生徒同士わかり合うのに有効なほか、担任に対する信頼感増大、非行生徒とつきあう運動の基礎になるなど極めて重要な指導である。
 多くの教師は生徒性悪説で、トランプを許可すれば、授業時間に食い込むトランプとなり教室移動が遅れるだけでなく、すべてにだらしがなくなる、と考えている。 だからトランプ持込禁止に賛成である。 そのような指導では1年の違反が少ないだけで2年3年と違反が多くなり例外を見聞した事がない。 つまり現実をみれば生徒の規則違反を増大させる反道徳的指導であると断定できよう。

 学校によっては多数派が生徒を信用すべきだという生徒性善説であり、トランプ持込み許可である。 やはり2年、3年となるにしたがって、授業時間に食い込むトランプの件数は増大する。 これも反道徳的指導であろう。
  性悪説、性善説は普通に誤解釈され流通している意味であり、本来の意味とは無関係。
 次の方法で最初の実践から通し、違反で捕まった生徒は担任クラスでも学年でも(学年で採用の場合)ゼロである。 
 「2年のとき一部の授業では授業中トランプとなり3年では廊下を15-6人がタバコを吸いながら練り歩く」という学年の担当に3年からなった時の例外とその理由は別記。

@ 「みんなが仲良くなるように学活(または授業)の時間にトランプをしたいと先生は考えています。」「今は出席簿順の臨時座席・班ですが、新しいクラスの仲間と仲良くするためですから、臨時班のままのトランプとします。」「トランプをやる事に賛成ですか反対ですか。 賛成の人は手をあげて下さい。 反対の人は手をあげて下さい」   もちろん反対はない。
A「ただし君たちに約束を守ってもらう必要があります。」 「もし君たちが学活(先生の授業)以外のところでトランプをして捕まる人が一人でもいたら、職員会議では学活にトランプをやらせた教師が悪いという事になります。その場合はトランプを次の学活から許可する事ができなくなります。 そのことがわかりますか?」 「わかる人は手を上げてください。」
B 「では次の学活はトランプですが、学活以外の時間にトランプをしないという約束ができますか? 」 「では約束できる人は手を上げて下さい」「約束できない人は挙手して下さい」
C 「ではそのあとも学活で時間のあまる時はトランプをして良い事にしたいと思いますから、君たちも約束を守ってトランプをするようにして下さい」

 これで契約はできた事になる。 教師主導だが、4月段階でまともな討論は期待できない。 職員会議多数派が性善説の場合は捕まった者が出て強制的「自粛」となってから。
 トランプの時間を作るには「生徒が本気にならない」学活討論や作業をカットする。クラス目標とか班目標などの討論はたいてい大多数生徒が本気でやる気のない事の討論だ。 生徒がその建前どおりやりたくなるようにすれば目標は不要である。学年教師会で「クラス目標を掲げる」という教師安心感のための有害な決定が行われたら、シラケタ討論を回避すべく学級委員と担任が話し合い案を作る。 
「教師の会でこういう決定になったが、この討論で1時間使う必要があると君たち学級委員は思う? この討論に1時間かけるのと、この討論を5分でやめてトランプをやるのとどちらが良いと思う?」(口頭でいう)

 どうせただのお飾りだからと、学級委員2人と担任が月並みの目標案を考えれば、学級会はたいてい2分以下で終わる。 
「学級目標を決めますが、はじめから皆で考えると時間がかかってトランプの時間がなくなりますから、学級委員と先生でこういう案にしました。この案でいいですか? 」 もちろんどうでも良い事とみなされ無討議で通過する。たまにへそまがり生徒が発言する事があるが大衆生徒が討論をさせない。
「では、目標を紙に書く人の立候補はありませんか? 書く仕事が皆より増えますから、その人は1回日直パスとするのが公平だと思いますがどうですか? 手をあげて…では立候補」 これで生徒の偽善を養成する時間が消える。

 「新しい学年になって」という作文を各クラスで書かせ、それから学年通信に出すという厄介な決定が学年教師会で行われたら、クラスで次のようにする。
「学年の先生たちの会で、こういう作文を生徒に書かせ、その中から1つ学年の新聞にのせる事になりました。」
「では作文を全員に書かせてそれから選ぶのと、作文のうまい3人だけに書かせてそれから選ぶのとどちらが良いとおもいますか? ただし作文を書く人は大変ですから、日直2回パスが公平だと思いますがそれで良いですか?。」
「立候補はいませんか?」
 すぐに決まらなかったら、たな上げで帰りの学活発表とし、個人交渉で決めた3人に対してご苦労様という拍手を全員にさせる。

 このトランプ許可は自由座席と並び非行生徒を良くする運動の基礎で極めて重要である。非行生徒とつきあう運動の第一歩がこのトランプになる。最初の実践例では、1年のとき担任した女子生徒4人が女子問題児2人と近い座席(2つの班片割れ)になり、トランプで遊ぶ事から運動がはじまっている。「近隣学校の非行グループと喧嘩してもクラス生徒には暴力を振るわない」という関係がすぐ成立。担任した生徒つまり無競争集団主義で育った生徒の多くは2年3年になってもクラスを越えて大きな遊びグループを作っているから、問題児集団の暴力を恐れず一緒の班になり、座席を近くにとる。 仲間はずれなしで自由という条件だとそうなる確率は極めて高い。 だれかが校外では喧嘩している生徒と同じ班にならなければならないが、他クラス出身生徒の多くはその生徒をこわがるからだ。

訓話や討論よりも生活を先に変える指導 
無競争集団主義の進路指導 
無競争集団主義の座席指導  
さまざまな条件での無競争集団主義実践例 
素晴らしき生徒列伝