移動、速度、力の合成・・・ヴエクトル加減算の話
ヴェクトル加減算と力の合成分解を学ぶのが同時というのは、多くの生徒に苦しいことが明らかです。 ですからヴェクトルの加減算を分離して教えると理解容易になるでしょう。
ヴェクトル加減算は、眼に見える「位置移動」からはじめ、次が少し抽象的な速度、一番抽象的でわかりにくい力を最後にします。
「ばねと力」をやっていれば、モノは押したり引いたりする時伸びたり縮んだりする事が生徒にわかっています。 ですから力の合成は変形の合成つまり位置の移動の合成と同じやり方でできるという説明で分かるはずです。 映画(DVD)で「ばねと力」の復習をすると良いと思われま
す。問題の数や難しさは生徒の顔を見て加減して下さい・・・つまり完成度は低い。授業は容易です。
図は簡単なので板書で十分です。
移動の合成
東に3m動き、南に4メートル動いたら、最初の位置から何メートル離れた事になりますか? ただし3メートル4メートル5メートルの三角は直角三角形です。わからない人はまわりの人に聞いてください。
では北に4mうごき、西に3メートル動いたら<最初のところから何メートル離れていますか?
東に10mいって南に10mいったら、約何m離れたところになりますか? 三角定規や分度器を使って、縮図を書いて計算します。 直角をはさむ辺が10センチ10センチの三角を書くと長い辺は14.1センチあまりです。ですから約14mとか14メートルあまりという答で良い。
---南に4メートル、東に3メートルではいけません。北極だと困ります。
一直線上の速度合成
今度は川を船で下ったり上ったりするとします。
川の流れが1秒に1メートル、船の速さはもともと1秒に4メートルとすれば、
登りのときは、船が流される分を考えて1秒 メートルの速さです。
下りのときは、船が流される分を考えて1秒 メートルの速さです。
飛行機の速さを1秒400mとします。1時間では3600倍ですから、3600×0.4キロメートルつまり1440キロです。 東京からハワイまで約10000キロとすれば10000÷1440の時間つまり大体7時間で行けるはずです。 実際には飛行場のそばで回り道をしたりゆっくり飛んだりするので7時間半か7時間40分位がいいところでしょう。
ところが時刻表を見ると行きは7時間あまり、帰りは8時間あまりです。
どうしてだと思いますか?
日本の高い山でも西風の日が多くなりますが、もっと上の飛行機が飛ぶような高さではたいてい強い西風が吹いています。その風速が1秒50メートルとすれば、行きの飛行機の速さは秒速450m、帰りは350mになってしまうのです。
―――実際には、帰りの飛行機がこの西風をよけて遠回りをします。
一般の速度合成
今度ははば150mある広い川をボートでわたる事を考えます。 ボートの速さは秒速1.5メートル、川の流れは秒速1メートルとしましょう。
川をわたるのに何秒かかりますか? ボートの長さとか岸の近くの流れが緩いことは考えない大体の話とします。 ---ボートの長さってわかりますか。150mあるボートなら0秒でつく!
ボートはだんだん下に流されますが、毎秒1メートル向こう岸に近づくのですから答は、川の流れがない時と同じく150÷1.5=100 ですから大体100秒です。
ただし毎秒1メートル流されますから100秒の間に100メートル下流に流されてしまい、その分向こう岸を100メートル歩いてもどる事になります。
ですから、はじめ人間が100m上流までボートを運ぶか、向こうで岸運ぶかという事になります。
ではまっすぐ進んだら何秒位かかるのでしょうか。
上流のほうに斜めにすすめば良いはずです。 最初の1秒でこの人は1.5メートル進むが1メートル流されるのですから、まずながされる分を書くと川が左から右に流れるとしてA図のようになります。それからまっすぐ進むように斜めの線をかく。 つまり底辺が1で斜辺が1.5の三角のもう一つの辺が実際に進む速さです。 そうすると斜辺は1.1センチ位ですから、実際進む速さは毎秒1.1m位になる。 ですから実際に進むスピードがのろくなってしまうので、130秒以上かかります。 ですからどこでも対岸につけば良いならまっすぐ向こうに向かっいけば川の流れがない時と同じ時間でつくし、対岸の真向かいにつくようにするなら進むぐ方向を斜めにしてやれば時間はよけいかかるが、その場所につきます。
演習問題 分度器と定規をつかって答えて下さい。 船は北に毎秒2メートル進むが、川は東に毎秒1メートル流れる。 そうすると実際に船の進むスピードはどの位ですか? 自信のない人は友達に聞いてください。
演習問題 韓国釜山からボートで九州に行くため真南のほうに漕ぐとします。ボートの速さが毎秒3メートルで、海流が真東の方向に毎秒2メートルとすれば、ボートの実際に進む速さはどの位ですか?
力の合成
「ばねと力」で「押したり引いたりすれば、その分ものの形が変わる」事を学びました。
2つの力で押したり引いたりすれば、形が変わるのも2つの力の分だけとなります。 形が変わるのは場所移動ですから、移動が目に見えないほど小さいけれども今までと同じ計算で良いことになります。
演習問題 分度器と定規を使って答えてください。 図のように2kg力(2 s重))の力とそれと直角な方向の1kg力(1 s重)の力がかかったら、ものは何s力( s重)の力がかかったのと同じだけ形が変わるのでしょうか。
ちょっと頭を働かせれば、分度器も定規も要りませんヨ。
大体 s力( s重)の力で押されたのと同じ。
そのあと教科書をやります。