日本の風車はエコ発電をしているのか

--公称2000kw級発電用風車はどれだけ電気をつくっているか


  横浜市ハマウィングの公称出力1980kw風車の実際の発電量です。 

4月1日
7月1日
10月1日
1月1日
 の4日間の発電量です。






































 半分の1000kwに近い発電をしている時間さえごくわずか・・・発電が風任せだからです。

 
1. 実際には200kwつまり公称出力の1割前後の発電しかしていないのが普通であり、ゼロの時間も長く平均は1割以下です。
  タマには2000kw発電するのでしょうが、ゼロの時が多く、風力発電所だけでは停電している時間が長くて困る。

3. この場合、1割弱の発電の分は「エコ発電」量になるのでしょうか。 
  このように始終ゼロになる質の悪い電気の対策として欧州ではバックアップ火力発電が行われるようですが、火力発電所は一定出力連続運転 の場合が能率最高なので、実効発電量は風力発電があってもなくてもあまり変わらない事になってしまうようです。 日本では電気があまるとき、 モーターで水を高所に上げ電気不足のとき水を下げて水力発電をするという、原子力発電のバックアップと同じ方法で対するそうですが、水を上げる 時に2割、発電のとき2割のエネルギーが逃げてしまうので、やはり実効発電量が低下します。 風力発電は風力エネルギーのほとんどを電気エネルギーに変える と宣伝していますが、稼働率が1割、質の悪さ修正にエネルギー損があるとすれば、実際にはこれだけで公称出力の数%しか発電しないことになる。

  なぜ稼働率が低いのか  高校で習った物理学を忘れていなければ稼働率が低い理由は理解容易です。風のエネルギーは風速の3乗に比例する。 なぜかというと 質点(無限に小さい球と考えて下さい)の運動エネルギーは質量(ここでは重さと考えてもよい)に比例し、速度の二乗に比例します。  風速が2倍3倍だと風車にぶつかる空気分子の数も2倍3倍ですから、質量も2倍3倍でエネルギーも2倍3倍で比例となります。
 今風車の設計最高風速が16m/秒だとしましょう。 そうすると風速が半分の8m/秒では発電量が半分でなく、 その3乗である1/8になるのです。
 ですから毎日同じような風速の風が吹くという条件がないと、風車の稼働率は大変低くなってしまうのです。
   実は他にも問題があり、風力発電で得た電気の周波数を発電のとき機械的に合わせるのでなく、直流に直してから、さらに50(東日本) ,60(西日本)ヘルツに変換という問題があります。直流に直すのはせいぜい数%の損失ですが、交流に直すときは大電力ですから半導体使用 でなく、機械的に変換すると考えられます。 すると銅損、鉄損、摩擦などの合計損失は1割を超える可能性が高い。つまり火力発電や水力 発電と公称出力が同じでも実際の発電量が低下するのです。それに前記の臨時火力発電の問題がある。


 
 稼働率・利用率が高くても赤字・・・東伊豆町風車  東伊豆町に町営風車600kw風車3基があります。その風車はデーターを見る限り、20%以上の利用率(実質稼働率)ですから、日本での風力発電では 優等生です。 しかし
 売電目標4700万円に対して4427万円を達成したH20年でも
 支出は電気事業費 2700万円 公債日2450万円 で差し引き720万の赤字です。  17年あとの撤去費用積み立て資金から760万を流用して赤字を凌いでいます。  この決算に人件費は入っていない。 また修理代も入っていないそうです。 ですからやはり相当大きい赤字という事になっています。   



 
 日本でエコ風力発電は可能なのか  京都府の太鼓山風力発電では2001からで2億の赤字(2009.9.8京都新聞)、京都府伊根町でも8年で2億の累積赤字、島根県隠岐大峰山では 2億5000万の赤字・・・・つくば市の早稲田大学提訴(事前の説明どおり発電せず赤字という)に至るまで、風力発電がエコどころ か大赤字になっている例はかなり公表されています。 稼働率が計画の半分かそれ以下、10%前後というのが相場であり横浜 の例もそうだというだけです。

 「適地なら石油や石炭、天然ガス消費をを減らしCO2削減となる」可能性はありますが、海の近く(風がよく吹く) である横浜市や東伊豆稲取の風車でも風車でもエコ発電をしているとはいえないのです。  日本より適地がずっと多いと考えられる ドイツやアメリカ西部でさえ、公称出力の2割しか発電していない。このあたりで、エコ発電になるかどうかという厳しいところ でしょう。
 日本でエコ発電ができる可能性のある地域としては、北海道、東北と離島、海上が考えられますが、北海道でさえ恵山の ように赤字で首がまわらなくなった所が出ている。 日本(上記4箇所以外)でエコ発電に成功している例は管見に入らず、あったら教えてほしいです。
 
 風力発電計画の大多数は机上ででっち上げた数字予測に基づくもので、宣伝している連中は山中に大道路を作る事で生ずる多額の建設 補助金だけが目当てなのではないでしょうか。   その大道路が風車搬送に必要なギリギリのものであるかの審査は国民の目のとどかない密室で行われる。  稼動状態・発電量の変動の生のデータを出さずに「風力発電はエコ」という主張はためにせんとする宣伝かよほどおめでたい人の主張  と判定すべきだと考えられます。  
 
ついでにアメリカでの州別風力発電量ほ示した図を日経から借りて示しました。 ヨーロッパに気候の似る西部と北海道に気候の似る 北東部で風力発電が盛んであり、関東から沖縄にかけてと気候の似る東南部は風力発電ゼロです。


 太陽光発電の場合は曇りの日でもかなり発電しますし、昼の需要のほうが夜の需要よりずっと多いので、昼しか 発電しなくても、火力発電所を減らす事ができます。 小型水力発電所なら1年中発電しています。

 スマートグリッドについて 風力発電の発電不安定に対する方策として、アメリカではスマートグリッドという方法が問題になっています。 スマートグリッドは電気を地域間でやりとりしたり、電力を使用側で自動調節する事で不安定にある程度対処する 方法です。   アメリカや中国、EUでは採用すればある程度の効果は見込め、現在ほとんどエコになっていない 風力発電をエコ発電にする事がある程度可能と考えられます。 
 
 しかし日本では東日本、西日本の電力融通が困難です。東は50ヘルツ、西は60ヘルツであり、大量の電力の変換では半導体を用いた変換でなく 原始的な機械的変換となるので損失が1-2割となり、それだけで稼動率が1-2割の風力発電所は無価値になります。  ですから東日本内、西日本内でそれぞれ電力を融通する事になりますが、天気・気候が大きく異なる広い大陸と違って 効果は限定的です。 ですから電池の充電を風が吹くときに行い、ビルの暖冷房を風によって自動調節するといった程度になるでしょう。  東日本、西日本、韓国、中国などが規格統一となり、海底送電線で各国電力網がつながればスマートグリッドは相当効果が出て 現在金食い虫のお荷物風力発電所がいくらかエコ・黒字になる可能性はありますが、遠い未来の話です。
 
     
伊豆のやまなみ景観研究会ホームページ

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南豆の和
風車問題を考える住民の会
ドン・キホーテの会
伊豆熱川風力発電連絡協議会