ワニの概説

 ワニは現存する爬虫類の中では最も大きな動物で、爬虫類時代からの残存動物(ざんぞんどうぶつ:生き残っている動物)です。この最も古い祖先は中生代三畳紀(ちゅうせいさんじょうき)<2億800万年~2億4,500年前>の終りに出現したプロトスカスという吻(ふん:細長い口のこと)の短い後肢(うしろあし)の長いものです。ジュラ紀になるとワニはその種類も数も多くなりこの中にはテレオゾウルスという現生(げんせい:現在も生存している)のガビアル似た長吻種(ちょうふんしゅ:長い口の種類)や、アリガトレラスという小型の広吻種(こうふんしゅ:口が丸みを帯びた種類)などがおります。現生種に近いワニは白亜紀(はくあき)に出現し、これからは今日のものと本質的に同じです。フォボスカスは幅広い吻を有し恐竜を餌としていたらしいが、その頭骨(とうこつ:頭の骨)は 180cm以上あり全長14m位あったと推定されています。ワニは魚の多い淡水(たんすい:塩分を含まない水)に棲(す)んでいたので三紀のはじめに他の恐竜類のたどった運命を免れ、生き残ったものと思われます。


ワニの概説

 現生のワニは3科8属21種、亜種(あしゅ)を含めずに分けます。ワニは前に述べたように爬虫類の仲間のうちでは巨大な動物で、6mにも達し、ある種類のもの9mにも達すると言われています。他の爬虫類のように隠棲的な生活をしているものとは違い、脊面(せきめん:背中のこと)には凹凸(おうとつ:でこぼこしている様子)のある脊鱗板(せきりんばん:鎧のような頑丈な皮膚)をつけどっしりとしたワニは自分の囲りの多くの爬虫類を問題にしていません。どの型のワニも皆、卵生(らんせい:卵から子供が生まれる)で、砂地を掘って卵を産んだり、母ワニが造る草木を積み重ねた巣に産んだりしています。後者のような巣ではそれを造っている植物の腐敗熱(ふはいねつ:腐る段階で発生する熱)が卵の孵化(ふか)を助けています。                     

 ワニは総べて水中では肢を体につけ尾で泳ぎ、陸上では腹這いになっているが四肢で体を持ち上げて歩くこともあります。また短い距離では相当のスピードを出すことも出来きます。ワニは大変日光浴が好きで、水から出て横たわり、口を大きく開けて日光浴をしている光景は見ものです。泳いだり水の表面に浮くのはワニの特色となっています。
 頭皮は長い頭の凹凸のある骨に直接ついており、あの大きな口には柔らかい唇がない為水中で水が洩れないようにしっかりと顎を閉じることは不可能です。ワニがその生活の殆どを送る水中で、自由に呼吸出来るように適応しています。即ち外鼻孔(がいびこう:外側の鼻の穴)は吻端(ふんたん:口の端)に高まって開口していますが、内鼻孔(ないびこう:内側の鼻の穴)は口腔(こうこう:口の中)のはるか後方の咽(のど)に近い天井に開き、口腔と鼻腔とははっきりと区別されています。さらに加えて内鼻孔のすぐ前に筋肉質の口蓋弁が垂れ下がり、舌の基部から上方へ突出している舌基弁としっかり密着するようになっています。呼吸に際しては、外鼻孔を水面に出して上記2枚の弁を密閉すると、たとえ水中で口を開いていても、水は口腔から食道や気管または鼻腔に入る心配がありません。尚、外鼻孔のまわりには括約筋があって孔を閉じることが出来きます。眼には立派な上下の眼瞼があり、瞬き(まばたき)する瞬膜(しゅんまく)もあります。眼の後には耳孔(じこう:耳の穴)があり、頑丈な蝶番(ちょうつがい)のついた耳弁(じべん)が水中でもしっかりと閉じています。

ワニの概説

 ワニは攻撃する際は、丸呑みにするには大き過ぎる動物をも攻撃し、大型のワニでは彼等の恐るべき武器である強い歯と強い顎を使って相当大きな動物を捕え、自分の体を急速に回転させ文字通り犠牲者をバラバラに引きちぎって食べやすいようにします。ワニの歯は他の動物のように噛む(かむ)ための歯ではなく、一旦捕まえた動物が離れぬように押さえておく為のもので、歯並みは交互になっています。また縦に平たく長い尾は左右に振り、ある時はそれを回転させ獲物をもぎ取り、ある時はこの尾で一撃のもとに動物を打ち殺してしまう事もあります。古い歯は常に抜け変り新しく生え代わっていつでも攻撃に出られるように備えている。大きな獲物としては水鳥や水を飲みに来た陸棲動物(りくせいどうぶつ:陸上で生活する動物)もいるが、自分達同族の若いワニを食べる例も多く見受けられます。一般に若いワニや中型ワニは主に魚を食べ、最も幼いワニ達は水棲昆虫(すいせいこんちゅう)や甲殻類(こうかくるい)を食べています。クロコダイルの大型種は時として人間を襲うこともあり、成熟した牛馬を餌食にする事さえもあります。
 大型の動物では例えば、鹿、カモシカなどが水を飲みに来た時、鼻面を捕まえて水中に引き込んで溺死させてしう。このような事はしばしばあります。そういう場合、獲物をくわえた顎で横なぐりし、彼等の強力な武器である重い尾で一撃すると捕らえられた動物はひとたまりもなく伸びてしまいます。顎や尾を使って自分の身を守る能力があるのに加えて、ワニは硬い鎧(よろい)を身に付けています。即ち骨の小さな板によって補強されている骨ばった鱗板でよく保護されていて、その鱗板は列になっています。そして更に連続的なうねを形造った竜骨(りゅうこつ)をもっているのです。このようにして出来た武器はものを突き通さないという、あらゆるそれに関連した言葉で表現される程非常に硬いものです。ある種類に於いては、腹部の鱗板にさえ骨の補強があります。大きくて硬い頭骨はどのような敵にも攻撃されるような点が見い出せないほど骨が太い。

ワニの概説 

ワニの概説

アフリカクチナガワニの全身骨格
全長72cm  


 しかし、このような恐るべき外装をもったワニでも亀のように弱い一面があります。ワニは卵の中で大きくなる時と卵から孵った直後は、母親ワニの保護に頼らなければなりません。卵は簡単に見つけられ、いろいろな哺乳類などの動物の餌食にされたりもします。ワニは水陸両棲であって、水と陸の両方に棲んでいますが卵は陸で孵化し、やがて水に入って身を守るのです。そして水中で大部分の食物を得ます。陽のあたる堤などはワニのよく行く場所で、日光浴はワニ達の健康を保つ上で重要な役割をもっています。

ワニの概説
<シャムワニ同士のケンカ>

 ワニの内耳の聴器(ちょうき)は大きく、音はワニの生活では重要な部分を占めているようでです。ワニの聴音域(ちょうおんいき:聴くことの出来る範囲)は50~4000サイクルにも及びます。また視力も鋭く、眼は他の多くの水陸両棲動物と同じように頭の頂上にあります。暗闇の中でワニに光をあててみるとワニの眼が明るく輝いて見えるのは、網膜の後にグアニンを含む反射層があるためです。瞳孔(どうこう)は垂直に開いています。
 一般に爬虫類の心臓の心室は1室のみで膜によって不完全に左右に区分されているにすぎないのですが、ワニでは心室が完全に2室となって鳥や哺乳類に近い状態を示しています。また爬虫類中ワニだけは胸腔と腹腔とを区分する隔膜が存在します。これは哺乳類の横隔膜にやや似ているが構造などは異なります。ワニの食道はよく伸展します。胃が小さいので大量の餌を捕った時にはこの食道の部分に貯えることが出来ます。胃は2部分から成り、壁の厚い筋肉性の前胃と、小型で腺質に富む幽門胃とから成ります。前胃にはよく胃石が入っています。盲腸はなく、排泄孔は縦に開口し、ここに広い排泄腔があり、臭いのある物質を分泌する1対の肛門腺は排泄腔に開口しています。

 

 

 
ワニの人工孵化について  
ワニの人工孵化について

人工孵化で卵から孵る
キューバワニの赤ちゃん

 現生のワニは3科8属21種、亜種(あしゅ)を含めずに分けます。ワニは前に述べたように爬虫類の仲間のうちでは巨大な動物で、6mにも達し、ある種類のもの9mにも達すると言われています。他の爬虫類のように隠棲的な生活をしているものとは違い、脊面(せきめん:背中のこと)には凹凸(おうとつ:でこぼこしている様子)のある脊鱗板(せきりんばん:鎧のような頑丈な皮膚)をつけどっしりとしたワニは自分の囲りの多くの爬虫類を問題にしていません。どの型のワニも皆、卵生(らんせい:卵から子供が生まれる)で、砂地を掘って卵を産んだり、母ワニが造る草木を積み重ねた巣に産んだりしています。後者のような巣ではそれを造っている植物の腐敗熱(ふはいねつ:腐る段階で発生する熱)が卵の孵化(ふか)を助けています。

 

 ワニの人工孵化について
<シャムワニの卵>

 
ワニの人工孵化についてクチヒロカイマン「赤ちゃんワニ誕生」瞬間へワニの人工孵化について

   
 


 ワニの絶滅区分基準

A. 1級絶滅危惧種(Critically Endangered)

野生状態において近い将来絶滅する可能性の高い種。
以下の条件のどれかに該当する場合このランク。

1, 過去(将来)の10年間もしくは3世代の間に80%以上の減少が確認された(予想される)。
2, 生息域の分布域が100平方km以下、もしくは生息地が10平方km以下。
3, 繁殖可能な成熟個体数が250頭以下。

◆フィリピンワニ、シャムワニ、ヨウスコウワニ、オリノコワニ


B. 絶滅危惧種(Endangered)

1級ほどではないにしても野生状態において近い将来絶滅する可能性の高い種。

1, 過去(将来)の10年間もしくは3世代の間に50%以上の減少が確認された(予想される)。
2, 生息域の分布域が5,000平方km以下、もしくは生息地が500平方km以下。
3, 繁殖可能な成熟個体数が2,500頭以下。

◆キューバワニ、インドガビアル、クロカイマン


C. 危急種(Vulnerable)

当面絶滅の恐れはないが、中期的なスパンで将来を展望した場合、絶滅の可能性の高い種。

1, 過去(将来)の10年間もしくは3世代の間に20%以上の減少が確認された(予想される)。
2, 生息域の分布域が20,000平方km以下、もしくは生息地が2,000平方km以下。
3, 繁殖可能な成熟個体数が10,000頭以下。

◆アメリカワニ、ヌマワニ、コビトワニ


D. 絶滅の危険性が少ない種(Low Risk)

現状において十分な個体数と分布域が確保され、将来的にも絶滅の危険性は少ない。

◆ミシシッピーワニ、ナイルワニ、ニューギニアワニ、イリエワニ、オーストラリアワニ、メガネカイマン、パラグアイカイマン、クチヒロカイマン、ブラジルカイマン、コビトカイマン

E. 現状不明種(Deficient)

情報不足で正確なランク付けのできない種。

◆マライガビアル、アフリカクチナガワニ、ガテマラワニ


註-1:ワニの1世代は自然界では平均20~30年なので、3世代とは100年以内である。
註-2:個対数はあくまで成熟個対数が対象であって、未成熟個体は含まれない。