでしょうか。
−−−最近の研究ではエイズウィルスに似た猿のウィルスがアフリカで発見されていて、それが変化してエイズウィルスとなった可能性が考 えられています。エイズははじめアフリカ奥地の風土病(その地方だけの病気)でしたが、そこにSEX旅行をしたロクデナシがエイズウィルスを米国などに広めて歩いたと考えられています。
日本では結婚と関係ない性交の習慣がごく最近、敗戦後しばらくまで一般的でした。 万葉集の時代には特別な祭の時だけは夫婦以外の男女が性交しても良いという習慣がありましたし、20世紀になっても「夜這いヨバイ」といって若い男性が若い女性を夜訪れる習慣(当然結婚の時には両方性交経験のある事が当たり前)が多数の地方で残っていました。 前のほうにあるように、最近まで売春宿に男性が出入りする事は普通の事でロクデナシのやる事だとは考えられていませんでした。
もし,その頃SEX旅行をしたロクデナシがエイズウィルスを自分の身につけて運んできたらどうなったでしょうか。たちまち日本中にエイズが広まったに違いありません。まず売春婦にエイズがうつり、それから多数の男にうつり、彼等が自分の妻と別の売春婦に伝える。
−−−1人の男が売春婦にエイズをうつし,それから1年でたった5人 の男にうつった(計6)とします。 次の年は36人。3年で216と少 ないようですが,それでも6年で216×216=46656、9年たつと216倍だから男だけで1007万77696人!!。
エイズで死ぬ人を考えるともう少し少なくなるがアフリカなみ、東南アジア、米国以上。 この頃の若い者の性道徳が乱れている、ある高校では20%の男子が性交経験者である・・・といった結果を出して問題にする人は少なくない。しかしそれでも現在が日本の歴史では結婚以外の性交が一番少ない時代だと考えられます。 これが今の日本でエイズが大流行していない原因でしょう。
日本では患者が1000人、ウィルス保有者との合計4000人です。
ところがアフリカはまだ大部分の地域が昔の日本と似た状態ですから、エイズが広がるのです。近代化したところは売春、そうでないところは結婚以外の性交を認める習慣によって広がる。
こういった国では貧困をなくしたり昔からの習慣を変えるのに時間が相当かかる。ですから今のところコンドーム使用を宣伝して普及させ、うつる率を下げる位の対策しかないという状態です。
ーーコンドームを使用すれば理論的にエイズはうつらないはずだが実際にははずれる失敗があり、不良品の穴があり,うつる率ゼロとは行かない。しかしうつる率が激減する。
タイやインドはエイズ患者の急増地帯です。 戦前の日本のように都会はかなり立派ですが、農村の中には貧しい地方があり、娘に売春をさせないと生活が苦しいという家がかなりあります。 ですから昔の日本と同じく若い女の子が売春をさせられています。 タイには有名なタイ舞踊や立派な寺院建築などすぐれた文化があり、そのほうでも世界中から観光客が集りますが、ロクデナシは夜が目的でタイに旅行をする。日本のロクデナシもタイに旅行をしていますから、日本にもエイズが入りました。 ただし今のところ日本の患者のかなり多数がロクデナシでなく不良薬品の被害者です
。 −−−エイズウィルスの入った血液を加熱消毒しないで乾燥した注射用薬品。アメリカで危険がわかり使用をやめてからも、日本では使い続けたので製薬会社と国・医師が訴えられ裁判になっている。最近ロクデナシの患者数が被害者の患者数より多くなったようです。
日本でもアメリカなみの大流行が心配されています。 それは青年の性習慣がアメリカに近くなる傾向があるからです。 アメリカでエイズが大流行する原因は「青年が未婚のまま複数の異性と性交し,あとから結婚する」習慣がかなりひろまり,それがロクデナシの習慣とはされなくなったからです。
もう一つの原因は避妊の飲み薬(ピル)が許可されたので、多数の人がコンドームを使わなくなったからです。
アメリカでは性知識の普及が日本より昔から進んでいて,日本で最近自由になったヘア写真など何十年も 前からありました。民主主義の社会だ から表現の自由はあるというのです。
避妊の飲み薬も「選択の自由」として 許可され自由に使えるから、簡単に 「妊娠しない性交」ができる。また性欲が食欲と同じように自然なもので何 かコソコソと隠すべきキタナイもので
はないという事も民主主義道徳の一部 として当たり前になっています。その自由と民主主義の結果がエイズ流行と なりました。 若者の死亡原因の1位
はエイズです。
−−−アメリカでの40年前の芸術的ヘア写真。
では性の問題では自由 と民主主義が悪いのでしょうか?
その問題は次の問題と似ています。 日本の中学生のみなさんからよく質 問があります。 「どうして制服があるの? 服装自由でいいじゃない。」 生徒の服装は自由なほうが自由・民主主義の考えにあっているはずです。その問題とエイズ流行問題は似ているのです。
たいていの学校で制服とか標準服がある理由は, 1.服装自由にすると「あれ着ていきたいから買ってエ」というぜいたく生徒が出て親が困る, 2.服装自由にすると目立ちたがり屋生徒が毒茸ドクキノコのような服装をし,美観をそこなうだけでなく,暴力事件の原因になる, という2つの理由です。 つまり生徒の自由を認めると生徒がぜいたくになって親に迷惑をかけたり,生徒本人が殴られて先生・教育委員会・警察まで迷惑がかかるからです。
−−−服装がそろっているほうが,キチンとして見えて良いという意見も ありますが,世界的にはそういう感覚が独裁国の感覚とされ,いつも全員 同じ服装というのは独裁者と奴隷たちのようで気持が悪いときらわれます。ですか ら日本でもそういう意見は次第に消滅するはずです。
ですから,ぜいたく生徒や服装で目立とうという生徒がいなければ服装自由で良い事になります。実際にそういう生徒がいないから式の日以外の服装を自由にしている公立中学校も東京に少しはあります。逆に服装自由だったのに、そういう生徒が出現してまた不自由になった中学校もあります。
自由に生徒が責任を持てば,自由なほうが楽しい。 自由,民主主義があまり発達していない社会では,自由を要求するだけの運動も合理的でした。 要求が少しづつでも実現されれば,そのぶんだけ生活が楽しくなる。 しかし自由化,民主化がすすんだ社会では自由にするやり方によっては生活が悪くなって行く事もある,現在の先進国はそういう進んだ社会になってきたのではないでしょうか。
性についての自由,民主主義についても生徒のみなさんを含む日本国民の大多数が自由にふさわしい責任を持った行動をとるなら,自由なほうが楽しくて良いと思われます。 責任を持つとは,不愉快さを我慢して性欲を抑える,つまり本当はカッコいい女カッコいい男とすぐ性交をしたいがエイズが怖いから我慢する,という事ではない。 第1章にあるように,単に性欲を満足させるのでなく,より楽しい中身の濃い性生活,より楽しい結婚生活ができるような知識を大多数の日本国民が持つようにするという事です。
昔ある大臣が「貧乏人は(安いがまずい)麦飯を食え」といってやめさせられた事件がありましたが,ただ食欲や性欲が満足されれば人間は幸福なのではない。 その中身を良くするようにして行かなくてはならない。中身が良いというのは,いろいろな男や女と性交する事なのか,異性の親友と一生楽しみを分かち合う事なのか・・・・。
そういう結婚,つまり第一章の最後にあるような結婚は、日本では最近まで一部の人しかできませんでした。 女性は家庭の用事をしていれば良いという古い考えで多くの女性が育つと、男性は相手に困る。かなり男女同権になって同じ(似ている)職業や趣味の男女がいるから,そういう結婚が多数の人に可能になったのです。
質の高い幸福を作り出そうという国民の学習や運動で社会は進歩し,実際に質の高い幸福を多数の国民が得られるようになるのです。
性の言葉豆事典
インポテンツ 勃起がおこらないという病気。 体の病気が原因の場合と,精神的な原因の場合がある。 まず内科の医者にみてもらい,糖尿病など体の病気でないかどうか確かめ,体の病気がなければ精神科の医者かカウンセラ−(心理学専門家)の指導を受ける。
エロス キュ−ピッドともいう。 古代ギリシャ・ロ−マの愛の神様でキュ−ピ−さんのような子どもの姿で弓矢を持ち,イタズラなその神様に矢で射られると恋の心が生ずるという。
エロ本,エロ雑誌,エロビデオ エロスという神様には大変申し訳ないが,本,雑誌,ビデオのうち性欲を刺激するだけで芸術的価値も科学的価値もないものをそう言う。エロ新聞もある。一般に下品で女性蔑視がひどく暴力団に関係のある業者の出版が多いといわれる。
援助交際 売春には昔からの集団営業と,個人的売春があるが,最近は個人的売春が多くなり,中学生、高校生売春で最も多い方法にこのような名がつけられている(→本文の「売春」2)。
オ−ガニズム 性の喜びの興奮が絶頂に達する事。 男性では射精が行なわれる。 女性も最高の興奮を感じるが,息づかいのほかは興奮状態が表面に出ない人もいるし,体が軽くけいれんする人やのびてしまう人もいる。 女性はその後にも性交を続ける事が可能で続けても不快感はなく,複数回オ−ガニズムを感じる事も普通だが,男性はペニスが縮んでしまい性交を続ける事ができなくなる事が多い。 だから男性が先にオ−ガニズムに達すると女性は快感が中断されオ ーガニズムに達しないから不満を感じる。早漏(ソウロウ)といい,結婚生活が不快になるから男性のオ−ガニズムを遅らせる事が自分たちの工夫でできない時は専門家の指導を受ける。 ただし回復が速くまだペニスが完全に縮まないうちに勃起と再射精 が可能な男性ならば、男性が先にオ−ガニズムに達しても再射精までに女性がオ−ガニズムに達すれば問題ない。
オギノ式 月経の周期と妊娠しやすい日妊娠しにくい日との関係を婦人科医の荻野氏が調査したが、その結果をもとに避妊をおこなう事。「妊娠をできるなら避けたい」という程度の場合に,生理の中間の妊娠しやすい日にはコンドームを使い、生理近くの日は何も使わないという形が普通。 確実な避妊が必要な時は適していない。
金瓶梅(キンペイバイ) ポルノ文学(→)には古代から現代まで多数 の名作があるが,1つだけ代表をあげるとしたら,昔の中国文学作品である金瓶梅であろう。 SEXと金と酒に生きる地方ボスを主人公とし,ワイロ大臣からチンピラまで,社会の寄生虫の姿を描いた作品として現在でも最高。 三国志演義,水滸伝,西遊記(3つともマンガや生徒むきの本になっている)とともに4大奇書といわれる。
Gスポット ヴァギナのうち特別敏感な部分が浅いところの前のほ うにあるというグラフェンブルグ(婦人科医)の調査にもとづいて、その敏感な所を(Gはその頭文字から)いう。ではその点に神経細胞が多数集っているかというと,そうでなく浅い部分に多いという程度である。 生物学的にはスポット(点)が存在しない。
しかし快感の強さは神経細胞密度だけ でなく過去の経験(条件反射)や相手との関係もあるので、調査したドイツの女 性の場合は、そこが快感の強いという人
が多かったという事である。他国での調 査では敏感な場所が少し異なると報告さ れていて、日本人の場合そういう場所が 存在するかどうかさえ不明。
春画、または枕絵。 性を描いた昔の日 本の絵。 ただのエロ絵画もあるが,一流浮世絵画家たちの芸術的作品が多いので世界的 に有名。 左は北斎の絵。
性器 性交に関係する器官。つまり男 性のペニスと女性のヴァギナやそのまわ りの器官。
性器接吻 異性性器に口をふれる事。次の3種がある。
クンニリングス 男性が女性のクリトリスにキスをしたり,クリトリスや陰門をなめたりして刺激を与える事。 普通は仰向けになった女性が膝を立て,男性は女性器を見ながら女性の脚の間に入って脚を腕で抱え,腹這いの姿勢で顔を女性器に近づける。
フェラチオ 女性が男性のペニスをなめて刺激を与える事。男性が仰向けか座る場合は女性が腹這いで,男性が立つ場合は女性が座る。
クンニリングスもフェラチオも古代の西洋,東洋,アメリカ大陸に記録があり、何割という程度に普通。小さいほうには細菌がいないから、ホモ行為と違って衛生的な問題はない。 右はレオノル・フィニの絵。
69 Sixty Nine。 フランス語でソワサンヌ−フともいう。男女が逆の姿勢で,互いに性器を口で刺激するが下になったほうはもちろん上のほうも動きが不自由で,前2者にくらべて精神的効果という面が強い。これだけで両方がオ−ガニズムに達する事も普通。
性交体位 性交の時の男女の姿勢を分類した書物は古代から現代ま で多数ある。日本の天皇家にも伝わる本がある(「医心方」、今は公開出版)。 世界的に有名なのはカ−マス−トラという古代インドの本(訳本あり)で大変詳しく多数のエロ本のタネ本になっている。 対面の体位と男性が後の体位があり、それから寝ている場合、座る場合、立つ場合があり,組合せで多数の種類ができるという事である。
しかし大多数は芸術文学作品はもちろんエロ小説にさえ登場しないようだ。つまり実際にはほとんど使われないと判断してよかろう。 つかれる割に快感が弱いと考えられる。
一番普通な体位(姿勢)は,
「女性が仰向けに寝て膝を少し立て股を開き,男性がその間に下半身を入れ,対面して上になる体位(正常位,または開股位という)」であり、次に普通なのは
「男性が仰向けに寝てごくわずか膝を曲げ女性は男性の顔の方向を 向き男性器の上に座り、互いのオーガニズムの時うつぶせになる体位(女上位)」
「女性が仰向けに寝て膝を曲げて足を上げ,男性がその両脚をかか えて膝で立つ体位(屈曲位)」
「男性が座るか,ひじ掛けのない椅子に腰掛け,その上に女性が対 面でダッコされるように脚を開いて座る体位(前座位)」
「女性がひざと腕で4つんばいになり,立て膝の男性が後から挿入 する体位(背面位、背後位)」
「女性が横に寝て膝を曲げ,男性が後になって少し頭と上半身をお こす体位(後側位)」
の5つであろう。 立って対面し,女性が片足をあげるか,両足を男性にからめる体位(前立位)も稀に登場する。
性交運動 多くの本に性交体位と関係づけていろいろ書いてあるが, 要するに速い往復運動がヴァギナへの刺激が強く,体を強く密着させて行なうゆっくり回転するような運動が(対面の場合)クリトリスへの刺激が強いので,両方の時間と組合せを(女性が上の場合のほかは)女性の希望を聞きながら決めて運動を続けるという事である。 また運動中,男性が後の場合手で女性の乳やクリトリスを刺激し, 対面の時は乳を刺激する事が多いが,オ−ガニズムの時は男性は自然に運動を中止し両手で女性を強く抱きしめる事になる。しかし女性のオーガニズムの場合も男性は運動をやめて両手で女性を強く抱きしめるのが愛情のこもった行為だとされている。
性の神 田畑で作物が出来るつまり1粒の米や麦,トウモロコシなどから多数の粒ができる事が、人間の子孫が増える事と似ている(仲間を増やすということだ)ので、「田畑で米や麦,トウモロコシなどができる」事と人間の性交をむすびつける考えが古代には西洋,東洋,アメリカ大陸など世界中で発生した。
日本でも「田の稲がよく実るように」という願いを表現した神社の お祭で「オカメ(女性)とヒョットコまたは天狗(両方とも男性)」が出てくる例は少なくない。性交を意味するしぐさが残る神社の祭もある。また日光の金精峠という地名の金精コンセイとは男性のシンボルつまりペニスの事である。ペニスを祭る神社やほこらは多数ある。
性病 主として性交でうつる病気で昔は梅毒や淋病、現在はエイズが 代表。 梅毒は今のエイズのように大流行し多数の死者がでたが、今はよく効く薬があるので昔ほどは問題になっていない。
前戯 性器結合の前に愛情,興奮を高めるため行なわれる行為。若い男性の興奮は速くすぐ結合の準備(心の高まりと勃起)ができるが,若い女性のほうは楽しい性交を何回か経験していなければ,興奮が遅く、心の準備も体の準備(ヴァギナの中をなめらかにする液が出る)もすぐにはできない例が多い。
その場合男性側の都合だけで結合を行なうと,女性側では心の準備ができないため性交が楽しくなく,体の準備ができないので性交中痛みに苦しめられる事も少なくない。
抱擁や普通のキス、ほほ、のどの横、耳などに対するキスのほかに ,男性側が女性の気持(恥ずかしさより気持が良いのが主かどうか)を確かめながら乳をなでたり軽くもんだり乳に何回もキス・・・女性器のまわりをなで性器そのものをなで軽くゆする・・・などやクンニリングスによって,女性の気持ちを高め心と体の準備をさせてから性器の結合に進むのが良いとされている。
気持の良さより恥ずかしさのほうが強ければ,女性はそう言って男性に別の方法に換えてもらい、興奮が強くなってからもう一度ためしてみる事になる。
性交経験の少ない女性に対してクンニリングスの時に積極的にツバで陰門に水分を与え,女性側の 液体不足を補う事も行なわれ る。クンニリングスでなく手
(指)で刺激とツバを同時に与 える(ペニスにもぬる)事はも っと普通で江戸時代の川柳にも 出てくる。 これらを女性に対 する前戯という。
男性に対する前戯としては,女性がペニスをなでたり軽くにぎって 前後に動かす事やフェラチオがある。 しかし若い男性は興奮が速いので,男性に対する前戯が長いと性器結合以前に射精してしまう。
興奮も速いが興奮がさめるのも速い男性側に対して女性側では興奮 のさめるのが遅い。 だから男性がペニスを引抜いた後女性を数分の間愛情をもってていねいに抱きしめてやらないと女性側では急に男性の愛情がなくなった感じになり大変な失望感を味わう事になる。もちろん抱きあうのもO.K.。
同棲 法律にもとづく結婚の届をしないが男女が一緒に住み性の関係を持つ事。昔の日本では親の反対で結婚が同棲になってしまった事が多かったが,米国では性の楽しみのための短期間同棲が多い。ヨ−ロッパでも日本でもある程度そのような現象がある。そういう性のありかたを支持する人は結婚,同棲を含めて共生という。(→メカケ)
風俗営業、風俗嬢 性に関係した商売、つまり売春宿経営や、テレフォンクラブ(エロ電話の商売)、女性性器を覗かせたり女性性器にさわらせたりする商売を風俗営業といい、そこにいる女性を風俗嬢という。援助交際をする女性も風俗嬢という事がある。
ホモセクシュアル 略してホモともいう。言葉のもともとの意味は同性同志の性行為であるが、実際には男性同志の場合をさす(女性同志の場合はレスビアンという)。男色ともいう。ペニスを肛門に挿入するが、直腸(大腸と肛門の間の部分)はヴァギナほど丈夫でないから傷がつきやすい。また大・・の通る部分で細菌が多いからペニスから細菌が入る事もあり、衛生的には困った行為である。しかし古代からこれの好きな人間が皇帝、王様から庶民までいた事が知られている。
日本でも米国でも差別されているが,他人に迷惑がかからない以上、民主主義の国ではホモ行為の自由もあるはずで,ホモ行為をする人間を差別するのはおかしいという意見が次第に強くなっている。
ポルノ文学 性行為を描く文学だがどの程度まで性を描けばポルノ文学なのかはっきりした境界はない。 日本で残っている最古の本である古事記や日本書紀もポルノ文学と言えない事はない。
−−−現代文に直したものはたいていお上品な表現に変えてあるが例えば「(ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメが)一夜ミトアタワシツ」とい うのは,ミが御,トが門つまり性器だから,「性器をお合わせになった」 というのが本当の意味である。 万葉集にも性交についての知識がないと意味がよくわからない歌がかな りある。百人一首にもあるヨ。(→金瓶梅)
妾メカケ 男性が複数の妻を持つのは大多数の国と同様日本でも禁止されているが、実際には複数の妻を持つ男性がいる。その場合役所にとどけてないほうの妻を妾といい、また現在一人しか妻がなくても結婚を届けていなければ妾という事がある。 ただしこの言葉は現在の若い人には使わず、若い人の場合は愛人とか内縁の妻という事が多い。
ーーー女性が複数の夫を事実上持つ場合は届けてないほうを愛人というし、夫が一人で届けていない場合は内縁の夫という。 問題は生れた子供に何の責任もないのに、正式の夫婦の間に生れた子供と間に財産相続差別がある事で、日本でも他の先進国と同じように差別を無くそうという動きが強くなっている。
冷感症 不感症ともいう。女性が性交で快感がないという一種の病気。 原因はほとんど精神の問題なのでカウンセラ−か精神科医者の指導を受ける。 ただし男性側の無知や自分勝手が原因である事が普通なので男性側も指導を受けないとなおらない事が多い。