増山明夫
1.ロックガーデン
年齢の関係で山に登れなくなったら、家で岩と高山植物を見て暮らすという目的でロックガーデンを作りました。
ですから日本で普通の「ロックガーデン」のような立体花壇でなく、日本アルプスや八ヶ岳頂上付近の景観を模すという目的のロックガーデンになります。
ですから「東頂上」は比高2.5m、「西頂上」1.5m程度。 広さは横12m奥行き10m程度の大きさでですから東側半分は勾配1/3前後となり急峻な岩山となって高山の感じがある程度出ていると思います。
大きい岩は業者に配置してもらいましたが、縦横高さが40センチ前後までの岩は自分で配置しました。 使ったのは自分の土地から掘り出した岩石で、すべて近くの「岩の山」という火山から飛んできたものですから穴無数という軽石であり、大きさの割に軽いからその程度の岩ならテコの原理を使えば素人でも移動配置容易です。 大岩を配置する段階で岩伝いに歩く「登山道」と「お中道」を業者に作ってもらいました。
あたりの「土」も虫眼鏡で見ればすべて軽石で、泥や粘土がなく、台風が来ても水溜りができないという水はけの良さですから、「土」で山を作り岩と石を並べ、バーミキュライトとパーライト(両方とも大変安い)を混合し20センチほど敷いて各植物のまわりだけその植物にに合いそうな用土と入れ替えます。
日本の山岳愛好者ですから頂上に匐松がないと高山の気分が出ない。ですから東頂上は実生30年のハイマツ。 普通は1メートルを越すのですがこの株は矮性でほっておいても写真のように50cm程度のままで横に広がります。 長野県の吉岡園芸で買った種からだと記憶。 西頂上は濃赤花の咲く小型シャクナゲのネリイフロルム(70センチ位)を日光市から移植しましたが3年で花のあと枯れてしまい、現在は交配種となっています。 伊豆高原標高300mだと夏の最高気温は日光市と大差ないが最低気温が東京と大差ないので弱ってしまったようです。中国では3000mよりかなり低いところまで生えているのを見たのでその低いところの個体から種子を採集するようプロにお願いしたいです。 有名な「青いケシ」も3000mあまり--5300mにあるようで、低いところの種子を輸入したらどうでしょうか。
上の画像の右上に見える緑のマッスがハイマツ。 下界?のボーダーになっている低木はシナレンギョウの矮性品種bronxensisで春に咲きますが夏と秋はとなりにあるCeratostigma willmottianumが咲きます。暑さに大変強い60センチ程度の木で青い花が5月末から11月まで咲き続ける。 中国四川省大姑娘山5025mに登ったとき見たのをイギリスから輸入・・・昔は山岳地帯トレッキングで見た花で気に入ったものの名をしらべイギリスの花屋に注文していました。今は札幌のアルムとか埼玉のアルペンガーデンやまくさといった有名業者から買うのが普通です。 シナレンギョウの右と左に1メートル以上の大岩があります。
以下はロックガーデンをさまざまな方向から見たものです。
植える植物は高山植物プラス高山お花畑の気分をこわさないような矮性宿根草・小型球根です。 鉢植えだと植物自体の美しさが問題で珍品を探すことになりますが、ロックガーデンでは高山お花畑の感じを目的とするので日本の酷暑に耐えて実生で広がるようなものを多く植えています。 暑さに特別強いミヤマオダマキ、グロブラリア2種、アリッサム・モンタヌム、ゲラニウム・サンギネウム、パパウェル・アトランティクム、這性のヴェロニカなどは自然にあちこちに広がり、ロックガーデン全体を自然のお花畑のような感じにしています。 整然と植えたのでは立体花壇となり、高山の縮景になりません。
ですからイワヒゲ、ホウオウシャジン、小型シャクナゲ、アポイアズマギク・・・などの周辺では勝手に生えたこれらを雑草として引き抜く事になります。
ホウオウシャジンは5年目に消失。チングルマは7年目に消失
キンロバイ、タカネイバラ並みに暑さに強い低木は外国にも多いし、ヒメシャクナゲ、イブキジャコウソウ・・・はいくらでもひろがります。
写真は早春の花が1.普及しているミニ球根のイリス・ヒストリオイデス
2. ラペロージア・オレガナで建物近くで北に岩があれば冬越しできます。
3.最近安くなってきたテコフィレア・キアノクロクスで、半耐寒性とあります
が北側に岩があれば冬越しできます。
4.タツタソウです。
5.ラヌンクルス・カランドリニオイデスで夏は休眠するので暑さに強い
今までロックガーデンで咲いた花は高山で自然に咲いた花ほど良くないというので、ロックガーデンの花を写すことがありませんでしたが、現実に登れなくなってきたので去年からロックガーデンの花の写真をはじめました。
5.グロブラリア・コルディフォリアで暑さ寒さに大変強い
6.アリッサム・モンタヌムで雑草化するほど強い
7.サクラソウとオンファローデス・カッパドキカでやはり暑さ寒さに強い
実が飛んで勝手に生えたミヤマオダマキです。
やや小型の斑入りシランです。 注文した覚えはなく、業者が間違い品を送ってきたが美しいので文句をいいませんでした。 丈夫ですからロックガーデンの一番下で終日日あたり。
実が散り勝手に生えたゲラニウム・サンギネウムです。
リナム・カピタートゥムです。
右の赤い花はヘリアンセマムです。
普及しているミヤマホタルカズラです。北東向きの急斜面にあります。
ポリガラ・カルカレア・リレットです。右はアリッサム。
アメリカのエンレイソウでgrandiflorumと思われます。
モレア フガックスです。当地では耐寒。
エリシムムですが名忘れ。
庭の1/3がこのロックガーデンです。
2. 亜熱帯・乾燥地の植物
水はけが良すぎて夏は乾燥がひどいという土地で多くの植物の育ちが大変悪い土地です。
土地にあわせて南アフリカ、オーストラリアなど夏に雨の少ない地域の樹木を植えています。アフリカジンチョウゲ、カリアンドラ、銀葉樹、リュウコスペルムム、グレウィレア、プロテア類、テロペア、カイサルピネア、デイゴ類、バウヒニア、メラレウカ、カリステモンなど異国的な半耐寒性樹木の植え込みになります。
2018記・・・テロペアとプロテア・ネリイフロルムは台風で根元から倒れて枯れました。 フレモントデンドロンも耐寒性が強く湿気にも案外強いがやはり台風で根元からひっくり返り、枯れてしまいました。
プロテア・レペンスは耐寒。 プロテア・キナロイデスは霜よけが必要です。 イソポゴンは園芸種2株とアネモニフォリウスの実生からの株があり、毎年異国的な花が咲いていましたが、霜よけ不要のはずが今年の異常寒波で園芸種は桃色・黄色両方枯れました。
バウヒニアではナタレンシスが抜群に寒さに強く、デイゴではフメアナとゼイヘリが寒さに強い。アルボレッセンスは当地では霜で痛みます。 カリアンドラではセロイとトゥウィーディが寒さに大変強く寒害を受けないです。トゥウィーディは2-3mの木になるものと匍匐性の品種があるようです。 別種でしょうか、品種の差でしょうか。
カリステモンに近縁のクンゼア・バクステリは案外湿気に強く、霜よけと水はけ確保(根のまわりを桐生砂にする)だけで今年の異常寒波でも大丈夫でした。レウコデンドロン(銀葉樹)も水はけ確保ですが、霜よけか南向き壁の近くである事が必要です。 レダマは寒さにも湿気にも強く、エニシダより鮮やかな黄色で芳香がジンチョウゲ・モクセイなみの強さです。 ハンニチバナ(キストゥス)類も耐寒性つよく、西日をよける程度で夏越し。 ヘーベ・スペキオサも西日をよける程度。
これらと取り合わせ?の草は異国的なものが良いというので普及しているスプレケリアのほか
ディエテス・ビコロル(クリーム色)が耐寒性で大変よく増える。アリステア・エクロニス(青)は多少寒害。 キペラ・コエレスティス(青紫)は耐寒。ゲラシネ・コエルレウム(薄い空色)も南壁ぎわなら大丈夫で異国的な花が咲いています。 ゲラシネ・エロンガタ(青菫色)も南壁ぎわで冬越ししますが、9月に球根腐敗の害を受けました。 トリガープラントで有名なスティリディウム・グラミニフォリウムは霜よけだけで実生から開花しますが、短命なのか一度枯れてしまい、今年は2回目の実生株が咲いています。 アカエナの多くは暑さに弱いが種名不詳の1種が夏の暑さに強く雑草化しています。 またオルトロザントス(laxus?・モレアの名で購入)も空色の花で暑さ寒さに大変強い。 モレアのアリスタータは丈夫でよく増えますからロックガーデンの一番下にあるし、フガックスもロックガーデン。 他にヴィロサ、トゥルバエンシス、パピリオナケア、ギガンドラなども植えっぱなしで毎年開花しています。
キペラ・コエレスティスで当地では耐寒。
ゲラシネ・コエルレウムです。当地では耐寒性で栽培容易ですが花の閉じる時刻が早いのが欠点です。
3. その他
ジャーマンアイリス花壇と花しょうぶ花壇があります。(古い水ごけや綿を大量にすきこまないとハナショウブは弱り枯れやすい)、またローダンテマム中心の花壇や球根イリスの花壇、ガーベラと小型アガパンサスの花壇、ガザニアと小型ダリアの花壇、アガウェ(吹上)とタマスダレの花壇があります。
あとは東洋蘭・えびね(春蘭の「宋梅」や九華の「仙緑」のように大変美しいのに普及しているという理由で安価な品種
)やイワタバコ科植物を植えた小さい陰地花壇、サボテンとエケヴェリアを使った小さい多肉植物花壇といったところでしょうか。 鉢植えは手入れが大変という理由でレリアなどの洋蘭だけになっています。たいていの洋蘭は水遣りを忘れてもあまり弱らないから、雨ざらししにしたままの旅行が可能という理由です。また小型のグロキシニア類やストレプトカーパス、一部のプリムリナなど寒さにいくらか弱いイワタバコ科の草は春夏秋の間陰地の立体花壇に地植えですから水遣り不要となります。
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