1. 工事許可申請に使った東電製造怪文書


 次の文書は東電が山腹--麓の部分の林地開発の許可を県に申請したときの書類の1つである。 これで住民の同意があったというのだが、署名捺印の「副議長」 は代表資格がなく、法律的には無効な文書である。 無効文書をもとにした許可だからそれまでの工事はすべて違法である。
  
正しい文書と手続きは以下のとおり。 町長に東電が林地開発を申し入れる。町長は関係住民自治会(この場合財産区議会)を召集し、意見を聞く。そこで可決されたら町長が「同意書」に署名捺印する。実際には議会を召集せず、町長不在の場所で誰かが  副議長の署名をし、議長の印を押したのである。  


 この「同意書」は我々が昨年から開示を要求していたものである。林地開発に同意の署名をしたのが誰で、いつ同意したのか誰に聞いてもわからないの で、我々は、桜井前町長が個人の判断で誰にも知らせず密室で業者と話し合い署名捺印をしたのではないかと想像していた。  ところが1年後静岡県が開示した文書を見ると副議長の名と署名になっている。  

 東電は巨大企業の常として弁護士を抱えているはずだ。 それなのになぜ林地開発許可のための違法文書を作成したのであろうか。  また桜井町長は先頭に立って風力発電を誘致したのであるから、町長印のある、形式的に違法でない文書作成は可能であった。  特別急ぐ必要があって違法文書をでっちあげても許可を得る必要があった事になる。 建設官僚出身である石川知事の任期切れ(7月)には 間に合っていないが、急いだ理由は何であろうか。補助金申請か何かの期限があったのだろうか。
 また尾根の工事認可(水源涵養保安林解除が伴う)もないのに、山腹--麓の工事だけはじめたというのも謎の一つである。

  この「同意書」には土屋氏の署名があるが、土屋氏は本当に署名したのでなく別人が署名したという。 そうなら偽造文書である。筆跡鑑定をすれば解決する問題であろう。 署名捺印の現場に東電担当者がいて町長がいなかった事は確かである。

 また河津町は桜井町長時代この文書開示をいくら要求しても出さなかった。相馬町長になってから、公文書開示を渋る事がなくなった が、この文書は河津町にないという。 誰かが違法文書を処分したのである。 その違法行為を行ったのは誰か。


2.道はないが山上に大型車両群?…変造地図の怪

 2009年12月になって地元の人々が驚いたのは、業者が河津町に提出した風車搬送路の地図の入り口(温泉の建物の左側を登ってすぐ)の工事が全く行われていないのに山の上でチェーンソーの音が響き、山の上を大型トラックやユンボ、ブルドーザーが走っていた事である。

 図は業者が河津町・県に提出した風車搬送路の地図にABC等の英字を書き入れたものである。
 図の右下Aのところに温泉があり、温泉の左を上に登りクネクネと曲がると業者の示した風車搬入路である。 そこ(図のF)から山を切り開いて尾根のD地点(地図上部)にでるようになっている。 ところがその道がないのである。 地図のD-E-Bを走りまわる山上の大型車両群はどこから現れたのであろうか。

 業者の提出した地図は現状とかなり相違があり、2005年ゼンリン地図(ゼンリンは電子地図の2大業者の1)に存在する道はもちろん久しく以前から存在し昔から登山地図に書かれている道で記入されていないものが存在する。 逆に現在廃道になり山屋でないと歩行さえ困難な道が書かれている。

 現状をこの図に記入してみよう。

 まず地図全体の説明をすると、地図は北東が上になるように書いてあり地図にないが地図ののすぐ左上が三筋山の頂上であり、それから大池に向かう遊歩道に風車10基を建てることになっている。 つまりE地点は風車予定地点直下である(写真左)。

 2005ゼンリン地図にあるようにAからB-G-D地点までの車道があり、その道路は農免道路A地点近くの:ゲ−ト(写真)からほぼ6m幅(ごく一部は5m程度)でD点まで続いている。

 河津町が住民要求で開示した業者地図はその道の一部を消して、その道路が通じていないように見せたインチキ地図である。Gのあたりの道を消してあるのだ。
  要するに風車を運ぶ道はDより先(左)だけ作れば済むのである。ほんの一部だけ5m幅しかないところを広げるだけでよい。 AからBまでの道は不要であり、BからDまでの道は既存の道でその一部を補修しただけである。 それらをこれから建設する道のように書いたのが業者地図である。
 補助金申請のときこの地図を使っているのであろうか。


2005年ゼンリン地図と1977年日地登山地図「伊豆」を示す。現在廃道になった道があり、新設道路もあるので比較がやさしくないから、A--Gの記号を入れた。前記地図と比較してみれば、業者が消した道路が1977年から今まで存在し続けた事がわかり、古い地図だからその道路は書いてないという言い逃れは不可能である。もちろん極めて古い地図なら存在しないであろうが、農免道路が書いてある以上古い地図ではない。













ゼンリン地図には前記地図にない道が多数書かれているが廃道であり、実際に藪をかきわけ歩いてみてゼンリンの地図が正確である事を確認した。









3.東電「始末書」提出・・・出鱈目開発をちょっぴり謝罪


 東電が町との契約書もなしに乱開発をしているから監査せよと河津の会が町に監査請求をした結果である。つまり東電は桜井町長の了解のもとタダで(町議会の承認なしのタダは違法)町有地の開発をしていた事を公式に認めたのである。




















4.工事残土は山腹に撒いて農地と称する危険脱法行為


 
図は河津町が開示した業者地図に現状を書き込んだものである。 業者地図では土砂集積場が2つで、ほぼ同大の面積であり擁壁を作ることになっている。 図の左上のほうに緑枠で書いてあるのがそれだ。
 
  ところが実際には2つの大伐採地の面積には2倍以上の相違があり、形も違っている。 広さも形も自然地形に制約されるのは当然であり、例えば図の上のほう(大きいほう 業者地図では左)の伐採地の上から左下にかけての曲がりは廃道沿いなのだが、その廃道は谷に接している。 つまり谷を避けるため、伐採地イコール残土処理場は谷そいの曲がった形になったのだ。
 
 上記の図は自然地形を無視した机上の作図であり、東電や鹿島建設は「どうせ田舎の住民や役所にはわからないのだからいい加減に書いておけ」という田舎住民蔑視思想で図を作成したものであろう。

 左の図は実際に調査した結果で山に慣れた人なら通過可能な廃道(×がつけてある)を含む。 道の多くは業者が廃道を修復した道である。








 









 写真は山の上から2つの伐採地を写したもので、手前(西)のほうにある前記の谷は見えない。
レンズのせいで、前後の距離は正しく掴めない(望遠になると前後が縮んで見える)が、大きさの違いはわかる。

擁壁は無い!!!
  業者は残土を撒いて農地にするという。 今時このような山の中で農業をやるとは信じられないが更に問題なのは勾配が1/3から1/5という急な斜面に平均3メートルの土砂を撒き、撒いた下が谷川地形(雨が降るとしばらく谷川になる)という事である。 大地震や強い台風があったら、田尻川下流の地区に住む多数住民はどうなるのであろうか。

 

 写真は当方作成白黒地図で大きいほうの土砂集積場の一番上のあたりから下のほうを見たもので、これが「農地」である。
 右の茂みが谷川地形であり、周囲より2-3m低くなっている。<BR>
 −−−図の上から3本の道路が斜線で示した
土砂集積地に入っているが、その真ん中の道か
ら写している。

 それにしても、土砂の捨て場を農地にして擁壁を作らないで済ませるという話は前代未聞である。

 リンクの静岡大学名誉教授土隆一氏講演にもあるように、あたりは地盤が悪く、山崩れの危険性が大きいところである。 大島近海地震では実際に崩れて犠牲者を出している。計算では平均3メートルの土を積む事になっているが、そうしたら危険性は論外のレベルであろう。
 

協力関係にある河津町民の会会員の所持する大島近海地震での山崩れ写真を示す。 現場は伐採地のすぐ下流である。写真の上部左が伐採地となっている。また上にある細長い写真の右の下部が崩壊のあった場所になる。












付 水源涵養保安林の中に大道路・ 水源の真上に巨大風車
  三筋山北西部(上佐ケ野、筏場)では飲料水の汚染が問題になる。
 写真は東電11号機予定地の真下である。
 業者の地図では東電1-5号機あたりの等高線がほとんど読み取れないが、 国土地理院地形図と比較すると東電風車の予定地の 大略の位置は比定可能である。


、赤印が東電風車予定地、、青が沢・川
、緑が三筋 山から八丁池に至る尾根である。
11号だけでなく10号、6号、5号、3号、2号はす べて水質汚染原因となる危険な風車 である。 


















 風車予定地と道路予定地の木を切ってしまい、そこを舗装した場合(大雨のとき川になる)の危険も無視できないであろう。 狩野川台風なみの台風が来た場合の被害はどうなるのであろうか。

 
                           

戦時中木を切ってしまったため狩野川台風のときは河津の町も白田の町も浸水している。 
 図は伊東市教育委員会「伊東における狩野川台風の記録」に掲載してある被害図であり、下田と稲取の間の被害地帯が河津であり、稲取の上が白田である。


 また尾根から自動車道路まで1キロあまりであり、上佐ケ野地区の上流(鉢の山に入る道より上)が公害地帯となる可能性については「熱川住民自治会による公害調査の疫学」を御覧下さい。
 1キロ離れると安全とか1.5キロなら安全というのは、医学生物学の基本を無視した加害企業の詭弁である。
  人間には個人差があり、弱い人は巨大風車から遠くても被害者となるという可能性が排除できない。 本来なら1キロで何パーセント の被害者となり、1.5キロなら何パーセントまで被害率が低下すると言うべきである。 すなわち上佐ヶ野(リンクの「鉢の山防衛軍」の人々はそこの住民)、大池、見高の一部、天子平は巨大風車健康被害の可能性がある。
 




 伊豆のやまなみ景観研究会

熱川住民自治会による公害調査の疫学

三筋山にも巨大風車

明治時代に作られ伊豆にある小型水力発電所の見学