「風車公害は完全な証明がない」という詭弁について
水俣病の昔から加害企業は同種の詭弁で庶民をだましてきた。 庶民は「科学とは完全な証明のある絶対的に正しい真理の集まり」という迷信を信じている場合が多く 「完全な証明」がなければ科学的主張ではないという宣伝にだまされやすい。
科学研究者なら誰でもわかるように、「科学とは現在までの実験や調査によって
十分確からしいとされる 理論の集まり」である。 だから新研究によりこれまで
の理論が不正確である事が発見され、科学全体がより確からしいものになる のである。
3年も4年もかけて調査研究をするべきだというのは御用学者・悪徳官僚の誤魔化しである。「人家の近くで巨大風車 を稼動させるべきでない」という事に関する「十分確かな証明」は存在する。
ただし「完全な証明」はない。完全な証明は永久に存在せず、
研究により「完全な証明」に近づくだけである。
以下の自治会調査と同様の調査を東伊豆町全体や石廊崎周辺その他で大規模に行えば、「風車からどの程度離れるとどの程度の
被害があるかわかる」がそれが「完全な証明」に近づいたという事である。 調査に一月もかからない。
風車の近くでイヌやサルを飼う実験をすればいっそう「完全な証明」に近づく。
某元大統領も「進化論に完全な証明はない」として白人も黒人もサルが先祖という進化論に反対するキリスト教原理主義者や人種差別主義者
の支持を得ていたそうであるが・・・。偉大なダーウィンの理論も完全な証明ではなく小さい誤りが多数の科学者によって訂正された。現代の生物学は(完全でない)ダーウィン理論をもとにして発達したのであり、
某大統領やキリスト教原理主義者、人種差別主義者もその十分正しい理論をもとにした科学技術の恩恵を受けているのである。
2009年12月5日版
伊豆熱川での風車公害の調査は大変貴重である。
今までの被害調査は被害者個人の例だったから、どの程度の割で被害がでるか不明であり、「あれは特殊な例だ」「精神性の病だろう」などと片付けられる事が少なくなかった。
しかし住宅密集地の近くに他人(業者)が風車を作るという人体実験が日本で行われたために、「発電用風車の近くではどのような被害が何パーセント程度出るのか」がわかった…それが貴重なのである。
(写真は管理事務所・から ・・・管理事務所は後掲地図(区画案内板)の下部にある・)
住民自治会の調査1
別荘地住民自治会が行った調査は「騒音被害」「心身への被害(“胸がしめつけられる”など)「物/動物/光/影の被害」についてのアンケートである。
自治会側に確かめたところ当時の常住は45世帯であり、別荘地は管理事務所の前の掲示にあるとおり6つの地区にわかれている。
そのうち第2地区は後掲図の如く風車10の前であり、風車10が調査期間(2008年2月5日から3月4日)ほとんど動いていなかった事もあり、調査から除外となっている。
地図にあるように第3地区の大部分は風車の半数について尾根の影になる地域であり被害が少ないというのでアンケートなしで被害を口頭確認した由である。だから第3地区のデーターはデーター解析に使用しない。
業者側の資料では風車10が普通に動いた事になっているが住民4人の一致した証言があるから動いていなかったとすべきであろう。
第2地区第3地区を除いた世帯数は38であり、アンケート回答は25世帯であると自治会側では言っている。
風車の作動していた日時について業者側の示した資料とアンケート用紙を示す。
未回収回答の処理
被害が感じられないから未回答になる場合と、アンケート用紙紛失や忘却の場合が考えられるが、「被害がひどければ積極的に回答しようとするが、被害が感じられないか軽微の場合は回答意欲が低い」であろうから、未回答の世帯は被害が感じられないという数字に算入するべきであろう。
だから最後の結論に示す「一般の地域での被害率統計的推定」はアンケート用紙紛失の場合を考えれば数字がいくらか低くなりすぎている可能性がある。
住民自治会の調査結果
調査結果を住所別すなわち地区別に表示した結果を示す。
「胸がしめつけられる」「胸/腹の圧迫感」「気分がいらいらする」「頭痛・耳鳴りがする」「吐き気がする」「肩こりがする」「血圧が上がった」などの 心身被害を報告した図では15世帯/25世帯つまり6割の世帯(あるいは15/38世帯で約4割)が被害を報告している。丸印が重なっているのは同一世帯からの報告という事で一人で多数の被害を報告している場合と夫婦で別の被害を報告している場合が一緒になっている。
1人や2人の報告なら、特異性格のための心因性被害報告を疑う事もできようが、これだけの割合の特異性格者がいるとは信じがたい。
なお風車は丸で囲んだ位置にある。
自治会調査の原図では被害報告のあった世帯の住宅に○をつけていたが、プライバシーの関係で地区毎集計が望ましいと考え、地区毎集計の図示とした。
「動物が落ち着かない」(これは犬を飼っている世帯全部) 「戸や置物がガタガタ」「風車の影が非常に気になる」(風車が西の丘にある・・・地図と後掲写真・・・から夕方風車の影に住宅が入る)「航空灯の点滅が(夜間)気になる」などの 物/動物/光/影の被害の報告は18世帯/25世帯(あるいは18世帯/38世帯)からある。
「家の中でもうるさい」「眠れない」などの騒音被害を示す。 眠れないという被害が特に問題になる。
自治会側で保存しているもとの図・・・
家毎に図示した図では騒音・騒音被害と距離・地形の関係がもっとはっきりするが、自治会に属していない筆者にどの程度までプライバシーの微妙なところまで論じられるか不明なので騒音被害の詳しい事については自治会に問い合わせて下さい。
騒音測定の数字が図にあるが、その意味や測定条件も自治会に直接問い合わせて下さい。
風車からの距離と音の強さ
図のように風車はほぼ直線状に並び、風車列と別荘地は大体平行している。また住民4人は1番-9番までの風車が大体同様な運転時間であったとしているし、前記のように(10番の運転状況)あまり信頼できない表だが業者側の資料でも運転時間に大差はない。 そのような条件では、風車から出る音・振動の強さが近似的に「風車列からの距離に反比例する」として良いであろう。
理由はQ.&A.にあります。
風車からの距離が二乗でなく1乗だとすれば、地区全体での距離差、音量差を無視してもほとんど推定精度に影響しない。 だから「風車列からの距離が750m」の集団として全体のデーターを扱う事ができる。 推計紙を用いた図計算により、機械的に95%信頼区間(つまり風車公害に強い人が集まっていたり、弱い人が集まっている可能性があるための誤差を見込む数字)を計算する。
このように多少の音量の違いを無視し情報の精度を落としても良いという詳しい理由もQ & A。
結論
同規格の風車の列から750m前後離れた場合、以下の程度の被害率が予想される。
心身への被害が出る世帯は調査で18/38であるが、他の場所で同一風車・同程度の距離で被害世帯の出る率は約30--62%であるとして良い(95%信頼区間)。
そのうち「胸がしめつけられる」「胸・腹等の圧迫感」がでる世帯の率は5/38という調査結果から、他の場所で同一風車・同程度の距離で被害世帯の出る率は約4--26%であるとしてよい(95%信頼区間)。
また頭痛・耳鳴りの出現は9/38世帯であるから他の場所で同一風車・同程度の距離で被害世帯の出る率は約11--39%であるとしてよい(95%信頼区間)。
調査期間に3回以上眠れないという報告は9/38(1世帯は除外区域)であるから他の場所で同一風車・同程度の距離で被害世帯の出る率は約11--39%であるとしてよい(95%信頼区間)。
他の被害については、自治会の調査(3つの図)のままで十分有用であろう。
Q. &
A.
Q 95%信頼区間とは直観的にいうとどういう事ですか。 4--26%などという数字は心細く感じますが・・・。
A 5/38という調査結果そのままの数字でいえば、5÷38×100%=約13%が「一番もっともらしい」被害率です。 しかし調査した熱川住民では「風車公害に弱い人がたまたま多かった可能性」「強い人がたまたま多かった可能性}があります。 直観的にいえば、たまたま弱い人が特別多くて被害率が大きくなりすぎている場合は一般の場合の被害率が4%でたまたま強い人が特別多かった場合は一般の人での被害率が26%だと思ってください。
工場で電球を作る場合、全部寿命検査をしたのでは売り物がなくなってしまいますから、一部の製品で寿命検査をし、それから95%信頼区間を計算して「寿命が・・時間程度と実用的には考えて良い」とします。 工学や生物学、医学、心理学などの学術雑誌では多数の論文にこの95%信頼区間が登場します。 5%のはずれがあるけれども信頼する・・・・より高い信頼性のある研究結果が出ない限り信頼する・・・不良品が少ないという定評がある日本の優秀な工業製品も最新の医学治療方法も、この「95%信頼区間」を使った研究に支えられています。
Q 風車からどの位離れたら安全でしょうか。
A このデーターでは検討できません。 同一風車群からの距離が大きく異なる 2地区以上のデーターが検討には必要です。 人間の個体差一般の研究からいうと「原始生活で必要性の高い部分」では個体差が小さく、そうでないと大きい。
ですから「風車公害に対する個人の抵抗力」は人によって大きく異なると考えられ、距離が250mつまり距離が1/3で音の強さが約3倍(近距離では距離にだいたい反比例)でも被害を感じない人はごく普通に存在し、距離が1.5kmで(遠距離では距離の二乗にほぼ正確に反比例)音の強さが約1/4でも被害を感ずる人が稀でないと考えられます。ただしデーターがないのではっきりした断言はできません。
Q
距離が近いと「距離にだいたい反比例」で遠いと「二乗にほぼ反比例」という理由は。
A 一番近い風車だけを考えると近くても二乗に反比例します。ところが一番近い風車からの距離が増大してもまわりの風車からの距離はそれほど大きくならないので、その効果が効いて来ます。 「風車が隙間無く無限まで風車列が続く」としたモデルで初等積分計算をすると「近くでは距離に反比例」となります。
細かい事を言えば超低周波では林や家屋による吸収が少なく、そのため可聴低周波より距離が増すときの減衰が小さく、特に谷筋では減衰が少ない。しかしその効果は大規模調査(そんな事が可能にならないほうが良いのですが・・・)でなければ問題にならないです。
Q それでは「音の強さの違い」という情報を捨てるので、計算の精度が落ちる(信頼性は落ちません、推定の数字幅が増大)のではないでしょうか。
A 確かに風車が無限に続くわけではないし、風車と風車の間の距離がありますから、かなり誤差を生じ推定の精度は落ちる筈です。 しかしこの程度のデーター数では距離、音の強さ別にデーターを処理すると、データー数の少ないための推定誤差が大きくなります。 ですから音の強さを正確に(コンピューターが必要)計算しても推定の精度が上がるとは考えられません。 データーが必要なら自治会側ではコンピューターを用いた正確精密な計算結果を用意しているそうですから問い合わせて下さい。
Q 推計紙とは何ですか
A 工場の生産管理、生物学や医学研究などで統計計算が必要になったとき、数学の苦手な素人でも統計計算ができるようにするため、図で長さを測ればできるように作られた特殊グラフ用紙で市販されています。
文責 増山明夫
疑問・・・超低周波音がここにある風車健康被害の原因と疑われていますが、超低周波音の測定機に問題があるのではないでしょうか。
風車のプロペラや風車を支える塔の共振が測定結果のグラフに出ないのは奇妙です。 壊れた風車を見ると
ブレードの材質はベニヤ板にプラスチックをかぶせたものですし、風車を支える塔も共振防止の設計になっていませんから、鋭い共振が何箇所かに出なければおかしい。
。 測定機設計の際の周波数走査が風車音測定のためには速すぎるのではないでしょうか。
巨大風車ではひどい健康被害が生ずるが、比較的小さい風車で被害が問題になっていない
という事実は共振を考えないと説明困難なように思われます。、
----------------------------------------------------------------------
別荘地で一番風車に近い住宅付近から見た風車(左)と別荘地中央部あたりから見た風車・・・巨大な風車が頭上にのしかかるような感じです。 近い伊東市が風速13m/秒のとき行って写したのですが、風車はゆっくりまわりながら、ググブゥォーーッ、ググブゥォーーッという超大型恐竜が咆哮するような感じ?の音を出していました。
加害企業は公害を実際には認めている
表向きには風力発電公害を加害企業は認めていない。 しかし資料(町議会に対す
る)「要望書」のように、被害を訴える農民にCEF社は風の強い日避難する場を提供
している。 公害を認めないなら、避難所を提供するのはおかしい。
別荘地住民(自治会に結集し加害に抗議を続けている)と農民を分断するための口止め料と
いう以外の解釈は不可能であろう。
要望書に書かれた農民の訴える被害は、別荘地自治会の被害データー(別紙)と大
変よく一致している。別荘地と農民達の居住地は隣接し、風車からの距離に大差がな
い。
風車が稼動すると血圧が上がるという住民自治会調査2の分析
一般の方々に理解容易という点を考え、通常の論文と異なり信頼性確保・検討のための細かい
事はあとにまわし、主要な内容を先にする。
参加者 | 風車稼動時最高血圧 | 風車故障時最高血圧 | 差 | 自覚症状 |
A | 124 | 134 | +10 | 無 |
B | 130 | 142 | +12 | 有 |
C | 155 | 172 | +17 | 無 |
D | 145 | 157 | +12 | 有 |
E | 134 | 155 | +21 | 有 |
F | 133 | 149 | +16 | 有 |
G | 101 | 121 | +20 | 有 |
H | 136 | 146 | +10 | 有 |
I | 137 | 140 | +3 | 有 |
J | 109 | 111 | +2 | 無 |
K | 136 | 133 | -3 | 有 |
L | 117 | 103 | -14 | 無 |
M | 120 | 120 | 0 | 有 |
N | 125 | 118 | -7 | 有 |
O | 137 | 136 | -1 | 無 |
P | 137 | 140 | +3 | 有 |
自治会発表では「血圧上昇の認められる8名」と認められない8名という事で血圧上昇が10以上の例を先に記し、分析の議論をグループ別にしている。
しかし統計学から見ると、そのような分類を最初からするのは不適当であり、全体の数字から直接次のように結論する事になる。 「全体として血圧上昇は認められる(5%有意)」「上昇の見られない個人及び下降の見られた個人の例は副次的原因(統計学では「偶然的原因」という用語を用いる事もある)によるものと看做すべきである」
結論を出すための計算方法と数学的論法は大学教養課程の統計学諸教科書に書いてあり、計算プログラムの市販もあるようだ。
つまり数学的には「巨大風車が稼動すると血圧が上がる」と結論すべきであり、調査例では半数が10以上上がったという事である。
自治会の調査方法は次の通り。
血圧測定者と測定機…東伊豆町保健福祉センターの東伊豆町職員(保健師)・機械。 血圧被測定者と測定日時…8月5日から20日まで同センターでの健康相談に7回以上参加した自治会員17名のうち高血圧治療中の1人を除いた16名を被測定者とし、その7回の平均値を風車故障時の血圧と看做す。 9月2日から5日まで風車が稼動したがその4日間の測定値の平均を風車稼動時の血圧と看做す。 年齢は60歳から80歳代前半、居宅の巨大風車からの距離は700m前後である。
16人の中には被害の自覚のある人11名と自覚のない5名がいて、数字を見ると血圧の上昇と自覚のあるなしはあまり関係なさそうであるが、データー数が少ないので数学的結論を出すことはできない(信頼できる結果がでるような計算はできない)。 もう少しデーターが増せば血圧測定回数の少ない人を加えて「繰り返し数の異なる二元配置」または「欠測値のある三元配置」という厄介な手計算(普通の教科書にない方法での近似計算が必要だから、計算プログラムの市販がないであろう)をする事によって「自覚症状のない場合の血圧上昇」の存在が数学的にはっきりする可能性があろう。