糸電話とギター
「音が糸や空気を伝わる」というとらえかたでなく、「振動が糸や空気を伝わる」「振動が耳
に伝わる」それが音だという事を教える授業書。 授業の容易さA―B、完成度B。時間は
指導要領準拠授業と大差なし。
使い捨てのプラスチックコップか紙コップで糸電話をつくる。
質問. 糸電話ではどこを音がつたわるのでしょうか。
質問 糸がたるんでいたら音がつたわるでしょうか。
質問 糸が動きにくいように手で糸の真中をにぎったら、音は小さくなるでしょ
うか。
では楽器を使って糸と音との関係をしらべましょう。
実験観察 ギターを持ってきました。 特別な糸である弦が張ってあります。 弦
をはじくと大きな音がします。 このとき弦が動いている事を確かめましょう。
全員交代で観察します。
問題 ピンと張った糸で糸電話の真中とギターの弦をつないで、弦をはじいたら
ア. 糸電話のときよりずっと大きな音がする
イ. 糸電話のときとあまりちがっていない位の音の大きさ
ウ. 糸電話からの音は聞こえない
ギターにつなぐと、弦の振動(ふるえる事)は大きくて、目に見えます。糸を
つなげば、糸も大きく振動します(ふるえます)。 その時は大きい音がする。
箱のついた音叉を2つ持ってきました。 グループにまわしますから、音がで
ているときは音叉がゆれているし、音叉をにぎって振動つまりゆれをとめると音
がしなくなる事を確かめてください。
問題 ピンと張った糸で糸電話の真ん中と音叉をつないで、音叉をならしたら
ア 糸電話のときより大きな音がする
イ. 糸電話のときとあまりちがっていない位の音の大きさ
ウ 糸電話からの音は聞こえない
質問 糸電話のときは、糸が振動(ふるえる事)していると思いますか?
質問 糸の真ん中を握ったら音がしない理由は?
では先生の机の上に1つの音叉をおき、そのすぐ近くでもう1つの音叉を先生
が鳴らします。 それから鳴らした音叉をにぎってとめる。
質問 にぎったら音は聞こえなくなると思いますか?
もう1つの音叉がかすかに鳴っています。 もう一回やりますから静かにして
下さい。さっき聞こえなかった人はそばにきてください。
質問 音はどこを伝わったと思いますか?
質問 何が振動したのでしょうか。
質問 安物のステレオからとった2つのスピーカーがあります。 これに電池を
つなぐと真ん中のコイルというものが動きそれにつないだ黒い紙が動いて「ガリ
ッ」とか「バリッ」という感じの音が出ます。
こちらはスピーカーそのままですが、片方はこの通り黒い紙の大部分を切り取
ってあります。
どの位切り取るかは8割切り取りくらいからはじめ「差がわかる」範囲で紙を残すよう
に予備実験で切りとって下さい。
問題 紙を大部分切り取ったほうに電池をつないだら、音はするでしょうか。
ア 同じ位の音 イ 弱い音 ウ 鳴らない
実験。
スピーカーに張ってある黒い紙がないと、真中のコイルの動きが「のれんに腕
押し」のカラマワリとなり、空気がほとんど動かない。 だから小さい音しかし
なくなります。 紙は真中のコイルの動きにつれて動き、空気を動かすのです。
質問 糸電話でのコップの役目がわかりましたか?
糸の振動だけでは空気がほとんど動かない。 面積の大きい紙やプ
ラスチックつまりコップが動いて空気を動かすのです。そうすると聞こえる。
ですから私達の聞いている音は空気の振動なのです。空気の振動は目に見えな
いが耳には感じられ、それが音だという事になる。
ギターやヴァイオリンの箱も多量の空気を動かすのに必要なのです。弦が振動する
と箱の板が振動して多量の空気を動かす。
では厚紙の紙ラッパを作って、空気の振動を集めてみましょう。
せまいほうを耳に当てると、まわりの音が大きくなって聞こえます。 おなじ
原理で、耳たぶに手をあてて耳たぶを大きくしてやると、やはり音がよく聞こえ
ます。 おじいさんやおばあさんになると、音が聞こえにくくなるのでおじいさ
んやおばあさんは時々そうしています。
今からグループで実験をしますが、大きな声を出して他人の耳を悪くする悪人
にならないようにして下さい。
ではウチワで空気を振動させれば音がするでしょうか。 ほとんどしない。
人間の耳にウチワくらいの速さの振動は聞こえないのです。象の耳ならなんと
か聞こえますが…。人間の耳には最低でも1秒に16-20回くらいの振動でないと
聞こえない。 上のほうは若い人だと1秒に20000回くらいまで聞こえま
す。 ただし犬は50000回くらいまで聞こえるそうです。
ギターの音はたいてい1秒数百回です。 この見えている振動は1秒に何百回
弦が往復しているのが見えているのです。 ただし回数の数字は高い音、低い音
によって違う。
「高い音」「低い音」について勉強しましょう。
質問 ギターで弦をおさえて短くすると、音は高くなりますか? 低くなりますか?
。 弾力が同じなら。短いと弦が速くもどりますから、1秒にふるえる回数は増えます。
弦の長さを短くして半分にすると、半分の時間で弦がもどりますから、2倍速く振動する事に
なりますが、そのとき音はどの位高くなるでしょうか。 先生に実験してもらいましょう。
1オクターブ上がる。 低音部記号のラ(イ、アー)の音は1秒220回の振動ですが、1オクターブ
上のラつまり高音部記号のラ(その中では一番低いラ高音部記号中央やや上)は2倍で1秒440
回の振動です。
質問
弦をきつく張ったらはじいた時、もどるのが速くなるでしょうか。遅くなるでしょうか。
質問
そうすると弦をきつく張ると高い音になるのでしょうか。 低い音になるのでしょうか。
実験。
では低周波発振機と高級スピーカーで1秒50回から1万回くらいの音を聞い
てみましょう。 1秒1万回の音だと、スピーカーの紙は1秒に1万回ふるえる
事になります。 50、100、300、1000、4000、10000.
人間の耳には20でも聞こえるが普通にある小型スピーカーはステレオ用の良い
ものでも50位から。高いほうは1万6000位でもハイファイと称するステレオセッ
ト用なら出るが、若い教師と生徒には聞こえても年配教師にはたいてい聞こえない。
(ただし楽曲の場合は60から1万1000くらいまで出れば音楽大学生でもそれより
良いものと区別できないという実験結果。歪も音楽大学生が0.5%以下では識別でき
ないから、オーディオアンプ(安物でも歪0.5%以下)に凝るのは金のムダ遣いであろ
う。 スピーカーさえ優秀なら小型のできるだけ安いアンプで十分、高級品との差
がわかるというのはオーディオ雑誌筆者の主観的気分の問題と考えられます。)
同時に使うオシロスコープはトリガ式(シンクロスコープ)のほうが、値段は高いがわか
りやすい。 安い同期式だと300ヘルツの波3つから400ヘルツの波4つが連続的にかわら
ず、300から400に周波数を上げてゆくと波数が突然3から4になる。 トリガ式だと350
なら3つと半分の波が出る。