1.ロックガーデンの四季
作成から20年以上たったので、全面的に書きかえ、もとの文は小さい字であとにつけました。
T ロックガーデンを作った目的
「老齢のためハイマツとお花畑のある高山に登れなくなったら、家の庭でハイマツと高山植物の花を眺めて我慢する」
というものでした。 年齢とともに体力低下、バランス低下が著しく2年前(現在88歳)から高山は夏でも無理という事になりましたが、その状態を予想して作った事になります。
日本アルプスや八ヶ岳の頂上付近の景色を模す「アルパインガーデン」を作る事になり、園芸家の作る「ロックガーデン」「立体花壇」とは次の点で違ったものになります。
1. 高山らしく急峻であること…・20-40cm高くした花壇でなく、傾斜1/2程度の小山とします。 径10mで比高2.5mの円錐と径8mで比高1.5mの円錐をつないだヒョウタン形のミニ岩山を作れば高いほうの円錐は半径5mとなり高さ2.5ですから傾斜は1/2。 25度程度の傾斜ですが、山登りのとき30度の傾斜が45度程度に見える事を考えれば
十分きつい傾斜に見えるはずです。
2. 高山植物中心の植栽とし、最高地点にはハイマツを植える。ハイマツがなければ日本の高山という感じがしないです…富士山と浅間山を例外として日本の高山頂上付近にはハイマツのカーペットがある。 コケモモとガンコウ
ランもあると良い。
3. 低地の植物でも高山の雰囲気を壊さないようなものを植える。
もう一つの「頂上」(比高1.5m)にはヤクシマシャクナゲを植え、まわりにはヤクシマハイヒカゲツツジとタンナゲンカイツツジを植える。 これらは高山に自生するものではないが、「高山的?」な印象を与えます。
4. 登り口の近くを例外とし、全体としては「すきまなく植物が生え、土がほとんど見えない」ようにする。 土の部分が多いと「花壇」という感じになり「高山お花畑」の感じがしない。
5. 4 .の条件を満たすためには、「下界の暑さに耐え、勝手に増える」「雑草化する」のような植物を後方に植えて、全体としては「隙間なく植物が生える」感じにします.
以下はロックガーデン入り口近くからさまざまな方向を見たものです。
U 植物の選定
アクセントになる矮性の木としてはハイマツのほかに高山植物からキンロバイ(安い普通品種),タカネバラを選びました。 これらは「インド並みに近づいている?」という東京の猛暑酷暑に耐えます。 麓にミヤマキリシマ。
ハイマツは40年ほど前に吉岡園芸さんから買った種子を撒いたもので記憶では中央アルプス産という事だったと思います。 不思議な事に枝が粗ですぐ1mを越えたものと、40年たってやっと1mただし枝が密で横幅2mというものが生じました。今頂上にあるのはもちろん後者。
他の大型矮性樹木としてはレンギョウの矮性品種Forsythia viridissima Bronxensis とCeratostigma willmottianumを植えました。 後者は背丈が70cm程度で初夏から秋まで濃青の花をつけ、そのあと紅葉。暑さに滅法強い。
同属のルリマツリモドキとブータンマツリは日本でも入手容易なのに、イギリスの園芸書籍ではよく見かけるこの植物が日本で市販されていないのは不思議です。 中国西南部山岳地帯の亜高山帯岩場に普通で、アルパインツァー社の「大姑娘山」ツァーに参
加した時、記念?に買いました。 2種とも販売はイギリスのヒリアー商会。
東京に居たときには青藤色のシャクナゲRhododendron augstinii "Electra" を同じくヒリアー商会から買って毎年よく咲いていましたが引越し騒動で枯死。 それで他のaugustinii品種を日本で買い植えましたが夏に弱りほとんど咲かない。品種によって耐暑性が違うのかもしれません。原種は中国雲南省の2800-3400mあたりで多数見ました。花色の個体差が大きく桃色から青藤色までありました.
1.
暑さに大変強く雑草化一歩手前という高山植物として第一にお勧めしたいのは「花の大きさはキンシバイ並みだが、シバザクラより低く這う」ヒペリクム・オリンピクムです。 鑑賞価値が高く栽培容易なのに日本の業者が扱っていないのは不思議です。 やはりヒリアー商会。 吉岡園芸さんから買ったグロブラリア2種も栽培容易で種と匍枝で広がる。 Geranium sanguineum lancastriense は日本でも普及しているようですが雑草化しますから、時々抜く事になります。 高山植物ではありませんが勝手によく生え、時々抜くものとしてアシタカマツムシソウ(ソナレマツムシソウの名で「アルペンガーデンやまくさ」さんから買いました)があります。 2年草ですが秋から冬にかけてマツムシソウに酷似した花をつけ20-40cmと低いので高山植物との違和感がない。 12月とか1月はじめまで咲く株もある。またヒナゲシの仲間のPapaver atlanticumは花色が地味ですが、暑さ寒さに強く雑草化します。 薄い橙の花は高山の雰囲気をこわしません。 英国Jack & Drakeからです。
暑さに強い高山性アヤメにIris chrysographes "black form" があり、毎年よく咲いて株分けし譲渡もしましたが、やはり引越し騒動で枯死。同種の種は入手容易ですが、発芽不良だったり暑さに弱かったりして現在のロックガーデンには無い。Jack & Drake の販売していた株が特別暑さに強かったのかも知れません。
日本のイブキジャコウソウも目立つような花ではないが、這って岩の上で咲いていると高山の花という感じになり暑さに大変強い。
アルムさんで売っているイリス・ラクストリス×グラキリペスはヒメシャガと似ていますが小型で暑さに強くよく広がり青紫の花をつけます。同じ業者で扱うオンファローデス・カッパドキカも少し日陰のところでは雑草化しますが、鮮明な青花で岩の前だと高山植物の雰囲気です。 他に球根のマツユキソウとシラーシビリカ、シクラメン・コウム、冬咲の小型クロッカス類・小型水仙類も高山らしい雰囲気を壊さないです。
2. エーデルワイス類の一部とかミヤマアズマギク類、ミヤマキンバイ…アルプスリンドウ、レブンソウなど割りと暑さに強いものは登り口に割りと近い場所。 暑さに弱いもの、つまり多数派の高山植物は登り口のまわりとなり、夏だけ日よけをしたり、日陰に引っ越す事になります。 日よけとしてよく使うのは引っこ抜いたコンテリクラマゴケで上にかけて時々交換。 コンテリクラマゴケは日陰だと雑草化し、時々引っこ抜く事となりますが、葉は美しいから日よけに良いと思います。
3.
園芸家の美的基準より、岩場に植えたときの高山的印象という基準が優先。 アリッサム・モンタヌムはアブラナ科で黄色の花ですが花つきが疎であり、アブラナ科で鉢植えにしたときこれより美しいものは大変多い。しかし地面を隙間なく覆って高山の感じを出すという点でこの種に広い場所を与えています。
V ロックガーデンの位置
現在の住所は伊東市標高300mで、火山の火砕流からできた土地です。 鬼押し出しに似て、1m程度の岩が散在し、30cm程度の大石はゴロゴロ、泥のように見えるものも虫眼鏡で見ればすべて軽石ですから台風がきても水溜りなどできない。 小石が大変多く鍬という農具を使うと手がビリビリとなりますからツルハシを使わなければ15cmの穴も掘れない。 小石と砂の地面ですから支柱を立てる事は不可能に近い。 家は24坪程度の2階建てで敷地は200坪ですが土地の値段は現在悲しくなるほど安い。
家の北東部にミニ岩山を作る事になりました。 西には深山含笑…常緑のハクモクレンという感じの樹です…とツバキ・サザンカ類があり、北の隣地は10m以上の大木が生えた雑木林、東は普通の住宅、南は現在喫茶店。
業者に依頼して地中から掘り出した1m級の岩を積み上げ、同じく掘り出した30-40cm級の大石は自分で運び、土を不足気味に入れたあと20cm程度バーミキュライト(安い)を足しました。 その上に桐生砂など各植物に適した土を入れるようにしました。 大石とは言っても穴だらけの軽石ですから、並みの体力しかない僕一人の力でもテコを使って転がしながら上げる事ができます。
冬の寒さは東京23区程度。 夏の最高気温は30度以上の日が2週間ほどですが、最低気温は高く東京23区と大してかわらない。ですから最高気温だけ見れば札幌と大差ないが、実際には札幌で栽培容易なシラネアオイ、コバイケイソウなどが栽培容易ではないという事になっています。
。
。最初に作ったときは大型のプラスチック池がロックガーデンの手前にありましたが、20年あとには水漏れが生じ、今はハナショウブ花壇になっています。 組み合わせが悪いので、将来はグラウンドカバー植物の花壇に直す予定です。
反省
1. 「老齢のための登山困難」と言いますが「体力低下」より「バランス低下」のほうがが大きな問題である事に気付かなかった事が第一でしょう。
ロックガーデンを作ったときは、厚底スリッパでも楽に歩けたのに
「運動靴なら楽に歩けるがスリッパは危険」という時期をすぎ
「運動靴でも危険がゼロでない」という事になりました。
1/2の急坂だと運動靴でも危なっかしくなり、杖を使うか四足で歩くかというのが現在の状況です。 登り口から見えないところは舗装し、急なところを階段にすべきだったと思います。 登り口の近くでは上が平らな岩・大石を適所に配置すべきでした。体力が落ちているので大石を今になって動かすのは難しい。
2. ノートを作るのが面倒だし、札を立てるのは雰囲気を壊すというので植物を植えっぱなしにしたら、老齢と共に名を忘れてしまい、名不明の花々が咲いている事。 かなり広い面積を占めているグロブラリア2種の名さえわからない。小さいほうはコルディフォリアかそれにナナがつく種類で、大きい方はヴルガリスかトリコサンタだと思うのですが自信がない。
3. 見に来る人を自由に歩かせたら,植物の被害甚大。 足場が悪いので高山植物を踏んでしまう人が少なくないのです。 普通の人は「高山植物は生きているのが精一杯」「生長が大変遅い」という意識がない。
<> 今はロックガーデンを1まわりするだけにしています。
鉢植え栽培と異なり、散水が5月に二回程度7-8月に三ー四回程度です。 極度に乾いて植物が弱りそうな日だけ。 ですから管理は草取りだけといっても良い。急斜面の草取りは重労働ですが時々大石の上に座って休憩する時、高山お花畑の雰囲気を味わう事ができます。
旧稿 一部省略
ハイマツがないとと高山の気分が出ない。ですから東頂上は実生30年のハイマツ。 普通は1メートルを越すのですがこの株は矮性でほっておいても写真のように50cm程度のままで横に広がります。 長野県の吉岡園芸で買った種からだと記憶。 西頂上は濃赤花の咲く小型シャクナゲのネリイフロルム(70センチ位)を日光市から移植しましたが3年で花のあと枯れてしまい、現在は交配種となっています。 伊豆高原標高300mだと夏の最高気温は日光市と大差ないが最低気温が東京と大差ないので弱ってしまったようです。中国では3000mよりかなり低いところまで生えているのを見たのでその低いところの個体から種子を採集するようプロにお願いしたいです。 有名な「青いケシ」も3000mあまり--5300mにあるようで、低いところの種子を輸入したらどうでしょうか。
植える植物は高山植物プラス高山お花畑の気分をこわさないような矮性宿根草・小型球根です。 鉢植えだと植物自体の美しさが問題で珍品を探すことになりますが、ロックガーデンでは高山お花畑の感じを目的とするので日本の酷暑に耐えて実生で広がるようなものを多く植えています。 暑さに特別強いミヤマオダマキ、グロブラリア2種、アリッサム・モンタヌム、ゲラニウム・サンギネウム、パパウェル・アトランティクム、這性のヴェロニカなどは自然にあちこちに広がり、ロックガーデン全体を自然のお花畑のような感じにしています。 整然と植えたのでは立体花壇となり、高山の縮景になりません。
ですからイワヒゲ、ホウオウシャジン、小型シャクナゲ、アポイアズマギク・・・などの周辺では勝手に生えたこれらを雑草として引き抜く事になります。
ホウオウシャジンは5年目に消失。チングルマは7年目に消失
キンロバイ、タカネイバラ並みに暑さに強い低木は外国にも多いし、ヒメシャクナゲ、イブキジャコウソウ・・・はいくらでもひろがります。
写真は早春の花が1.普及しているミニ球根のイリス・ヒストリオイデス
4.タツタソウです。
5.ラヌンクルス・カランドリニオイデスで夏は休眠するので暑さに強い
今までロックガーデンで咲いた花は高山で自然に咲いた花ほど良くないというので、ロックガーデンの花を写すことがありませんでしたが、現実に登れなくなってきたので去年からロックガーデンの花の写真をはじめました。
5.グロブラリア・コルディフォリアで暑さ寒さに大変強い
6.アリッサム・モンタヌムで雑草化するほど強い
7.サクラソウとオンファローデス・カッパドキカでやはり暑さ寒さに強い

実が飛んで勝手に生えたミヤマオダマキです。
やや小型の斑入りシランです。 注文した覚えはなく、業者が間違い品を送ってきたが美しいので文句をいいませんでした。 丈夫ですからロックガーデンの一番下で終日日あたり。
実が散り勝手に生えたゲラニウム・サンギネウムです。
リナム・カピタートゥムです。
右の赤い花はヘリアンセマムです。
普及しているミヤマホタルカズラです。北東向きの急斜面にあります。
ポリガラ・カルカレア・リレットです。右はアリッサム。
アメリカのエンレイソウでgrandiflorumと思われます。
モレア フガックスです。当地では耐寒。
エリシムムですが名忘れ。
庭の1/3がこのロックガーデンです。
3. その他
ジャーマンアイリス花壇と花しょうぶ花壇があります。(古い水ごけや綿を大量にすきこまないとハナショウブは弱り枯れやすい)、またローダンテマム中心の花壇や球根イリスの花壇、ガーベラと小型アガパンサスの花壇、ガザニアと小型ダリアの花壇、アガウェ(吹上)とタマスダレの花壇があります。
あとは東洋蘭・えびね(春蘭の「宋梅」や九華の「仙緑」のように大変美しいのに普及しているという理由で安価な品種
)やイワタバコ科植物を植えた小さい陰地花壇、サボテンとエケヴェリアを使った小さい多肉植物花壇といったところでしょうか。 鉢植えは手入れが大変という理由でレリアなどの洋蘭だけになっています。たいていの洋蘭は水遣りを忘れてもあまり弱らないから、雨ざらししにしたままの旅行が可能という理由です。また小型のグロキシニア類やストレプトカーパス、一部のプリムリナなど寒さにいくらか弱いイワタバコ科の草は春夏秋の間陰地の立体花壇に地植えですから水遣り不要となります。
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